今回はThird Worldのファースト・アルバム
「Third World」から「Slavery Days」を紹介して
みたいと思います。

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Third World - Third World (1976)

この曲はThird WorldというよりはBurning Spear
の曲としてよく知られている曲です。
このThird Worldのファーストには、このBurning Spear
の曲や「Satta Massagana」などレゲエの名曲が収め
られていたんですね。
彼らThird Worldはレゲエとソウルを融合したような
サウンドで世界的に活躍したバンドですが、こうして
レゲエを世界に広める広報的な役割を果たしたバンド
だったんですね。

ちなみに「Satta Massagana」は当時「Sette Messgana
(セタ マスガナ)」というタイトルになっていました。
これが私が初めて聴いた「Satta Massagana」で、
その為私はずいぶん長いことこの曲を「セタ マスガナ」
として憶えていたんですね。

私もこのアルバムが東芝EMIから発売された時に、
LPでこのアルバムを買っています。
中にはライナー・ノーツが付いていて、小倉エージさん
の解説文と英語の歌詞、そして山本安見さんの英訳が
付いていました。

今回はそのBurning Spearの代表曲のひとつである
「Slavery Days」を紹介してみます。
ちなみにThird Worldのヴァージョンなので、歌詞に
多少の違いがあるかもしれません。


●奴隷の日々(Slavery Days) - Third World (Burning Spear)

おまえに聞きたいことがある
肌の色で
俺の心まで判断する前に
どうか思い出してほしい

あの奴隷の日々を覚えているか?
あの奴隷の日々を覚えているか?
俺たちをムチで打ち
さんざんこき使い
好きなだけ利用した後で
奴らは俺たちを拒絶した

あの奴隷の日々を覚えているか?
あの奴隷の日々を覚えているか?
重い荷物を引きずりながら
さんざん働かされたあの日々
足かせをつけたまま
重い荷物を引きずっていたあの日々
今でも まざまざと目に浮かぶ

あの奴隷の日々を覚えているか?
あの奴隷の日々を覚えているか?
生き残った者も何人かいた
俺たちは生き残ったということを
奴らに教えてやるんだ
あの奴隷の日々を覚えているか?
あの奴隷の日々を覚えているか?

思いだすんだ
思いだすんだ あの奴隷の日々を
思いだすんだ 決して忘れてはならない
俺たちは覚えている あの奴隷の日々を
俺たちは覚えている あの奴隷の日々を
暗闇の中で生活していた俺たち
足かせを引きずりながら……
足かせを引きずりながら……
平和は隠せるものじゃない
あの奴隷の日々
阿野俵を持ち上げろ あの荷物を運べ
あの奴隷の日々 あの奴隷の日々
自由 自由 自由

サトウキビの値は下がる一方
黒んぼを一人残らず開放すべきだ
そうだ 今こそ その時が来た

ああ 奴隷の日々よ

(東芝EMI、Third WorldのLP「Third World」から
山本安見さんの英訳「Slavery Days」より)

Third World - Slavery Days



以上が「Slavery Days」の歌詞です。
こうして見ていくと、白人に奴隷としてアフリカから
連れて来られた黒人のかなり根深い「恨み節」が
歌われている事が解ります。

ここのところこうした70年代のレゲエの歌詞を調べて
いると、黒人の人種差別や階級差別に対する激しい抗議
の歌詞がすごく多いんですね。
調べていて少し気持ちが暗くなってしまうほどです。

ただこの70年代ぐらいまでは白人は優等人種、
黒人は劣等人種といった差別が根強く残っていた
のも事実です。
今から考えるのとすごくおかしな差別的な考え方
なんですが、この当時はまだ白人は優秀みたいな考え方
が根強く残っていて、当然東洋人も白人より低く見られ
ていたんですが、日本人はその貢献度から「名誉白人」
とか言われてそれを有り難がっていた時代だったん
ですね(笑)。

ただそうした白人優位の世の中が変わり始めたのも、
この70年代頃からなんですね。
それまで奴隷という身分ではなくなったものの、
低所得者層に甘んじていた黒人層が徐々に力を付けて
来て、社会的発言力を持つようになって来たのも
この時代なんですね。

そうした時代背景からアメリカではソウルやファンク
という新しい黒人音楽が人気を集めるようになり、
イギリスなどでもこうしたレゲエのようなプロテスト色
の強い楽曲が多くの支持を集めるようになって来るん
ですね。

このルーツ・レゲエの時代に流行したラスタファリズム
は、アフリカ回帰や文明批判、マリファナ信仰といった
かなりカルトな宗教ですが、特に人種差別や文明批判と
いったプロパガンダは世界的に大きな支持を集めたん
ですね。

特に当時レゲエと同時期に流行っていた、階級差別を
訴えていたパンクスには大きな影響を与えています。
あのパンク・バンドSex Pistolsが、レゲエばかりを
聴いていたというのは特に有名な話です。

今回の「Slavery Days」という曲では、彼ら黒人が
奴隷として扱われた日々が取り上げられていて、
その時に受けた屈辱や差別を、「決して忘れては
ならない」と訴えています。
一度受けたそういう差別に対する思いは、そう簡単に
拭い去れるものではないのでしょう。
場合によっては何世代も何世代にもわたって、
恨みが溜まって行く事もあります。

人が人を差別するという事は、それだけ罪深い事
なんですね。

実は私たち日本人も、近隣諸国に迷惑をかけた歴史
があります。
そういう事をすれば当然恨みの感情は残ってしまい、
それを変えるのは大変な事なんですね。
前の世代が罪を犯せば、その罪は何世代にわたっても
降りかかって来る…。
大切なのは私たちがもう二度とそういう罪深い生き方
をしない事です。

話を戻しますが、差別という問題は根深く今も
完全には無くなっていません。
当時と較べればアメリカでは黒人の大統領が誕生
したりしていますが、反面メキシコ人はゴロツキで
日本人や中国人がアメリカを悪くしたと主張する
いかにもレイシストといった白人の金持ちの大統領
候補者が大人気だったりします。
世界はまだまだ人種差別や階級差別に満ちており、
国と国は自分の利害関係しか考えておらず、格差は
むしろ広がっているのかもしれません。

ただそういう世界を変える事が出来るのも、
私達人間なんですね。

Burning Spear - Slavery Days - 1981