今回はレゲエという話題から少しズレるかもしれ
ませんが、今日の朝日新聞に載っていたパリ同時テロ
事件で奥さんを亡くしたアントワーヌ・レリスさんと
いう方のSNSでの発言を取り上げてみたいと思います。

新聞には
「テロリストへ― 『憎しみという贈り物はあげない』」
というタイトルで掲載されていましたが、
彼の言葉は今までこの事件で語られたどんな言葉より
勇敢であり、素晴らしいものでした。

テロで妻を失ったレリスさんのメッセージ和訳全文

「君たちに憎しみあげない」テロ遺族FB文章に共感の輪

パリ同時テロ 遺族の手紙に共感広がる

多くの人は自分の家族を殺されれば、憎しみに染まる
でしょう。
ただ彼はその心を押し殺して「君たちに憎しみはあげない」
と語っています。
それがどれほど勇気のある事なのか、どれほど尊厳に
満ちているか…いや~、泣けちゃいます。

このテロ事件だけを見れば、ISという狂気に満ちた
カルト宗教のキチガイ集団が起こしたテロであり、彼ら
になんの同情の余地もありません。
しかしその裏にはこうしたキチガイ集団に武器と資金を
渡したアメリカをはじめとする大国が、内紛を起こさせる
為にこのキチガイ集団を育てたという事も否定できない
事実です。

さらに空爆を繰り返しそこで暮らす罪の無い人に憎しみ
を植え付け、結果的にISの戦闘員に育てたのも大国の
思惑です。
さらに難民や移民として受け入れたものの、あくまで
安い労働力として使い、中東人、イスラム教徒という理由
で職を与えず、民族差別宗教差別を繰り返し移民や難民の
憎悪を煽ったのも実はこうした大国の人々なんですね。
もちろんそれは日本という国も例外ではありません。

そうした空爆→憎しみ→テロ→憎しみ→空爆の、無限
ループのような状態に陥っているのが、今の状況
なんですよね。
どこまでも大きくなっていく憎しみ…。
この憎しみの無限ループは恐ろしいです。

さらに難民の受け入れ拒否の動きも広まっています。
死んだ難民の子の写真で一時期ヨーロッパ全土に広まった
善意の心が、この騒動で一気に萎んでしまった感が
あります。
それはある意味恐怖で怯える姿であり、結果的にIS
という狂気の集団を喜ばせる事であるにもかかわらず…。

それは短絡的に考えれば直接的な被害を食い止める事に
なるかもしれませんが、結果的に見ればISという狂気
集団に屈した事であり、ISを喜ばせ勢いづかせる行為
なんですね。

ところが彼は妻を殺されたという「小さな敗北」を認め
ながらも「無知に屈する」事なく、彼らISに対する
憎しみという愚かな時間を割く事なく、息子を憎しみに
染まった愚かな人間に育てず、正しい人間に育てる事を
誓っています。
怖れを感じて受け入れないのが正しいのか?
怖れを感じても受け入れ続けるのが正しいのか?
少なくとも憎まない、変わらない生活をするという彼は、
誰よりも勇敢である人間だと思います。

憎しみに染まるという事は、その思想に屈するという
事を意味します。

憎しみのループが繰り返されれば、どちらかの思想の
人間が完全に死に絶えるまで、その憎しみは終わる事
はありません。
それは人類の無間地獄の道かもしれません。

ところが彼は、どんな政治家より見事に人が生きる道
を示してみせたのです。
この言葉の前では、ドナルド・トランプ氏の「武器が
あればもっと助かった」という言葉も、安倍首相の
「この償いはさせる」という言葉も、単なる愚か者の
戯言にしか聞こえません。
人が正しく生きる方法を彼は、はっきりと明示した
のです。

この世界はいまだに差別や不平等に満ちています。
その格差は以前よりも今の方が、むしろ広がっている
のかもしれません。
しかしそんな不平等に汚れた世界だとしても、この
世界を変える事が出来るのも私達人間なのです。
ただその世界を変えるための武器は、けっして銃や暴力
ではありません。
それは言葉であり、平等という思想であるという事を
忘れてはなりません。

Bob Marley - One Love (spanish subtitles)