今回はPrince Allaのアルバム

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「Only Love Can Conquer 1976-1979」です。

Prince Allaは70年代のルーツ・レゲエの時代
から活躍するシンガーです。
後にWackiesでシンガーとマネージャーとして活躍
するMilton Henryと、The Leadersというグループ
でキャリアをスタートさせ、その後もソロとして
キャリアを積み重ねてきたシンガーとして知られて
います。

アーティスト特集 Prince Alla (プリンス・アラー)

今回のアルバムはレゲエ・リイシュー・レーベル
Blood & Fireが1996年に発表した、Prince Alla
の1976年から79年にかけての楽曲を集めた
アルバムです。

全14曲で収録時間は53分39秒。
最後の2曲はCDボーナス・トラック。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Tracks 1-12 Produced by Bertram Brown for Freedom Sounds
except 5 and 11 Produced by Anthony McLean aka Tony Mack
and 10 Produced by Bertram Brown and Tony Mack
Tracks 13-14 Produced by Prince Alla & R. Lighthouse

All Tracks Written by Keith Blake

Recorded at Channel One Studio
Mixed by King Tubby and Scientist at King Tubby's Studio
Tracks 13-14 Recorded and Mixed at Channnel one by Ernest Hookim

Compiled by Steve Barrow

Rhythm Played by The Soul Syndicate:
Drums: Carlton 'Santa' Davis, Max Edwards, Sly Dunbar
Bass: George 'Fully' Fullwood, Robbie Shakespeare
Lead Guitar: Earl 'Chinna' Smith, Tony Chin
Keyboards: Keith Sterling, Gladstone 'Gladdy' Anderson,
Richard Johnson as Jah McKaya
Percussion: Noel 'Skully' Simms
Saxophone: 'Deadly' Headley Bennett
Harmonica: Jimmy Becker

Rhythm Played by The Revolutionaries on Tracks 13 and 14

となっています。

1~12曲目までのプロデュースがFreedom Sounds
レーベルのBertram Brownです。
(ただし5曲目と11曲目がAnthony McLeanこと
Tony Mack、10曲目がBertram BrownとTony Mack。)
オマケの13~14曲目のプロデュースは、
Prince Alla本人が担当しています。

作曲に名前のあるKeith Blakeは、Prince Alla
の本名です。

録音はChannel One Studioで行われ、ミックスは
King Tubby's Studioで行われ、King Tubbyと
Scientistが担当しています。
オマケの13~14曲目のみがすべてChannel One
Studioで行われ、ミックスはErnest Hookimが
担当しています。

バック・バンドはThe Soul Syndicateが
担当しています。
ただしオマケの2曲はThe Revolutionariesで、
こちらは詳細なメンバーの記載がありません。

さて今回のアルバムですが、これがなかなか
良いアルバムなんですね。
このPrince AllaはこのFreedom Soundsの看板
アーティストの一人だったようで、このレーベル
で活躍していた時代が彼にとっても一番良い
時代だったんですね。
今回のアルバムに収められている「Stone」
や「Bucket Bottom」、「Lot's Wife」、「
Only Love Can Conquer」といった曲は、彼の
代表曲であるばかりでなく、このレーベル
を代表する曲でもあるようです。

レーベル特集 Freedom Sounds (フリーダム・サウンズ)

そんな彼の充実ぶりがうかがえる内容の
アルバムになっています。

ちなみにこのFreedom Soundsでは彼のほかに、
Earl ZeroやRod Taylor、Phillip Fraserと
いったアーティストが活躍していて、そうした
彼らのKing Tubbyのミックスしたダブを
集めたアルバム「Freedom Sounds In Dub」が、
同じBlood & Fireレーベルからリイシュー
されています。

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King Tubby & Soul Syndicate - Freedom Sounds In Dub (1996)

Prince Allaの楽曲からは、今回のアルバム
に収められている「Stone」のダブ「「Great
Stone」」と、「Bucket Bottom」のダブ
「Empty Vessel Dub」、「Lot's Wife」の
ダブ「Salty Dub」、さらに今回のアルバム
には収められていない「Son Son」という
曲のダブ「East Avenue Skank」、
「Too Much Killing」という曲のダブ
「Top Line Special」、Prince Alla &
Phillip Fraserの「Come Away」という
曲のダブ「Seaview Corner Rocking」など
が収められています。
こちらも揃えるとより深くアルバムが
楽しめるのですが、今はBlood & Fireが
活動休止中なのが惜しまれます。

話を戻すと、このPrince Allaはちょっと
高音のヴォーカルながらしっかりした歌唱力が
ある人で、さすがレーベルのトップ・
アーティストという風情があります。
ジャマイカのヴォーカリストは本当に歌の
ウマい人が多い世界ですが、その中でもトップ
に立つ人は、何か抜けたものを持っているん
ですね。
このPrince Allaもそういうヴォーカリストの
ひとりだと思います。

1曲目の「Stone」は、いきなり冒頭の雷のエフェクト
にヤラレちゃう曲です。
この派手なエフェクトはScientist?という気も
ちょっとするのですが、なかなか印象的な曲です。

Prince Alla - Stone


2曲目の「I Don't Want To Be Late」は、
ちょっと懐かしいような音使いが印象的な曲
です。

3曲目タイトル曲の「Only Love Can Conquer」
は、硬い叩きつけるようなドラミングにPrince Alla
の柔らかいヴォーカルが絶妙に絡みつく曲です。

Prince Alla - Only Love Can Conquer


4曲目「Sun Is Shining」は、タイトルからBob Marley
の?と思いますが、全く別のメロディを持った
ちょっと明かる曲です。

5曲目の「They Never Love 」は、元は17インチ
シングルだったのか7分越えのちょっと長いディスコ・
ミックス・スタイルの曲です。
Prince Allaの力のこもったヴォーカルからダブへと
移行して行く聴きごたえ充分の曲です。

Prince Alla - They Never Love (in disco style)


6曲目「Lot's Wife」は、書いたように「Salty Dub」
というダブにもなった替えの代表曲のひとつです。
彼の歌唱はやはり人を魅了するものがあります。

Prince Alla - Lot's Wife


7曲目「Bucket Bottom」は、イントロがSlim Smith
の「My Conversation」を思わせる彼の代表曲の
ひとつです。

9曲目「City Without Pity」は、小鳥の鳴き声の
エフェクトが入った泣き節といった感じの曲です。

10曲目「Lady Deceiver」は、エフェクトの効いた
ダブワイズされた1曲です。
バックにJimmy Beckerという人のハーモニカがあり
ますが、ハーモニカとダブワイズがヴォーカルに
絡み合ったかなり面白い曲です。

Prince alla - Lady Deceiver (Only Love Can Conquer 1976-79)


11曲目「Youthman In The Ghetto」は、これまた
ディスコ・ミックスが決まったレゲエの魅力全開の
曲です。
ここでもハーモニカが良い味を出しています。

Prince Alla - Youthman in the Ghetto (discomix)


12曲目「Black Rose」は、1曲目の「Stone」の
リズムを使った曲です。

最後の2曲はCDボーナス・トラックで、The
Revolutionariesの演奏です。
2曲とも演奏を重視したErnest Hookimらしい
控えめなミックスです。

さすがにPrince Allaの一番良い時期のアルバム
だけあって、彼の充実したヴォーカルの魅力が
光るアルバムです。
こういうレゲエのトップのヴォーカリストは、
単にウマいだけではなく人を惹きつけるだけの
説得力があるんですね。
その魅力がよく解るアルバムになっていると
思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Prince Alla
○アルバム: Only Love Can Conquer 1976-1979
○レーベル: Blood & Fire
○フォーマット: CD LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1996

○Prince Alla「Only Love Can Conquer 1976-1979」曲目
1. Stone
2. I Don't Want To Be Late
3. Only Love Can Conquer
4. Sun Is Shining
5. They Never Love (In Disco Style)
6. Lot's Wife
7. Bucket Bottom
8. Mama No Fight
9. City Without Pity
10. Lady Deceiver
11. Youthman In The Ghetto (In Disco Style)
12. Black Rose (with Phillip Fraser)
13. Their Reward *
14. Dread Locks Nazarine *
* CD Bonus Tracks

●今までアップしたPrince Alla関連の記事
〇Prince Alla, Junior Ross & The Spears「I Can Hear The Children Singing 1975-1978」
〇Ras Allah (Prince Allah)「Showcase」