今回はRoots Radicsのアルバム

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「Forward Ever, Backwards Never」です。

Roots Radicsは1978年に結成されたバンドで、
公演などでジャマイカを空ける事が多くなった
Sly & Robbieに替わり、おもに当時流行り始めた
ダンスホール・レゲエなどのバックで活躍した
バンドです。
このバンド、イギリスのAdrian Sherwoodの
レーベルOn U Soundsで活動する時は、Dub Syndicate
という別名を使っています。
実はRoots RadicsとDub Syndicateは同じバンド
なんですね。

今回のアルバムのリリース年は1990年の
ようですが、制作がその時期だったのかは
ちょっと解りません。
というのも「Dread」などのラスタファリズムの
キーワードが付いた曲もあれば、明らかにラヴ・
ソングと思われる曲もあるんですね。
レゲエは大雑把に言えば、ラスタファリズム一色に
染まった70年代のルーツ・レゲエの時代と、後半
にデジタル化も進んだ80年代のダンスホール・
レゲエの時代に大別できるんですが、曲名から見る
限り両方の要素があり、一度に録ったものか解らない
ところがあるんですね。
もしかしたら彼らのベスト盤的なアルバムかも
しれません。

全12曲で収録時間は47分20秒。
実はこのアルバム、裏ジャケの表記が全11曲に
なっています。
ところがCDプレイヤーで読み込むと12曲と表示
される
んですね。1曲目の表記が「1. True Believer/True
Dub」となっているんですが、それが読み込むと1曲目
「True Believer」2曲目「True Dub」となっています。
今回の曲は歌が付いている曲が多いのですが、歌詞を
聴いていると2曲目に「True Dub」が入るとつじつま
が合うんですね。

ミュージシャンとして以下の表記があります。

Roots Radics:
Lead Guitar: Dwight Pinkney (Brother Dee)
Rhythm Guitar: Eric Lamont (Bingy Bunny)
Bass: Errol Carter (Flabba Holt)
Drums: Lincoln Scott (Style)
Keyboards: Earl Fitzsimmons

Keyboards: Peter Ashbourne, Harold Butler, Steely Johnson
Percussion: Uzziah 'Sticky' Thompson, Carl Ayton, Everton Carrington, Alvin Haughton
Hornes: Dean Fraser, 'Nambo' Robinson, 'Chico' Hamilton, Calvin Cameron, Vin Gordon
Vacking Vocals: Pam Hall, Beresford Hammond, Dwight Pinkney, 'Sticky' Thompson

Engineers: Oswald 'Chunny' Palmer, Errol Brown, Christopher Daly, Mervin Williams,
Stephen Stanley, Dave Sutherland, Danny, Soldjie
Studios: Recording: TuffGong & Channel One
Mixing: Aquarius, Music Mountain, Tuff Gong

となっています。

なぜかプロデューサーの表記がありません。
バックアップ・メンバーやエンジニアの多さ、
さらにはプロデューサーの表記が無い事などを
考えると、やっぱりベスト盤的なアルバムなのかも。

今回のアルバムにはヴォーカルが入っているの
ですが、ヴォーカリストの表記がありません。
Dwight Pinkneyあたりが歌っているんでしょうか?

さてルーツ・レゲエが好きな私は、正直なところ
このRoots Radicsを以前は多少過小評価していた
ところがあります。
それは単純に音だけ聴いていた時には、Sly & Robbie
やChinna Smithなどが居てルーツ・レゲエをやって
いるThe AggrovatorsやThe Revolutionariesの方が、
ルーツ好きとしてはサウンドが面白かったからなん
ですね。
ただこうしてブログを書くようになって、時代背景
などをネットで調べるようになってみると、70年代
にルーツで活躍したThe AggrovatorsやThe Revolutionaries
と、80年代にダンスホールで活躍したRoots Radics
では、求められている音楽の質がまったく違うんですね。
その事を無視して音楽の良し悪しを言うのは、ちょっと
違うのかなぁと思いました。

そしてそういう目でこのRoots Radicsを追いかけて
いくと、Scientistの「漫画ジャケ」シリーズや
ダンスホール・レゲエのアルバムなど、この80年代、
特に80年代の前半にけっこう良いアルバムを残して
いるんですね。
そういうルーツ・レゲエ→ダンスホール・レゲエと
いう音楽の変わり目に誕生し、ダンスホール・レゲエ
にひとつの重要な役割を果たしたバンド、それが
Roots Radicsというバンドなんですね。
やはりそこはしっかりと評価すべきだと思いました。

さて今回のアルバムですが、多くの曲にヴォーカルも
入っているし、さらにはダブも入っているので、とても
聴き易いアルバムになっています。
曲の感じからしてもどうも80年代の前半ぐらいの音
という気がするんですが、やっぱり彼らRoots Radics
のサウンドというのは70年代のルーツ・レゲエの音
とはちょっと違うんですね。
その辺は多少好き嫌いの分かれるところかもしれません。

ただ80年代の前半のダンスホール・レゲエのサウンド
というのは、80年代後半の「デジタル革命」が起こり
かなりマニアックになったサウンドよりも、まだ
ポピュラリティーを維持していて聴き易いところが
あります。
意外とこの80年代前半ぐらいのルーツ・レゲエと
ダンスホール・レゲエの入り混じった「混沌とした時代」
のサウンドって面白いんですね。
なんか音楽的に「脱皮」しようという「もがき」みたいな
ものがあるんですよね。

この時代のレゲエになると、もうレゲエという音楽が
認知された音楽になっている為か、70年代のレゲエが
持っていた攻撃性のようなものが徐々に希薄になって
来るんですね。
ただそれが良かったのか悪かったのかは多少微妙です。
ジャマイカの音楽の歴史を見ていくと、ある意味70年代
のルーツ・レゲエの時代だけ特殊だったようにも思うの
ですが、そのギラギラしたエネルギーが満ち溢れていた
70年代の音楽に魅力があったという事は否定が出来
ません。
その輝きが強いがゆえに、ついこの時代80年代以降を
過小評価しちゃうところがあるんですね。
ただ丁寧に見ていくと、やっぱりこのRoots Radicsなど
も含めた80年代前半の新しい音楽を生み出そうという
努力は評価すべき動きだったんじゃないでしょうか。

9曲目「How Could I Live」は、どこかで聴いたこと
あるなぁと思って調べてみたところ、Sharksという
グループが歌っているStudio Oneのロックステディ時代
の名曲らしいです。
こういう曲の使い回しのウマさもレゲエらしいところです。

歌が入っているせいかRoots Radicsのアルバムの中でも
すごく聴き易いアルバムだし、内容も悪くありません

機会があれば聴いてみてください。

Roots Radics - True Believer/True Dub


Roots Radics - Long Road


Roots Radics - One Away Man



○アーティスト: Roots Radics
○アルバム: Forward Ever, Backwards Never
○レーベル: Heart Beat
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1990

○Roots Radics「Forward Ever, Backwards Never」曲目
1. True Believer
2. True Dub
3. Dread In South Africa
4. Long Road
5. Private Enemy
6. Strong Like A Lion
7. New Sound In Town
8. She Loves Me
9. How Could I Live
10. I Live/Dub
11. Don't Go
12. One Away Man