今回はHarry J & His Friendsのアルバム

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「Return Of The Liquidator」です。

初めにひとつイヤ事を書いちゃいます。
このアルバムTrojanから出ているアルバムなん
ですが、2枚のCDとも多少ですがチリチリ
ノイズが入ります。
購入の際にはその事を理解したうえで、購入
して下さい。

今回のアルバムですが、「Liquidator」がヒット
したHarry J All Starsと当時イギリスのスキン・
ヘッド(不良少年)の間でヒットした曲を
合わせたコンピュレーション・アルバムです。
1枚目が1969年のHarry J All Starsのアルバム
「Liquidator」で、2枚目がコンピュレーション・
アルバムの2CDセットになっています。
副題に「30 Skinhead Classics 1968 - 1970」と
あるので、1968年から1970年にかけての
曲を集めたアルバムという事のようです。

初めの頃のレゲエは、まずはイギリスの不良少年
に受け入れられたんですね。
それがいわゆる「スキン・ヘッド・レゲエ」です。
このHarry J All StarsやLee PerryのバンドThe
Upsettersなんかが代表的なグループです。
聴いてみると解りますが、ガシッと硬いドラミング
にオルガンのメロディを乗せたけっこう軽い
インスト・ナンバーなんですね。
The Upsettersはのちにへヴィーなダブに転換して
行きますが、初めの頃はこうした軽快なインスト
をヤッていました。
こういう音が当時のスキン・ヘッドにウケていたん
ですね。

イギリスでは早くからジャマイカの音楽が認め
られていて、スカの時代は輸入元のレーベル
Blue Beatの名前から、「ブルー・ビート」と
呼ばれてスカが聴かれていたし、ロックステディの
時代にも多くのジャマイカのアーティストが
イギリスのヒット・チャートを顔を出していた
んですね。

今の若い人には実感が湧かないかもしれませんが、
この時代のイギリスは大国だったんですね。
歴史では大英帝国が世界中を支配していた事を
知っているかもしれませんが、このジャマイカも
1962年に独立するまではイギリス領だった
んですね。
音楽市場もアメリカに次ぐ規模で、イギリスで
成功する事がアメリカで成功する事にも繋がって
いたんですね。
そうしたイギリス市場である程度需要があった
事が、あまり産業の無いジャマイカを発展させ、
こののちのレゲエのブレイクに繋がった事は
間違いないと思います。

Disc 1は全12曲で収録時間は34分45秒。
Harry J All Starsのアルバム「Liquidator」が
そのまま収められています。

Disc 2は全18曲で収録時間は47分07秒。
こちらは当時のヒット曲を集めたコンピュレーション・
アルバムになっています。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Disc 2に入っているミュージシャンは、The Baltones、
Carl 'Cannonball' Bryan、Glen Adams、Trevor Shield、
Eric Frater、Winston Hines、Tony Scott、Val Bennett、
Bob Andy、Dave Barker & Glen Brown、The Blake Boy、
Marcia Griffiths、The Cablesとなっています。
こうしたミュージシャンが当時スキン・ヘッドに
ウケていて、イギリスでヒットを出していたと
思われます。

さてまずはDisc 1のHarry J All Starsの曲を
聴いた感想ですが、意外なほどサラッとした軽い
インストなんですね。
どうもスキン・ヘッド=不良少年が聴いた曲という
イメージからすると、例えばロカビリーみたいな
ネバっこい音を想像しがちですが、逆にアッサリした
音なんですね。
こういう音をイギリスの「ボウズ頭君」は好んだ
ようです。
ただこうした演奏のカシっと硬いドラムの音や
オルガンで作るメロディ・ラインに初期レゲエの
特徴がよく表れています。
このオルガンの音はキーボード奏者として70年代に
活躍したWinston Wrightが担当していたようで、
彼はのちにこの時代の曲を集めたソロ・アルバム
「The Liquidator Strikes Back」を出しています。

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Winston Wright - The Liquidator Strikes Back

Disc 1はHarry J All Starsのヒット曲
「Liquidator」や「My Cherie Amour」を中心に
した構成になっているようです。
5曲目「Don't Let Me Down」は世界で一番
有名なバンドThe Beatlesのヒット曲です。

My Cherie Amour - Harry J. All Stars


The Harry J All Stars - "The Liquidator" (Official Audio)


Harry J All Stars - Don't Let Me Down


聴き様によっては、まるでレゲエのイージー・リスニング
を聴いているような軽いノリが全体を貫いています。
ただそこにカシッとしたドラムの乾いた音が入って
来て、イイ感じで音を引き締めています。
すごく軽いノリなんですが、ヒネていないというか
イヤミが無いというか、けっこう素直で悪い音では
無いと思いました。

変わってDisc 2は歌ものが中心のコンピ。
こちらも比較的軽いノリの曲が多いですが、歌が
入っているのでけっこう楽しんで聴ける内容になって
います。
こちらもバックのカシッとした演奏に、軽いノリの
メロディ・ラインが気持ちいい感じです。
全体に陽性のノリの曲が多い気がします。
印象としてはルーツなどよりももっとポピュラーを
意識した曲が多い感じですね。
そのあたりはいかにもイギリスのスキンヘッドを
意識した音作りという感じです。

今ではあまり聴く事の出来ないようなアーティストが
入っているのもこのアルバムの魅力のひとつです。
けっこう面白かったのは11曲目サックス奏者の
Val Bennettのインスト・ナンバー「Tons Of Gold」
です。
この陽性なノリがまさにスキン・ヘッドの為の歌
といった感じの曲です。

Val Bennett - Tons of Gold


16曲目にロックステディ期に活躍したThe Cablesの
「Equal Rights」という曲が入っていますが、この
曲はThe Heptonesの同名曲ともPeter Toshの同名曲
とも違う第3の曲なんですね。
ちょっと陽性なノリが面白い曲です。

THE CABLES - EQUAL RIGHTS


大トリはBob Andy & Marcia Griffithsの
「Young Gifted And Black」です。
オリジナルはジャズ・シンガーNina Simoneの曲で、
当時恋人同士だったBob Andy & Marcia Griffithsの
歌ったこの曲は、イギリスで大ヒットしたんですね。
こうした活躍が徐々にジャマイカの音楽を、世界に
押し上げていったことは間違いありません。

Bob Andy and Marcia Griffiths - Young Gifted And Black


他にもこの時代だからこそ生まれた曲というのが、
このアルバムにはたくさん入っている気がします。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: Harry J & His Friends
○アルバム: Return Of The Liquidator
○レーベル: Trojan Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1991

○Harry J & His Friends「Return Of The Liquidator」曲目
Disc 1
1. Jack The Ripper
2. The Big Three
3. My Cherie Amour
4. Liquidator
5. Don't Let Me Down
6. Spyrone
7. Reach For The Sky
8. Interrogator
9. Jay Moon Walk
10. Elcong
11. Je T'aime
12. The Dog
disc 2
1. No More Heartaches - The Baltones
2. Soul Scorcher - Carl 'Cannonball' Bryan
3. Rich In Love [la La Always Stay] - Glen Adams
4. Please - Trevor Shield
5. Since You've Been Gone - Eric Frater
6. Home Without You - The Beltones
7. Cool Down - Winston Hines
8. Darling If You Love Me - Tony Scott
9. Mr. Lonely - The Jamaicans
10. What Am I To Do - Tony Scott
11. Tons Of Gold - Val Bennett
12. Peace Of Mind - Bob Andy
13. Festive Spirit - Dave Barker & Glen Brown
14. Cambodia - The Blake Boy
15. Put A Little Love In Your Heart - Marcia Griffiths
16. Equal Rights - The Cables
17. Weep - Bob Andy
18. Young Gifted And Black - Bob Andy & Marcia Griffiths