今回はThe Heptonesのアルバム

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「Fattie Fattie」です。

The Heptonesはロックステディの時代からルーツ・
レゲエの時代に活躍したコーラス・グループです。
特にロックステディの人気は凄まじく彼らの
アルバム「On Top」は、ジャマイカで一番売れた
アルバムと言われています。

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The Heptones - On Top (968)

そして彼らの残した楽曲は「Prety Looks Is't All」
をはじめとして、後々までファウンデーション・
リディムとして愛され続けるんですね。

またリード・ヴォーカルのLeroy Sibblesは多才な
人で、ベーシストとして当時のStudio Oneのバック・
バンドSound Dimensionでも活躍しています。

そんなThe Heptonesですが、その後はルーツの時代
にヒット曲は出したものの徐々に失速し、一時期
Leroy Sibblesが脱退し、Naggo Morrisが加入して
リード・ヴォーカルをとっていた時代もありました。
後にまたLeroy Sibblesが戻り、元の編成に戻って
います。

アーティスト特集 Heptones (ヘプトーンズ)

今回のアルバムですがThe Heptonesの1967年の
作品で、彼らのファースト・アルバムのようです。
もともとのタイトルは「The Heptones」で、それが
CD化する時に「Fattie Fattie」に改題された
ようです。

全14曲で収録時間は47分50秒。
オリジナルは12曲で、最後の2曲はCDボーナス・
トラックです。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Recorded at Jamaica Recording & Publishing Studio Ltd
Produced by Clement S. Dodd
Distributed by Coxone's Music City

という表記があります。

このロックステディの時代の録音なので、
バックは当時のStudio Oneのバック・バンド
Soul DefendersあるいはSoul Vendorsか
Sound Dimensionなどが担当していると
思われます。

さて今回のアルバムですが、このロックステディ
やルーツ・レゲエの好きな人ならかなり
シビレるアルバムだと思います。
彼らの大ヒット・アルバム「On Top」と
較べても全く遜色のない良く出来たアルバム
なんですね。
ロックスステディ好きだったら押さえて
おいて損はないアルバムだと思います。

実は今回このアルバムを買ったのには、もう
ひとつ別の目的もありました。
上に記載したレゲエレコード・コムのThe
Heptonesの紹介ページをよく読んでもらうと
気が付く人も居るかと思いますが、今回の
アルバムのタイトルになっている「Fattie
Fattie」という曲は、The Heptonesの曲の
中でもちょっと問題のある曲なんですね。

レゲエレコード・コムのThe Heptonesの紹介
ページには、次のような一文があります。

「彼らの最初のヒット、きわどい歌詞の
'Fatty Fatty'はラジオではかけられない
ほどわいせつだと言われた。」
(レゲエレコード・コムThe Heptonesの紹介
ページより)

つまり彼らの最初のヒット曲Fatty Fatty
(=Fattie Fattie)は、わいせつな曲でラ
ジオでかけられないほどだったんですね。
つまり「スラックネス」の曲だったんですね。

もちろんその「スラックネス」、わいせつと
いう価値判断は、時代とともに変わります。
のちにこの曲「Fattie Fattie」をプロデュース
したC. S. Doddは、スタジオを貸したBunny Lee
がMax Romeoの「Wet Dream」を録音した際には、
曲がわいせつ過ぎて怒ってスタジオを出て行った
というエピソードが残っています。

おそらくこの「Fattie Fattie」と「Wet Dream」
では、わいせつ度に相当の差があったんじゃ
ないかと思います。
歌詞が解らないのでたぶんですが、この
「Fattie Fattie」は、聞きようによっては
わいせつに聞こえるというレベルだったんじゃ
ないかと思います。
それが時代が進むと表現がストレートになって、
もろに…という表現になっていったんじゃないか
と思います。

ちなみにMax Romeoの「Wet Dream」は、ジャマイカ
では放送禁止、イギリスでは1回放送されただけで
放送禁止になったんですが、それがイギリスの
不良少年スキンヘッドにウケて、放送禁止にも
かかわらずヒットチャートを駆け上ったという
事が起きています。

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Max Romeo - Wet Dream

そんな放送禁止になるまでわいせつな曲では
無かったにしても、この曲がかなりセクシーな
曲であったのは事実のようです。
そのあたりの興味も、今回アルバムを買った
理由のひとつでした。
やっぱりこうしてブログを書いていると、
ネタになるアルバムは買っちゃう傾向が
あります(笑)。

1曲目はその「Fattie Fattie」です。
この曲のリディムは、のちにも名リディムと
してよく使われています。
書いたように市がかなりセクシーな内容のよう
です。

The Heptones - Fattie Fattie


2曲目「Why Must I」もこのロックステディ
の時代らしいスローなリズムに美しいコーラス・
ワークが冴える曲です。

THE HEPTONES - WHY MUST I


3曲目は「Only Sixteen」です。
名ベーシストとしての評価も高いLeroy Sibbles
ですが、彼のとろけるような甘いヴォーカルがこの
The Heptonesの最大の魅力になっています。

4曲目「Mama」は、明るい曲調にLeroy Sibblesの
甘いヴォーカルとコーラス・ワークが冴えた1曲
です。

5曲目「The Best Things In Life」は、ヴォーカルに
ブラスを絡めたちょっと面白い曲です。
こういう曲の作りに「レゲエのモータウン」と言われた
Studio Oneのスキルの高さが垣間見えます。

6曲目「Gee Wee」ですが、この曲だけは明らかに
Leroy Sibbles以外の人物がリード・ヴォーカルを
とっています。
コーラスのEarl MorganとBarry Llewelynのどちらか
だと思うんですが、もちろん下手だからコーラスと
いう訳では無いので、充分に素晴らしい歌声を
聴かせています。

7曲目「I've Got A Feeling」は、このアルバムの
「Fattie Fattie」と並ぶもうひとつの目玉曲とも
いえる曲です。
Studio OneにThe Heptonesという組み合わせの
素晴らしさが実感できる、シビレる1曲です。

The Heptones - I've got a feeling


8曲目「Tripe Girl」も、The Heptonesの代表曲と
いえる1曲です。

この辺でやめておきますが、全体にロックステディ
特有のゆったりしたリズムに甘いメロディという
取り合わせがすごくウマくキマったアルバムです。
やっぱりこの時代のロックステディのリズムに
さらに甘いLeroy Sibblesのヴォーカルという
組み合わせは、この時代の最高の組み合わせ
だったんだと思います。

このロックステディの時代は、その後その中心人物
だったJackie MittooとLyn Taittがカナダ移住を
決めてしまった為に、66年から69年という
わずか3年間で幕を閉じてしまうんですね。
この後に来たのがレゲエの時代で、ジャマイカの音楽
はこのレゲエで世界的なブレイクを果たすんですね。

ただもしもロックステディの時代がもう少し長く
続いていたら、彼らThe Heptonesの運命ももう少し
変わったものになったのかもしれません。
そのレゲエの時代になっても彼らは健闘しますが、
やっぱり彼らThe Heptonesに似合っていたのは、
ビターな風味のレゲエよりこのスウィートな
ロックステディだった気がします。
その後彼らは徐々に失速して行くんですね。

ただ今回のアルバムは、そんなロックステディの
時代に光り輝いたグループThe Heptonesの
もっとも素晴らしい時代を記憶した大切な
アルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: The Heptones
○アルバム: Fattie Fattie
○レーベル: Studio One
○フォーマット: CD LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1967

○The Heptones「Fattie Fattie」曲目
1. Fattie Fattie
2. Why Must I
3. Only Sixteen
4. Mama
5. The Best Things In Life
6. Gee Wee
7. I've Got A Feeling
8. Tripe Girl
9. Baby
10. Let's Fall In Love
11. Take A Tip From Me
12. Cry Baby Cry
Bonus Tracks
13. Why Did You Leave
14. Get In The Groove