今回はThird Worldのアルバム

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「Third World」です。

Third Worldはルーツ・レゲエの時代から国際的に
活躍したレゲエ・バンドとして知られています。
ネットの記述などを見るとInner Circleの元メンバー
を中心に1973年に結成されたバンドとの事です。

Third World/Bunny Rugs (サード・ワールド/バニー・ラグス)

今回のアルバムは1976年の作品で、大手
レーベルIslandからの彼らのメジャー・デビュー・
アルバムです。

全16曲で収録時間は76分18秒。
オリジナル曲は8曲で、残りの8曲はCDボーナス・
トラック。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

All Tracks Produced by Chris Blackwell & Tird World

Musicians:
Bass: Richard Daley
Drums: Carl 'Cornel' Barovier
Keyboards: Michael 'Ibo' Cooper
Lead Guitar: Stephen 'Cat' Coore
Lead Vocals: Milton 'Prilly' Hamilton
Percussion: Irvin 'Carrot' Jarrett

となっています。

このThird Worldは6人組のグループで、そのメンバー
だけでファースト・アルバムの録音が行われたよう
です。

レゲエレコード・コムのこのバンドの紹介ページに
よると、リード・ギターのStephen 'Cat' Cooreは、
ジャマイカの元副総理大臣、David Cooreの息子で、
さらにメンバーの多くがジャマイカの中流階級生まれ
だった為に、バンドが大きな成功を収めながらも
なかなか高評価されなかったそうです。

さて今回のアルバムですが、私がまだ20代だった
頃に発売された日本盤のLPを聴いているんですね。
この日本盤の小倉エージさんの解説文を読むと、この
アルバムが発売されたのは78年頃の事だったようで、
その頃に買ったアルバムだと思います。

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Third World - Third World (LP)

当時はまだレゲエという音楽をBob Marleyで知った
ぐらいの頃で、まだ深くはレゲエを聴いていなかった
んですね。
このアルバムもそんな私の「教科書」になった
アルバムのひとつでした。

レゲエの名曲「Satta Massagana」なども、このアルバム
で初めて知った曲でした。
アルバムの1曲目に「Satta Amassa Gana」という
タイトルで入っていますが、実はこの曲のタイトルは
発売された時には「Sette Messgana」になっていました。
その為私はこの曲のタイトルを、長いこと
「セタ マスガナ」として憶えていました(笑)。
日本盤だったので中に小倉エージさんの解説文と
訳詩が付いていたんですが、そこに「セタ マスガナ」
と書いてあったんですね。

その後私は長いことレゲエを聴かない時期があって、
また5,6年前から聴き始めたのですが、この
Third WorldのファーストのCDは、どういう訳か
あまり売っているのをみた事がありませんでした。
今回やっと中古で見つけたので、買ってみたという
訳です。

さて久しぶりにじっくりと聴いてみた印象ですが、
もともとかなり洗練されたサウンドを作るバンドだなぁ
という印象があったんですが、今回もそれを強く
感じました。
ネットの記事などを見ると、このグループを評して
「ルーツ・レゲエとソウルを融合させた音楽スタイル」
などと書かれていましたが、その評価はおおむね
当たっていると思います。
今回のアルバムでも6曲目「Got To Get Along」など、
かなりソウル色の強い曲がけっこうあるんですよね。
世界的に活躍したバンドなので、当時としてはただ
ルーツ・レゲエというよりは、聴き易いソウルを混ぜる
というアプローチが必要な部分があったのかもしれ
ません。

たびたびこのブログでも書いていますが、この
ルーツの時代はジャマイカ国内で頑張った人と
海外に出てレゲエを広めた人が居るんですよね。
今聴くとジャマイカ国内でディープなレゲエを
作っていた人の方が、海外やロックとソウルなどを
融合して聴き易いレゲエを作っていた人より、
良く聴こえてしまう部分があります。
ただ果たした役割が違うんですね。

Bob Marleyなどもメジャー・デビューしてから
ロック色が強くなったと批判される部分があります
が、そうする事でレゲエという音楽を広め、多くの
レゲエ・ユーザーを獲得して行ったんですね。
もしも彼が多くの人の耳にレゲエという音楽を
届けなかったとしたら、レゲエという音楽は
今ほど聴かれていなかったのかもしれません。
その事を無視して批判するのは、間違っていると
思うんですよね。

今回のThird Worldも海外の多くの人にレゲエを
届けたバンドとして、評価されるべきバンドだと
思います。
特に今回のアルバムは彼らのファーストという
事もあって、力のこもった曲が詰まっている
アルバムだと思いました。

1曲目「Satta Amassa Gana」は、The Abyssinians
でもよく知られるルーツ・レゲエを代表する
1曲です。
今はいろいろな「Satta Massagana」を聴いている
ので、今聴くとかなり洗練されて聞こえますが、
当時としてはかなり土着的な面白い曲だと思った
事を覚えています。
意外とこのアルバムで「Satta Massagana」を知った
という人は多いんだと思います。

Third World-Satta Massagana.flv


短い曲「Kumina」に続いて3曲目には、あの
Burning Spearの代表曲「Slavery Days」が入って
います。
この曲は7分半を超える大作で、このアルバムの
目玉曲のひとつです。
こうしたBurning Spearの曲演奏する事で、多くの人
がBurning Spearというアーティストを知るきっかけ
にもなっているんですね。
Burning Spearのがこの後メジャーなアーティストに
なっていった背景には、こうした多くの仲間の
支援があったんですね。

Third World - Slavery Days


4曲目「Brand New Beggar」は、彼らの初期の代表曲
のひとつです。
かられらしいソウルっぽいハーモニーと、ルーツの
リズムをうまく組み合わせた曲です。

5曲目「Cross Reference」は明るいコーラス・ワーク
が楽しい短めの曲です。

6曲目「Got To Get Along」は、このアルバムの
目玉曲のひとつともいえるとてもソウルフルな曲です。
このソウルとレゲエの融合ともいえるサウンドに、
彼らの個性がとてもよく出ています。

Third World - Got To Get Along


7曲目「Sun Won't Shine」は、彼らの初期のヒット曲
として知られている曲らしいです。
「Third World - Sun Won't Shine Take 2, Harmonica」
の声の後、ハーモニカからハーモニーになるイントロが
凝った1曲です。
ここでも彼ららしいコーラス・ワークの素晴らしさが
光ります。

Third World - Sun Won't Shine


オリジナルのラスト8曲目は、「Freedom Song」です。
ここでもコーラス・ワークをうまく交えながら、曲を
絶妙に盛り上げて行く展開がウマいです。

ここまでがオリジナルで後の8曲はCDボーナス・
トラックですが、「Satta Amassa Gana」のダブ
「Satta Amassa Gana Dub」などのダブ・ヴァージョン
や(Alternate Take)など、このアルバムに関係した
曲をうまくセレクトしています。

こうしたダブも作っているなら、ダブ・アルバムも
出せば良かったのにという気がするのですが、
出しても売れないというメジャーの判断があったのか?
こうした形でも聴けるのは良い事だと思います。

実際に今回こうしてじっくりと聴いてみると、この
Third Worldもけっして悪いグループではないと思う
んですよね。
少なくとも今回のジャケットと同じイラストの
「96 In The Shade」や「Journey To Addis」の
頃までは、それなりに面白いサウンドを作って
いたような気がします。

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Third World - 96 In The Shade (1977)

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Third World - Journey To Addis (1978)

ジャケットもなかなか素敵なので、このあたり
までは押さえておいて損はないと思います。
特に今回のアルバムはメジャー・デビュー
という事もあり、彼らの意欲を強く感じる
アルバムだと思います。

その後Third Worldは徐々にディスコ色が
強くなって行ってしまうようなのですが、
少なくとも彼らがレゲエという音楽を
広く世界に知らしめたという事は、高く
評価したいと思います。

機会があれば聴いてみてください。

Third World - Now That We've Found Love - RockPop, Munich, Germany (1978/11/18)


Third World - Now That We Found Love



○アーティスト: Third World
○アルバム: Third World
○レーベル: Caroline Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1976

○Third World「Third World」曲目
1. Satta Amassa Gana
2. Kumina
3. Slavery Days
4. Brand New Beggar
5. Cross Reference
6. Got To Get Along
7. Sun Won't Shine
8. Freedom Song
Bonus Tracks
9. Don't Cry On The Railroad Track
10. Rainbow Love
11. Satta Amassa Gana Dub
12. Slavery Days (Alternate Take)
13. Brand New Beggar Dub
14. Got To Get Along (Alternate Take)
15. Sun Don't Shine Dub
16. Freedom Song Dub

●今までアップしたThird World関連の記事
〇Third World「More Work To Be Done」
〇Third World「Journey To Addis」