今回はVarious(オムニバス)もののアルバム

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「Dubwise & Otherwise 2: A Blood & Fire
Audio Catalogue」です。

これは今は活動を停止しているBlood & Fire
レーベルのサンプラーです。
本来はアルバムの販促の為に作成されたアルバムなの
でしょうが、アルバム1枚1枚が素晴らしく、こうして
まとめても聴きごたえ充分な内容になっています。

全17曲で収録時間は67分00秒。

詳細なミュージシャンの表記はありませんが、表ジャケ
が見開きになっており、そこには元のアルバムの写真と
作曲者などの情報が明記されています。

さて今回のアルバムですが、全17曲なので17枚の
アルバムのうち、Blood & Fireレーベルのもので無い
もの1枚も含めて9枚のアルバムを持っていました。
その多くがかなり良いと思ったアルバムです。

やっぱりこのBlood & Fireというレーベルは、レゲエ
にとって大切な仕事を成し遂げて来たレーベルなんだ
なぁとあらためて思いました。
こういうレーベルが今は活動停止に追い込まれている
という事は、このサンプルに入っているアルバムの多く
が手に入りにくいという事なんですよね。
リスナーにとって貴重なアルバムが手に入りにくく
なっている現状は、本当に残念でなりません…。

今回は持っているアルバムを中心に紹介してみようと
思います。

1曲目Linval Thompson & U Brownの「Train To Zion
[Discomix]」はU Brownのアルバム「Train To Zion」
からの1曲です。

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U Brown - Train To Zion (1997)

U Brownはアクの強さは無いけれど、しっかりした
トースティングで好感の持てるディージェイです。
こういう良いディージェイを、Blood & Fireはうまく
集めて来るレーベルなんですよね。

3曲目Impact Allstarsの「Easy Come Dub」は、
Impact Allstarsのアルバム「Forward The Bass:
Dub From Randy's 1972-1975」からの1曲です。

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Impact Allstars - Forward The Bass: Dub From Randy's 1972-1975 (1998)

Impact Allstarsにはもう1枚「Java Java Java Java」
というダブの歴史の中でも特に貴重な、1973年に
発表された最初期のダブ・アルバムがあるのですが、
聴き心地で言えばこちらのアルバムの方がさらに強烈な
アルバムです。

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Impact Allstars - Java Java Java Java (1973)

このImpact Allstarsのダブを作ったのは、当時
Randy'sでエンジニアをしていたErrol Thompsonです。
彼はその功績からKing TubbyやLee Perry、Keith Hudson
と並んで「創世記ダブ四天王」と呼ばれる事がある
ようです。
いずれにしてもこうした人達が、ダブという音楽の
形態を作っていったことは間違いありません。

4曲目Junior Byles & Rupert Reidの「Chant Down
Babylon」はJunior Byles & Friendsのアルバム
「129 Beat Street: Ja-Man Special 75-78」からの
1曲です。

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Junior Byles & Friends - 129 Beat Street: Ja-Man Special 75-78 (1998)

Junior Byles And Rupert Reid - Chant Down Babylon (Extended)


Junior Bylesはその純粋な魂ゆえに、エチオピア皇帝
ハイレ・セラシエの死去に伴い自殺未遂を起こし、
最後はゴミ箱をあさる程に落ちぶれてしまったという
人です。
「Chant Down Babylon」は彼の一番のヒット曲です。
レゲエには成功者の陰に成功出来なかった多くの人
が居ますが、そういう人の中でも忘れられない曲を
残した人一人がこの人なんですね。

10曲目Cornell Campbellの「Two Face Rasta
[Extended]」は彼のアルバム「I Shall Not Renove
1975-80」からの1曲です。

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Cornell Campbell - I Shall Not Remove 1975-80 (2000)

cornell campbell - two face rasta


このアルバムは彼の代表曲「The Gorgon」や「Dance
In A Greenwich Farm」などが収められた彼のアルバム
の中でも特に素晴らしい1枚です。

11曲目Trinityの「Tradition」は、彼のアルバム
「Shanty Town Determination」に収められた1曲です。
彼というディージェイの素晴らしさが、充分に収め
られたアルバムです。

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Trinity - Shanty Town Determination (2000: Original 1977)

13曲Sylford Walkerの「Babylonians」は、彼の
アルバム「Lamb's Bread」からの1曲です。

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Sylford Walker - Lamb's Bread (1988)

このアルバムに関しては、私の持っているのは
Shanachieというレーベルのアルバムです。
ちなみにBlood & Fireからは「Lamb's Bread I
nternational」というタイトルのアルバムが出て
います。

Sylford Walker は最近でもAugustus Pabloの息子
Addis Pabloのアルバム「My Fathers House」に1曲
参加していたり、現役バリバリの人なんですね。
知名度はちょっと低い人なんですが、この「Lamb's Bread」
はルーツ好きだったら絶対にヤラレちゃうアルバムです。

14曲目Big Youthの「Mama Look」は、彼の初期の
仕事をまとめた3枚組のアルバム「Natty Universal
Dread 1973-1979」からの1曲です。

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Big Youth - Natty Universal Dread 1973-1979 (2000)

Big Youth - Mama Look


このアルバムも私にとっては忘れられない1枚です。
それまでディージェイってどういう音楽かつかめない
でいたんですが、このアルバムを聴いてディージェイ
の面白さに目覚めました。
Big Youthというのは西洋音楽に無いような、息づかい
すら曲にしちゃうような独特の「間」を持った人
なんですね。
その魅力にハマってひと夏中このアルバムを聴いて
いたのを覚えています。
またこのアルバムはあとに紹介する「Darker Than Blue」
などとともに、Blood & Fireのアルバムの中でも最も
売れたアルバムの1枚なんですね。

16曲he Tamlinsの「Baltimore」は、レゲエとソウル
の関わりを追求したオムニバス・アルバム「Darker
Than Blue: Soul from Jamdown 1973-1980」からの
1曲です。

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Various - Darker Than Blue: Soul from Jamdown 1973-1980 (2001)

The Tamlins - Baltimore


Blood & Fireのアルバムは本当に素晴らしいアルバム
が多いのですが、その中でもこれは極めつけの1枚と
言えるでしょう。
レゲエ・シンガーの歌うソウルの曲を集めたアルバム
なんですが、その1曲1曲がシリアスで魂を締め付け
られるような、魂が伝わってくる感動的なアルバム
です。
1曲目ファンク野郎のBris Gardinerの「Ghetto Funk」
から始まり、Carl Brdneyの「Slipping Into Darkness」
やKen Boothの「Ain't No Sunshine」、Milton Henryの
「Gypsy Woman」、タイトル曲のLloyd Charmersの
「Darker Than Blue」など、息もつかせぬ程の名曲が
これでもかというほどに詰まったアルバムです。

シメの17曲目Leroy Smart & I-Royの「Jah Is My Light
/Wicked Eat Dirt」は、I Roy、U Roy、Big Youthと
いったルーツ・ディージェイのNiney The Obseverとの
名演を集めたアルバム「Microphone Attack: Niney The Obsever
1974-78」からの1曲です。

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Various - Microphone Attack: Niney The Obsever 1974-78 (2001)

これを聴けば当時のルーツ・ディージェイのトースティング
がいかに凄かったのかが解るアルバムです。
本当にシビれるトースティングがたくさん詰まって
います。

さすがにBlood & Fireのサンプラーともなると、入って
いる曲のレベルが他と違うんですね。
持っているアルバムだけこうして見ていっても、
実際に聴いてかなりシビレたアルバムばかりです。
それだけ良いアルバムを出していてくれたレーベル
なんですね。

こういう素晴らしいレーベルが今はアルバムを
出していないのが本当に残念です。
ただ中古ではこうしたアルバムも売られている事が
あるので、興味のある人は探してみてください。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Various
○アルバム: Dubwise & Otherwise 2: A Blood And Fire Audio Catalogue
○レーベル: Blood & Fire
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2002

○Various「Dubwise & Otherwise 2:
A Blood And Fire Audio Catalogue」曲目
1. Train To Zion [Discomix] - Linval Thompson & U Brown
2. Fire In A Kingston - Vivian Jackson & The Prophets
3. Easy Come Dub - Impact Allstars
4. Chant Down Babylon - Junior Byles & Rupert Reid
5. Love Up Your Brother And Sisters [Extended] - Johnny Clarke
6. Bag A Wire Dub - King Tubby
7. Vally Of Jehosaphat [Extended] - Max Romeo
8. Natty Supper - The Chantells
9. General Amin - Inner Circle & The Fatman Riddim Section
10. Two Face Rasta [Extended] - Cornell Campbell
11. Tradition - Trinity
12. Jah Jah The Conqueror - Linval Thompson
13. Babylonians - Sylford Walker
14. Mama Look - Big Youth
15. Slave Master - Gregory Isaacs
16. Baltimore - The Tamlins
17. Jah Is My Light/Wicked Eat Dirt - Leroy Smart & I-Roy