今回はEarl Chinna Smithのアルバム

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「Home Grown」です。

Earl Chinna Smithは70年代のルーツ・レゲエ
の時代から現在に至るまで、長きにわたって
活躍するレゲエを代表するギタリストです。
この人の活動歴は本当に凄くて、70年代の
ほとんどのレゲエのアルバムのリード・ギター
を担当しているほか、The Soul Syndicateの
リーダーを務めているうえに、自身のレーベル
High Timesではプロデューサーもしているん
ですね。
また近年になっても自身の家にミュージシャン
を招いて、アコースティックでセルフ・カヴァー
した「Inna De Yardシリーズ」を数多く発表
しています。
音楽史の中で最も多くのレコーディングに
参加した人だと言われているのが、この
Earl Chinna Smithなんですね。

アール・チナ・スミス - Wikipedia

High Times (ハイ・タイムズ)

今回のアルバムは1991年の作品です。
ネットで調べてみたところ、なんと!この
アルバムがEarl Chinna Smithのサード・
アルバムらしいです。
数々のセッションに参加したChinna Smith
ですが、意外とソロ・アルバムは77年の
「Sticky Fingers」がファースト・アルバムで、
次に出したのが83年の「Dub It!」、そして
このアルバムという事らしいです。
The Soul Syndicateの活動があるとはいえ、
意外と少ないんですね。

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Earl Chinna Smith - Dub It! (1983)

ちなみに今回手に入れたアルバムは、TDK Records
というところから出ている日本盤CDで、
表ジャケの内側が小冊子になっていて、
そこにダディ・オカダさんという方と
酒井裕子さんという方の解説文が付いて
いました。
日本では95年に出たアルバムらしいです。

全12曲で収録時間は47分51秒。

ミュージシャンについては以下の記載が
あります。

Produced by Earl Chinna Smith for High Times Records
Musicians: High Times Players
Recorded at Tuff Gong, Music Mountain, Leggo Sounds
Engineers: Stephan Stanley, Mickey Riley, David Rowe, David Hamilton,
Rohas Richards, Bravo, Busha
Backing Voces: Vislon, George Allison, Pam Hall, Sharon Foresta, Max Edwards,
Donovan Joseph, Bandito, Jennifer Lara, Earl Chinna Smith
Rap on 'Stone Out Of My Mind': Wilfura 'Squidley' Cole

となっています。

実はジャケットの内側にも同じような記述
があったのですが、裏ジャケにある記述とは
微妙に違うんですね。
そこで裏ジャケの文字を写したのですが、
斜体でとても読みづらかったので、若干
間違っているかもしれません。

バックはHigh Times Playersとなっていて、
細かいプレイヤーが解らないのがちょっと残念
です。
バッキング・ヴォイス(ヴォーカル)に、Pam Hall
やStudio Oneにアルバムを残しているJennifer Lara
などが参加しています。

さて今回のアルバムですが、やっぱりEarl
Chinna Smithというとかなりルーツ色の強い
演奏を期待している人が多いと思うのですが、
これがビックリ!なんとまるでジャズの
フュージョン系のようなサウンドなんですね。
その音の印象の違いを評してかネットの販売
サイトのアルバム評では、「プログレッシヴ・レ
ゲエの最高傑作」などと書いているところも
ありました。
その「プログレッシヴ・レゲエ」という表現が
当たっているかは解りませんが、Chinna Smith
が明らかに今までレゲエにない表現を大胆に
取り入れた事は間違いありません。

彼は彼でちゃんと自身のアルバムを出す意味を
考えて、このアルバムを作っているんですね。
この音が好きか嫌いかは、おそらく評価の
分かれるところだと思いますが、少なくとも
彼がちゃんと問題意識を持って、このアルバムを
作った事は間違いありません。
一見控え目だけれどしっかりした意志を持った
Earl Chinna Smithという人らしいチャレンジ
だと思います。

前半はフュージョンぽいほぼインストもの、
後半はほぼ歌ものという構成です。

インストで印象的なのは4曲目「Stone Out Of
My Mind」です。
曲の頭にWilfura 'Squidley' Coleという人の
ラップが入っていて、時折コーラスが入ったりも
しますが、Chinnaの演奏を中心としたシビレる
くらいもの凄くカッコイイギター・インスト
なんですよね。

前半はこうしたChinnaのプレイが光るインストを
多く配しています。
こうしてChinnaのインストを聴いてみると、彼が
セッションで参加しているアルバムではかなり
禁欲的にプレイしている事が、逆によく解ります。

8曲目「Daniel」から最後の12曲目「I Feel
Secure」までは歌ものが続きます。
この中ではのちにEarl Chinna Smith & Idrensの
「Inna De Yard」でアコースティックで再演された
9曲目表題曲の「Home Grown」と、10曲目
「Fade Away」が印象的です。

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Earl Chinna Smith & Idrens - Inna De Yard

この「Home Grown」は、今やChinnaのThe Soul
Syndicate時代の「Mariwana」と並ぶ代表曲の
ひとつとなっています。
Chinna Smithはけっしてうまいヴォーカリスト
では無いかもしれませんが、この曲に彼の人柄
が滲んでいます。

次の10曲目「Fade Away」は、このアルバムの
作られた90年代のデジタルのダンスホール・
レゲエを彷彿させる曲です。
オリジナルは70年代にJunior Bylesによって吹き
込まれた曲のようなのですが、聴き比べてみると
ヴォーカルは別の人のような気がします。

Junior Byles - Fade Away (Mabruku Extended Mix)


意外なほどクールでスタイリッシュな魅力に溢れた
アルバムです。
このChinna Smithはソロ・アルバムでは、毎回違う
顔を見せているんですね。
このアルバムを聴くとそうしたEarl Chinna Smithと
いう人の、底知れぬ音楽性がよく解ります。

機会があれば聴いてみてください。

Earl "Chinna" Smith - Homegrown



○アーティスト: Earl Chinna Smith
○アルバム: Home Grown
○レーベル: TDK Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1991

○Earl Chinna Smith「Home Grown」曲目
1. Modern Ska
2. Westmoreland
3. High Gear
4. Stone Out Of My Mind
5. Line & Space
6. My Imagination
7. You Will Know
8. Daniel
9. Home Grown
10. Fade Away
11. Pick Pocket
12. I Feel Secure