今回はVarious(オムニバス)もののアルバム

studio_one_kings_01a

「Studio One Kings」です。

Soul Jazz Recordsから出ているStudio Oneシリーズ
ですが、今回はStudio Oneの男性ヴォーカリストに
焦点を当てた1枚です。
このシリーズの良いところは、とにかくハズレと
いうアルバムが無い事です。
選曲が素晴らしくリスナーを満足させる内容の
アルバムに仕上げているんですね。

このシリーズを聴くと、いかにStudio Oneという
レーベルが素晴らしいレーベルであったかがよく
解ります。
スカの時代から活躍した老舗レーベルですが、
「レゲエのモータウン」と称されたこのレーベルが
いかにレゲエという音楽の発展に貢献して来たのか、
その役割の大きさが解る内容になっているんですね。
ではなぜこのレーベルがこれだけ素晴らしい音楽を
作り続ける事が出来たかというと、それは主催者
C.S. Doddを中心とするこのレーベルが、深い愛情を
持って音楽を作っているからなんですね。
ただ売れるものを作りたいでは無くて、みんなに
愛される音楽が作りたい、そういう愛情をこの
レーベルからは感じます。
だから時間がいくら経っても、時代が変わっても、
このレーベルは輝き続けているのだと思います。

全17曲で収録時間は62分35秒。

詳細なバックのミュージシャンの表記はありませんが
Studio Oneのアルバムなので、The Soul Defenders→
The Soul Vendors→Sound Dimensionといった
Studio Oneのバック・バンドが演奏している可能性が
高いです。

さて今回のアルバムに収められている「王様」ですが、
Larry Marshall、Horace Andy、Alton Ellis、
Johnny Osbourne、Anthony Rocky Ellis、Cornell Campbell、
Alexander Henry、Burning Spear、Joe Higgs、
Devon Russell、Ken Boothe、Freddie McGregor、
Freddie McKay、The Ethiopian、George Philip、
John Holt、Delroy Wilsonといった人達がセレクト
されています。
何人か知らない人の名前がありますが、多くはレゲエを
代表する名シンガーの名前が並びます。

1曲目はLarry Marshallの「I'Ve Got To Make It」
です。
この曲は彼の代表曲のようで、ネットでこの曲を検索
すると、真っ先に彼の名前が出て来ます。

2曲目はHorace Andyの「Every Tongue Shall Tell」
です。
今ではジャマイカの国民的歌手とまで言われるHorace
Andyですが、初めはいとこのJustin Hindsの方が
ずっと人気が高く、その名前もBob Andyから「Andy」を
もらって付けたと言われています。
その才能を早くから見抜いていた一人がこのC.S. Dodd
だったんですね。
この曲も「Skylrking」と並ぶ彼のStudio Oneでの
初期のヒット曲のひとつです。

Horace Andy - every tongue shall tell


3曲目は名シンガーAlton Ellisの「The Well Run Dry」
です。
早くから活躍するこの人ですが、Studio Oneにも数々
の名曲を残しています。

4曲目はJohnny Osbourneの「Water More Than Flour」
です。
デジタルのダンスホールの頃まで長く活躍した彼ですが、
ロックステディの時代にソロ・アルバムまで出したもの
のカナダに移住してしまい、ルーツ・レゲエの終わり頃
にまたジャマイカに戻って来たという変わった経歴の
持ち主なんですね。
ただ確かな実力の持ち主であることは、よく知られて
います。

5曲目はAnthony Rocky Ellisの「I'm The Ruler」です。
この人は正直よく知りません。
ただこういう人に出会えるのもコンピの面白さですね。

Anthony Rocky Ellis-i am the ruler


6曲目Cornell Campbellの「Pretty Looks Isn't All」
は、The Heptonesのロックステディの名曲です。

7曲目はAlexander Henryの「Please Be Ture」です。
この人もあまり知らない人なんですが、さすがに
「Kings」に選ばれるだけあって魅力的な歌唱を
聴かせています。

Alexander Henry - Please Be True


8曲目はBurning Spearの「Them A Come」です。
ルーツといえば真っ先に名前の挙がるこの人ですが、
出発点はやはりこのStudio Oneであったことは、
よく知られている事実です。

9曲目はJoe Higgsの「Change Of Plan」です。
Joe Higgsはロックステディの時代から活躍する人
ですが、Bob Marleyをはじめとする多くのシンガー
を育てた事でもよく知られています。
レゲエの陰の功労者が彼なんですね。

10曲目はDevon Russellの「Roots Natty」です。
この曲はBob Marleyの名曲「Soul Rebel」として
よく知られる曲です。
胸に突き刺さるような歌声が印象的なこの曲は、
今回のアルバムの中でも白眉の1曲です。

Devon Russell - Roots Natty


11曲目はKen Bootheの「Be Yourself」です。
ロックステディの時代から活躍し、「ミスター・
ロックステディ」の称号も得た男の軽快な1曲。

12曲目Freddie McGregorの「I Shall Be Released」は、
アメリカの詩人でありフォーク・シンガーのBob Dylanの
代表曲です。
この曲はアメリカのロック・バンドThe Bandなども演奏
しており、ポピュラー・ソングとしてもとても有名な曲
です。
レゲエでもKeith Hudsonなどが歌っています。
無実の罪で囚われた男の「私を解放(釈放)してくれ」
という切実な思いが歌われた曲です。
Freddie McGregorのサラッとした歌っぷりが、かえって
胸に迫る曲です。

13曲目「Father Will Cut You Off」は、レゲエに
様々な佳曲を残した名シンガーFreddie McKayの曲です。
当時はシングルがほとんどで、あまりアルバムが無かった
この人なのですが、今では多くのアルバムがリリース
されています。
時が経つほど見直されているシンガーの一人です。

14曲目はヴォーカル・グループThe Ethiopianの
「Locust」です。

15曲目はGeorge Philipの「One One」です。
これまた知名度はイマイチの人ですが、当時の空気感を
よく伝える1曲が選ばれています。

George Philips - One One


16曲目はThe Paragonsでもよく知られる大御所
John Holtの「I Don't Want To See You Cry」です。

ラスト17曲目はベテラン・シンガーDelroy Wilson
の「Won't You Come Home」です。
トリを飾るにふさわしい曲が選ばれています。

Delroy Wilson - Won't You Come Home


このStudio Oneシリーズの特徴なんですが、佳曲を
多く揃えながらその中でも特に優れた「目玉曲」を
うまく混ぜ込んであるんですね。
ちゃんと耳で聴いて選んでいるから、こういう
素晴らしい選曲になるんだと思います。
内容には文句のつけようがありません。

今回のアルバムは「Studio One Kings」というタイトル
通りに、「王様」と呼べるだけのシンガーをそろえた
アルバムです。
なぜ彼らが王様なのか?答えはこのアルバムを聴けば
解るんじゃないでしょうか。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Various
○アルバム: Studio One Kings
○レーベル: Soul Jazz Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2007

○Various「Studio One Kings」曲目
1. I'Ve Got To Make It - Larry Marshall
2. Every Tongue Shall Tell - Horace Andy
3. The Well Run Dry - Alton Ellis
4. Water More Than Flour - Johnny Osbourne
5. I'm The Ruler - Anthony Rocky Ellis
6. Pretty Looks Isn't All - Cornell Campbell
7. Please Be Ture - Alexander Henry
8. Them A Come - Burning Spear
9. Change Of Plan - Joe Higgs
10. Roots Natty - Devon Russell
11. Be Yourself - Ken Boothe
12. I Shall Be Released - Freddie McGregor
13. Father Will Cut You Off - Freddie McKay
14. Locust - The Ethiopian
15. One One - George Philip
16. I Don't Want To See You Cry - John Holt
17. Won't You Come Home - Delroy Wilson