今回はKing Jammyのアルバム

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「King At The Controls: King Jammy Essential Hits」です。

King Jammyはレゲエのプロデューサーとして
有名な人です。
はじめはPrince Jammyと名乗っており、King Tubby
のもとでエンジニアとして働いていました。
独立して80年代の半ばにWayne Smithの「Under Mi
Sleng Teng」で大ヒットを飛ばします。
これを機にコンピューターを使った「デジタル革命」
いわゆるコンピューター・ライズドの大ブームが
起きるんですね。
その「Sleng Teng」のヒット以降Prince Jammy→
King Jammyと名乗るようになるんですね。

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Wayne Smith - Under Mi Sleng Teng

KIng Jammy(キング・ジャミー)

さて今回のアルバムはそんなKIng JammyのVPレーベル
から出ているアンソロジーです。
KIng Jammyのアンソロジーとしては先に第4集まで
ある「Selectors Choiceシリーズ」を紹介しましたが、
今回はそれを1枚のCDにまとめたような内容です。
副題の副題みたいな感じで「Degital Revolution
1985-1989」と書かれているので、1985年から
89年までの音源が集められているようです。
オマケとしてKing JammyのインタビューなどのDVD
も付いているので、なかなか良い内容のアルバム
だと思います。

Disc 1のCDは全20曲で収録時間は67分41秒。
Disc 2のDVDは収録時間は57分30秒。

詳細なミュージシャンの表記はありませんが、
「Musicians」として以下の表記があります。

Musicians:
Roots Radics, High Times Band, Noel Davey, Steelie & Clevie, Mafia & Fluxy

All Songs Produced By:
Lloyd 'King Jammy' James

Engineers:
King Jammys, Bobby Digital, Beckett Squeengine, Soljie, Fatman, Snakie & Genius

となっています。

アルバムに収められているアーティストは、Half Pint、
John Holt、Pinchers、Shabba Ranks、Black Uhuru、
Nicodemus、Johnny Osbourne、Junior Reid、Super Black、
Cocoa Tea、Dennis Brown、Nitty Gritty、Wayne Smith、
Leroy Gibbon、Eccleton Jarrett、Leroy Smart、Admiral
Bailey & Chaka Demus、Admiral Tibett、Frankie Paul
となっています。
John Holt、Dennis Brown、Leroy Smartなどルーツの
時代から活躍するベテランから、Nitty Gritty、Shabba
Ranksなどダンスホールで活躍したアーティスト、さらには
Black Uhuruのようなグループまで、20曲の中にKing
Jammyがプロデュースしたアーティストがもれなく収め
られているのは嬉しいところです。

まさに内容は「Selectors Choiceシリーズ」2CDX4集を
1枚に圧縮したような内容です。
プラスLeroy SmartやBlack Uhuruのようなアーティストも
入っているので、より聴きやすくなっています。

特に注目曲というと、やっぱり14曲目Wayne Smithの
「Under Mi Sleng Teng」ですかね。
この曲はカシオトーンで作ったと言われていて、実際に
今回付属のDVでもカシオトーンの写真が出てきます。
ちなみにDVDの映像には、若い頃とずいぶん感じの
変わったWayne Smithも出てきます。

こうしてアンソロジーを聴いてみると、King Jammyは
ダブなどを作ったりもしていますが、彼の一番の功績は
この80年代後半のダンスホール・レゲエを「デジタル
革命」で音楽の質を劇的に変えたという事なんじゃ
ないかと思います。
その功績は広く認められているようで、今回のオマケの
DVDなどでは彼King Jammyは「King Of Dancehall」
という紹介の仕方をされているんですね。
もちろんそれに対する功罪はいろいろあるとは思います
が、少なくともこのKing Jammyがレゲエをまた一段進化
させたのは間違いない事実だと思います。

個人的には70年代のルーツ・レゲエの方が、80年代の
ダンスホール・レゲエより惹かれるものはあるのですが、
20年以上の長きにわたりレゲエが世界の音楽の最前線に
居たという事は、やはりスゴイ事だったんだなぁと
あらためて思います。
そのレゲエという音楽を支えてきた人のひとりとして、
このKing Jammyは忘れられない人なんですね。

1曲目はHalf Pintの「Money Man Skank」です。
この人もダンスホール・レゲエでは欠かせない人ですね。

Half Pint - Money Man Skank


2曲目はJohn Holtの「If I Were A Carpenter」です。
実はこの曲はJohn Holtが60年代のロックステディの
時代から歌い続けている曲なんですね。
歌手も曲もちっとも古びていないのがスゴイですね。

John Holt-If I Were a Carpenter


3曲目はPinchersの「Agony」です。
この曲は「Big Belly Man」のリディムとして知られて
いますが、この曲もヒットしたのでこの「Agony」の
リディムと呼ばれる事もあります。

4曲目はAdmiral Baileyの代表曲「Punnany」です。
このリディムも「Punnany」として知られています。

5曲目はShabba Ranksの「Peenie Peenie」です。
このリディムは「Fade Away」あるいはこのヒットで
「Peanie Peanie」として知られています。
今はCDもあまり売られておらず忘れ去られた感の
あるShabba Ranksですが、当時の人気はすさまじく
グラミー賞も受賞した事のある人気シンガーでした。

6曲目はBlack Uhuruの「I Love King Seleassie」です。
メジャー・デビュー前の男性3人組コーラス・トリオ
だった時代のBlack Uhuruを当時はPrince Jammyだった
彼がプロデュースしているんですね。
あまりにデジタル以降の活躍がすさまじかったので
忘れられている感がありますが、このBlack Uhuruや
Hugh Mundell、Lacksley Castellなんかもプロデュース
しているんですね。

Black Uhuru - I love King Selassie


7曲目はNicodemusの「Father Jungle Rock」です。
このリディムも「Father Jungle Rock」としてよく
知られています。

8曲目はベテラン・シンガーJohnny Osbourneの
「Water Pumping」です。
この曲はロックステディ期のHopeton Lewisのヒット曲
「Take It Easy」のリディムです。

Johnny Osbourne - Water Pumping


9曲目はJunior Reidの「Boom-Shack-A-Lack」です。
この曲は「World A Music」というリディムが
使われているようです。

10曲目はSuper Blackの「Deh Wid You」です。
この曲はロックステディ期の名リディムとして
知られる「Heavenles」が使われています。
古いリディムも使える限り使い倒す、それがレゲエの
やり方なんですね(笑)。

12曲目はDennis Brownの「The Exit」です。
数々の名曲を残したDennis Brownですが、今曲は
彼のデジタル期の代表曲のひとつです。

13曲目はNitty Grittyの「Run Down The World」
です。
彼もこの時代にひときわ強い光を放った歌手の
一人です。

Nitty Gritty Run Down the World


14曲目はWayne Smithの「Under Mi Sleng Teng」
です。
もうこの曲は知らない人が居ないという曲ですね。
レゲエのデジタルの扉を開けたモンスター・ヒット
曲です。

16曲目はEccleton Jarrettの「Rock Them One By
One」です。
この曲には「Wicked Can't Run Away」という
リディムが使われている王です。

17曲目はこれまたベテラン・シンガーのLeroy Smart
の「Let Off Supum」です。
この時代まで活躍し続けるのは、さすが!というほか
ありません。

18曲目はAdmiral Bailey & Chaka Demusの「One Scotch」
です。
この曲はMarcia Griffithsで知られる「Feel Like Jumping」、
あるいはこの時代のSper Catのヒット曲から「Boops」
と呼ばれるリディムが使われています。

19曲目はAdmiral Tibettの「Serious Time」です。
この曲には「Freedom Blues」というリディムが使われて
いるようです。

20曲目はFrankie Paulの「I Know The Score」です。
Frankie Paulは盲目の天才シンガーで、「ジャマイカの
スティービー・ワンダー」と形容された実力者です。
この曲は彼のヒット曲です。

Frankie Paul - I Know The Score


さてDVDの方も一言書いておきたいと思います。
こちらはKing Jammyについてのインタビューと昔の
映像が収められています。
驚くのはその登場人物の多さで、羅列してみるとNinjaman、
Admiral Bailey、Mikey Bennett、Sandy Gully、Blossom、
Junior Cat、Elephant Man、Josey Wales、Michael 'Risto Benji'
Benjamin、Wayne Smith、Bunny 'Striker' Lee、Johny Wonder、
Iris 'Numa' James、Chaka Demus、Trevor 'Uncle T' James、
Bunny General、Sketelina、Tullo T、King Everald、
Clevie Brownie、Beenie Man、Bobby 'Digital' Dixon、
Andrew 'Prento' Prendergast、Melbourne 'George' Miller、
Paul 'Wrong Move' Crossdale、Donald 'Danny Bassie' Dennis、
Tony Asher、Barry G.、Tonto Irie、Bammy Man、Sly Dumbar、
Brigadier Jerry、Maurice 'Black Scorpio' Johnson、Tupps、
Dutchie、John Wayne、Little Twitch、Major Warries、
Little Risto Benji、Winston 'Wee Pow' Powellといった
人達です。

けっこうNinjamanと仲が良くて、肩を組んでいたり、サウンド・
システムでマイクを奪い合いながらトースティングしている
Ninjamanを、自転車に乗ったままのKing Jammyが笑いながら
見ていたりしています。
最近のインタビューが主なんですが、所々でかなり昔の映像も
はさまれていて、けっこう面白いです。

このアルバムはKing Jammyという人のダンスホール・レゲエ
での実績を知るには、なかなか良いアルバムだと思います。
オマケのDVDも実際のジャマイカの空気を知るには悪く
ありません。
ダンスホール・レゲエが好きな人、レゲエという音楽を深く
知りたいと思っている人はツボのアルバムだと思います。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: King Jammy
○アルバム: KIng At The Controls: King Jammy Essential Hits
○レーベル: VP
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2006

○King Jammy「KIng At The Controls: King Jammy Essential Hits」曲目
Disc 1
1. Money Man Skank - Half Pint
2. If I Were A Carpenter - John Holt
3. Agony - Pinchers
4. Punnany - Admiral Bailey
5. Peenie Peenie - Shabba Ranks
6. I Love King Seleassie - Black Uhuru
7. Father Jungle Rock - Nicodemus
8. Water Pumping - Johnny Osbourne
9. Boom-Shack-A-Lack - Junior Reid
10. Deh Wid You - Super Black
11. Children Of The Ghetto - Cocoa Tea
12. The Exit - Dennis Brown
13. Run Down The World - Nitty Gritty
14. Under Mi Sleng Teng - Wayne Smith
15. She's My Baby - Leroy Gibbon
16. Rock Them One By One - Eccleton Jarrett
17. Let Off Supum - Leroy Smart
18. One Scotch - Admiral Bailey & Chaka Demus
19. Serious Time - Admiral Tibett
20. I Know The Score - Frankie Paul

Disc 2
Bonus DVD