今回はVarious(オムニバス)もののアルバム

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「Singerman!: Blood & Fire Allstars」です。

今回のアルバムは今は活動を休止している
レゲエ・リイシュー・レーベルBlood & Fire
のルーツ・ヴォーカリストの名曲を集めた
アルバムです。
全18曲がBlood & Fireから出たアルバム
18枚の中から選ばれた1曲ずつを集めて
いる、いわばサンプラー的なアルバムです。

レゲエを長年聴いている方はご存知でしょうが、
このBlood & Fireはレゲエ博士Steve Barrow氏を
中心としたレゲエ・リイシュー・レーベルで、
数々の素晴らしいリイシュー・アルバムをリリース
したものの2000年代の終わり頃に活動を休止。
その後もHot PotやEqualizer Music、King Spinna
などSteve Barrow氏を含めた多くの関係者が
レーベルの別名での復活を目録むものの、現実には
継続的な復活は確認されていません。

Blood & Fire (ブラッド・アンド・ファイア)

そうしたBlood & Fireのコンピュレーションが、
今回の2007年のアルバムです。

全18曲で収録時間は61分58秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

さて今回のアルバムですが、この間レゲエの
CDの買い出しに出た際に池袋のdisk union
で、目ぼしいアルバムもない事だしBlood & Fire
のサンプラーだから買っておくかぐらいの感じ
で買ったアルバムでした(笑)。
ところがこれが大当たりだったんですね。

いつものようにブログを書きながら聴き流して
いたんですが、「アレっ!?これ誰??」と
曲ごとに歌っているアーティストが気になって
仕方のないアルバムでした。

今回のアルバムに入っている曲のBlood & Fireの
アルバムは、表ジャケの内側にデータとアルバムの
写真が記載してあるのですが、そのほとんどの
アルバムがもうほとんどレア化していて、なかなか
手に入れられそうもありません。
その中でも比較的手に入れられそうなのは5曲目
Black Uhuruの「Rent Man」が入っているRanking
Joeのアルバム「Zion High」ぐらいだと思います。
あとは中古で小まめに探すしか方法はありません。

ちなみに今回のBlood & Fireの18枚のアルバム
のうち、私が持っていたのはわずかに6枚だけ
でした。
この元になったアルバムは何枚か持っていますが、
やっぱりBlood & Fireは人気があってなかなか
中古でも売っていないんですよね(苦笑)。

ではこのアルバムの何がそれだけ良かったのか?
それはやっぱりこのルーツ・レゲエだけが持つ
独特の世界観があるからなんですね。
曲にある独特の余韻…、これはこのルーツ・レゲエ
という音楽にだけにあるものなのです。
これがあるから私はこのルーツ・レゲエに戻って
来たんですね。
多くの人が未だにこのルーツ・レゲエを愛している
のは、他では絶対に味わえないディープな感動が
この音楽にあるからなんですね。

1曲目はMax Romeoの「Fire Fe The Vatican」。
これは彼のアルバム「Open The Iron Gate」に
収められた1曲です。

2曲目はGregory Isaacsの「Storm」です。
これは彼のアルバム「Mr. Isaacs」の中の1曲です。
このBlood & Fire盤の「Mr. Isaacs」は入手しづらい
ですが、他にShanachie盤などの「Mr. Isaacs」が
あり、こちらは比較的中古で売っています。

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Gregory Isaacs - Mr. Isaacs (1976)

Blood & Fire盤の方は、オリジナルに曲がプラス
されているという違いです。

3曲目はThe Chantellsの「Children Of Jah」です。
The Chantellsというグループ自体今回初めて聞く
ような名前ですが、同タイトルのアルバムがBlood &
Fireから出ているようです。
こちらはレア過ぎて、おそらくほぼ入手不可能に
近いと思います。

4曲目はHorace Andyの「Problems」です。
こちらは彼のアルバム「In The Light/ In The Light
Dub」に収められた1曲です。
このアルバムも現在では中古であまり見かけなく
なった1枚です。

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Horace Andy - In The Light/ In The Light Dub (1995)

5曲目Black Uhuruの「Rent Man」は、書いたように
Ranking Joeのアルバム「Zion High」の中の1曲です。
このアルバムはちょっと前までdisk unionなどで
比較的廉価で売られていました。

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Ranking Joe With Black Uhuru, Dennis Brown - Zion High (2003)

オリジナルは79年のDennis Brownプロデュースの
Ranking Joeのアルバム「Round The World」で、
それにDennis BrownとBlack Uhuruの原曲をプラスした
のがこの「Zion High」です。

6曲目はSylford Walkerの「Chant Down Babylon」です。
オリジナルはSylford Walkerの88年のアルバム
「Lamb's Bread」ですが、Blood & Fire盤はそれに曲を
プラスした「Lamb's Bread International」です。
こちらもBlood & Fire盤は手に入れづらそうです。

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Sylford Walker - Lamb's Bread (1988)

Sylford Walker - Chant down Babylon.


7曲目はPrince Allaの「Go Down In Silence」です。
「I Can Hear The Children Singing」というアルバムの
1曲ですが、こちらもかなり入手が難しそうです。

8曲目はDennis Brownの「Man Next Door」です。
アルバム「The Promised Land」の中の1曲です。

9曲目はMichael Prophetの「Fight It To The Top」
です。
これはディージェイのTrinityのアルバム
「Shanty Town Destermination」の中の1曲です。

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Trinity - Shanty Town Destermination (1978)

michael prophet fight it to the top


実はこのアルバムに入っている「Fight It To The Top」
は、後半がTrinityのディージェイになっているディスコ・
ミックス・ヴァージョンで、今回のアルバムに入って
いるMichael Prophetのみの曲とはちょっと違います。
Michael Prophetのみの曲は、80年の彼のアルバム
「Serious Reasoning」で聴く事が出来ます。

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Michael Prophe - Serious Reasoning (1980)

10曲目はJohnny Clarkeの「Every Knee Shall Bow」
です。
彼のアルバム「Dreader Dread」に収められた1曲
です。

11曲目はThe Congosの「At The Feast」です。
これはBlood & Fire盤のアルバム「Heart Of The
Congos」に収められた1曲です。
ちなみにこの曲オリジナルの「Heart Of The Congos」
には入っていません。
おそらくBlood & Fire盤のみに入っているものと
思われます。

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The Congos - Heart Of The Congos (1977)

12曲目はErrol Holtの「Yes Yes Yes」です。
これはPrince Far Iのアルバム「Silver & Gold」の
中の1曲です。
曲のオリジナルは女性シンガーDawn Pennの「No No No」
ですね。

13曲目はLinval Thompsonの「Jah Jah The Conqueror」
です。
アルバム「Ride On Dreadlocks」の中の1曲です

linval thompson - jah jah the conqueror


14曲目はWillie Wiliamsの「Give Jah Praise」です。
彼の「Messenger Man」の中の1曲です。

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Willie Wiliams - Messenger Man (1980)

Willi Williams - Give Jah Praise.wmv


15曲目はYabby Youの「Deliver Me From My Enemies」
です。
同タイトルの彼のアルバムからの1曲です。

16曲目はJr. Ross & The Spearsの「Judgement Time」
です。
これまたPrince AllaとJr. Rossのアルバム「I Can Hear
The Children Singing」の中の1曲です。

17曲目はCornell Campbellの「Bandulu」です。
これは彼のアルバム「I Shall Not Remove 1975-80」
の1曲です。

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Cornell Campbell - I Shall Not Remove 1975-80

そして最後の18曲目はJr. Byles & Rupert Reid
の「Remember Me」です。
これは彼とその周辺の人たちの曲を集めたアルバム
「129 Beat Street: Ja-Man Special」に収められた
1曲です。

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Jr. Byles & Friends - 129 Beat Street: Ja-Man Special

Junior Byles - Remember Me


この1枚1枚のアルバムが皆素晴らしいアルバム
なのですが、その中の選りすぐりの1曲を集めた
という事になると、やっぱり充分な聴きごたえが
あります。
ルーツ・レゲエの感動が、肌の中にジワジワ染み
込んでくるようなアルバムです。

出来れば全てのアルバムを聴きたいものですが、
全てを集めるのはかなり難しいでしょうねぇ…。

さすがにルーツ・レゲエのヴォーカリストを集めた
アルバムだけあってどの曲もすごく個性的です。
曲を聴いてこれは誰か解る曲が多いんですよね。
Johnny ClarkeやLinval Thompsonなど、声を聴いた
瞬間に解る人も居ます。
歌がウマい上にすごく個性的なんですね。

その中でも個人的なベスト・ヴォーカルは14曲目
のWillie Wiliamsの「Give Jah Praise」です。
このルーツならではのズシッとした聴きごたえは、
他では決して味わう事が出来ません。
サックスとヴォーカルのカラミが最高にカッコいい
シビレる1曲です。

あと9曲目Michael Prophetの「Fight It To The Top」
のすがすがしいヴォーカルは、このアルバムの中では
異彩を放っています。

こういうアルバムを聴くと、余計にこのBlood & Fire
の活動休止が惜しまれてなりません。
レゲエの魅力をダイレクトに伝えてくれた素晴らしい
レーベルなんですよね。

機会があればぜひ聴いてみてください。


○アーティスト: Various
○アルバム: Singerman!: Blood & Fire Allstars
○レーベル: Blood & Fire
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2007

○Various「Singerman!: Blood & Fire Allstars」曲目
1. Fire Fe The Vatican - Max Romeo
2. Storm - Gregory Isaacs
3. Children Of Jah - The Chantells
4. Problems - Horace Andy
5. Rent Man - Black Uhuru
6. Chant Down Babylon - Sylford Walker
7. Go Down In Silence - Prince Alla
8. Man Next Door - Dennis Brown
9. Fight It To The Top - Michael Prophet
10. Every Knee Shall Bow - Johnny Clarke
11. At The Feast - The Congos
12. Yes Yes Yes - Errol Holt
13. Jah Jah The Conqueror - Linval Thompson
14. Give Jah Praise - Willie Wiliams
15. Deliver Me From My Enemies - Yabby You
16. Judgement Time - Jr. Ross & The Spears
17. Bandulu - Cornell Campbell
18. Remember Me - Jr. Byles & Rupert Reid