今回はRicoのアルバム

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「Warrika Dub - Ghetto Rockers」です。

Rico Rodriguesはレゲエのトロンボーン奏者
としてとても有名な人です。
実は今人の音楽歴はとても古く、まだレゲエが
生まれる前の60年代に多くのミュージシャンを
輩出した事で有名なアルファ・ボーイズ・スクール
で、のちにThe Skatalitesで大活躍する
Don Drummondなどと一緒に学んだ事のある人
なんだそうです。

ジャマイカの音楽はスカ→ロックステディ→
(ルーツ)レゲエという順に発展していくの
ですが、60年代半ばにスカのブームで
Don DrummondがThe Skatalitesで活躍している
時にこのRico Rodriguesはジャマイカに居ない
んですね。
多くの友人の反対を押し切って、すでに
イギリスに渡っていたそうです。
成功を求めて海を渡ったRico Rodriguesだった
のですが、ジャマイカで起こったスカ・ブーム
の二番煎じのような事をやらされて不遇の時代
を過ごす事になります。

この時代に彼はRico & Rudiesという名義で、
「Blow Your Horn」と「Brixton Cat」という
2枚のアルバムを出しています。

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Rico & Rudies - Blow Your Horn / Brixton Cat

彼が成功を手にする事が出来たのは、スカ・
ブームから10年以上経った1977年に、
自身のソロ・インスト・アルバム「Man From Wareika」
をリリースしてからでした。
つまり結果的にすごく遠回りをして、やっと成功
を掴むんですね。

その後スカのリバイバル、2-toneブームが起きた時
にはその中心バンドだったThe Specialsに加入する
などレゲエの枠を超えて活躍した人でした。
今年2015年9月4日にロンドンで、80歳で
亡くなっています。

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Rico - Man From Wareika

今回のアルバム「Warrika Dub - Ghetto Rockers」
は、その「Man From Wareika」のダブ・アルバム
なんですが、ネットで調べてみるとこれがまた
「激レア盤」だったらしいんですね。
当時関係者にプロモーション用として少数配布
されたもので、白ジャケットに手書き文字で
「Warrika Dub / Ghetto Rockers」と書かれただけ
のものだったようです。
ちなみに「Wareika」ではなく「Warrika」になって
いるのは、この手書き文字が「Warrika」だった
為だそうです。

私が手に入れたCDは2004年にユニバーサル・
ミュージックからリリースされた日本盤だったん
ですが、これが世界で初CD化されたアルバム
だったようです。
日本で最初に発売されたことを見ても、Ricoの
日本での人気の高さがうかがえますね。

全9曲で収録時間は39分58秒。

ミュージシャンについては以下の記載があります。

Credits of
●Original 'Wareika' recordings:
Trombone: Rico Rodrigues
Drums: Sly Dunbar
Bass: Ras Robbie Shakespeare
Lead Guitar: Duggie Bryan
Lead Guitar, Keyboards, Percussion: Karl Pitterson
Rhythm Guitar: Lloyd Parks
Keyboards: Touter Harvey, Ansel Collins, Tarzan Nelson
Wood Drums: Skully
Fussy Tambourine: Flick
Flugelhorn: Dick Cuthell
Trumpet: Viv Talent Hall, Bobby Ellis
Tenor Sax: Dirty Harry, George Lee
Alto Sax: Harman Marquis, Ray Allen

●Artists played only on 'Africa'
Drums: Jacko
Bass: Bunny Mckenzie
Lead Guitar: Junior Hanson Marvin
Rhythm Guitar: Phillip Chan
Keyboards: Tony Washington
Percussion: Tony Utah, Satch Dixon
Backing Vocals: Ijahman, Candi McKenzie
Trumpet: Eddie Thornton
Tenor Sax: Keith Gemmel

original 'Wareika'
●Recorded at Joe Gibbs and Randy's Studios, Kingston, Jamaica, Sept. 1976
Engineers: Errol Thompson, Karl Pitterson, Dick Cuthell
Assisted by Flick

'Africa'
●Recorded at Island Hammersmith Studios, London, May, 1976
Engineers: Karl Pitterson, Dick Cuthell
Assisted by Kevin Dallmore

original 'Wareika'
●Produced by Karl Pitterson

'Warrika Dub'
●Mixing Engineer: No Credit.

となっています。
この「Warrika Dub」は白ジャケットに手書き文字で
「Warrika Dub / Ghetto Rockers」と書かれただけの
プロモーション用に配布されたものしか現品が無いので、
クレジットが全く無いんですね。
上に書かれているミュージシャンは全て「Man From
Wareika」の記述です。
「Man From Wareika」の中で「Africa」という曲のみ
がロンドンでの録音で、残りはジャマイカ録音なん
ですね。
ちなみにこの「Africa」はコーラスで参加している
Ijahman Levyの作品です。

ただそのためにひとつ解らない事があります。
最後のミキシング・エンジニアが「No Credit」、
つまりクレジットが無いから誰がダブのミックスを
作ったのか解っていないんですね。
イギリスで配布されたらしいので、当時イギリスに
居た誰かがミックスしたらしいのですが、誰だか
解っていないそうです。
そこがちょっと残念なところではあります。

ただ当時は聴けなかったこういう音源が、今の時代
になって聴けるというのは良かったんじゃないです
かね。
そういう音源の中にも今でも素晴らしいものが
たくさんありますから。

さて今回のアルバムですが、そうしたレア音源の
中でもちゃんと内容を伴った良いアルバムなんじゃ
ないかと思います。
ダブ・ミックスもかなりソリッドでかっこいい
ミックスという感じがします。
ちゃんとダブという音楽がよく解った人のミックス
だと思います。
「Man From Wareika」とはまた一味違ったアルバムに
なっているのは、さすが!というほかありません。

ただこのアルバムが発売されなかった理由もまた
解ります。
ホーン・インストとホーン・インスト・ダブ…。
私のようなレゲエのインスト好きなら「聴きたい!」
と思いますが、普通のリスナーからするとあまり
購買意欲をそそられないんじゃないんですかね?(笑)
インストとインスト・ダブだと、ヴォーカルものの
ダブと較べるとダブにした「差」をあまり感じづらい
気がします。
考えてみると意外とインストもののアルバムから
さらにダブって、あんまり作られていないんですよね。
例えばAugustus Pabloなんかでも、まずHughMundell
とか歌手のアルバムがあって、さらにPabloのダブと
いうパターンが多いですからね。
音の違いが出し易い方が売り易いんだと思います。
そう考えると今回のダブ・アルバムはあくまで「配布用」
として作られた、そう考える方が自然かもしれません。

実はこのRicoは「Man From Wareika」でイギリスの
音楽誌でその年のベスト・レゲエ・アルバム賞を受賞
するほど評価されたにもかかわらず、次に出すはず
だったアルバム「ミッドナイト・イン・エチオピア」は
レコード番号まで決まっていながら結局お蔵入りして
いるんですよね。
おそらく「Man From Wareika」で高い評価を受けた
ものの、やはりトロンボーンのインスト・アルバム
という事もあってか、売り上げではまだ苦戦していた
んじゃないかと推測されます。

ちなみに「ミッドナイト・イン・エチオピア」の
音源は、「Man From Wareika」のCDでボーナス・
トラック9曲入り、オリジナルと合わせて計18曲入り
のアルバムも出ていますので、それで聴く事が出来ます。
オリジナル曲以外にDave Brubeckの「Take Five」、
The Kinksの「You Really Got Me」、映画スター・
ウォーズのテーマ曲の「Ska Wars」などカヴァー曲も
入っているので、興味のある方は「Man From Wareika」
のボーナス・トラック18曲入りのヴァージョンの
アルバムを探してみてください。

かなり内容の良いアルバムなので、やはり誰のダブ・
ミックスなのか?解らないのが、本当に惜しまれます。
ただレゲエ人スト好きの人は、聴いて損のないアルバム
なんじゃないかと思います。

やはりこういう素晴らしい音楽を残した人が、亡くなった
のは本当に残念ですね。
ただ彼の残した音楽は、その音楽を愛し続ける人が居る
限りは永遠に残り続けます。

機会があれば聴いてみてください。

Rico Rodriguez - This Day Dub


Rico - Africa dub



○アーティスト: Rico
○アルバム: Warrika Dub - Ghetto Rockers
○レーベル: Universal Music
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977

○Rico「Warrika Dub - Ghetto Rockers」曲目
1. This Day Dub
2. Gunga Din Dub
3. Africa Dub
4. Lumumba Dub
5. Dial Africa Dub
6. Man From Wareika Dub
7. Over The Mountain Dub
8. Rasta Dub
9. Ramble Dub


このアルバムの後の70年代の終わり頃にRicoは、当時
イギリスで流行り始めたネオ・スカ・ブームの火付け役
となったバンドThe Specialsにサポート・メンバーとして
参加しています。
そして79年のThe Specialsのファースト・アルバム
「Specials」、80年のセカンド・アルバム「More Specials」
でトロンボーンを披露しているんですね。

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The Specials - Specials / More Specials

このネオ・スカ・ブームはThe Specialsのレーベル名2 Tone
から、2トーン・ブームとも呼ばれ、日本でもスカがよく
知られるきっかけになったムーヴメントでした。
サウンド的にはパンクとスカの中間ぐらいのサウンドで、
ちょっとレゲエが好きな人向きでは無いかもしれませんが、
紹介しておきます。

A Message To You Rudy


そしてそのThe Specialsと行動を共にしていた時期に
2 Toneレーベルから出したソロ・アルバムが

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「That Man Is Forward」(1981年)です。

こちらも2 Toneレーベルから出したこともあり、多少ネオ・
スカ色を感じるところもありますが、Ricoらしさもちゃんと
出たアルバムです。
一見保守的に見えてしまうRicoですが、早くからイギリスに
渡った事もあり、実は他の音楽との交流も盛んに行った人
なんですね。

Rico Rodriguez "That Man Is Forward"