今回はU Royのアルバム

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「True Born African」です。

U Royは70年代のルーツ・レゲエの時代から
活躍するディージェイです。
それまでも曲の間奏部分で掛け声をかけるディージェイ
は居ましたが、曲の歌の部分に「トースティング」と
いうしゃべりを入れるスタイルはこのU Royが発明した
と言われています。
そのため彼は「元祖ディージェイ」「元祖ラッパー」
として、多くのミュージシャンから尊敬を集める
存在なんですね。

U Roy (U ・ロイ)

今回のアルバムは1991年の作品です。
そのU Royがイギリスでプロデューサーとして活躍
するMad Professorの元で作ったアルバムです。

このMad Professorは、イギリスの自身のスタジオ
Ariwaを拠点にSandra CrossやKofiといったラヴァーズ
ロック・レゲエのアーティストのプロデュースや、
他ジャンルのBeastie BoysやRancid、Massive Attack
などのアーティストのプロデュース、さらには自身の
「Dub Me Crazy」シリーズや「Black Liberation Dub」
シリーズなどのダブの作成と、多才な活躍をする人
なんですね。

Ariwa (アリワ)

「元祖ディージェイ」U Royをその多才なMad Professor
がプロデュースしたというのが今回のアルバムです。

今回手に入れたのは日本盤で、日本のセンチュリー
レコードというところから出されたアルバムです。

ちなみにこの翌年の92年にMad Professorによる
このアルバムのダブ「True Born African Dub」が
発売されています。

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Mad Professor - True Born African Dub (1992)

さらにこの時期のU RoyはMad Professorとの仕事が多く、
やはり92年にMad Professorプロデュースのアルバム
「Smile A While」を出しています。

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U Roy - Smile A While (1992)

全12曲で収録時間は43分15秒。
オリジナルは全10曲で、それに6曲目と7曲目に
CDボーナス・トラックがプラスされて全12曲に
なっています。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Bass: Steel, Preacher, Leroy Mafia
Drums: Robotiks
Keyboards: Steel, Jerry Beckford
Steel Drums & Percussion: Patrick Augustus
Voices: Steel, Madam X, The Wild Bunch, Sandra Cross, Kofi,
Slim Linton, Fenton Smith, Sister Audrey, The Ariwa Showcase
Album Voiced: Sound Logic Studio, Los Angeles
Recorded & Mixed: Ariwa Studios, London
Produced: Mad Professor
Photos: Jim Marshall
Pakageing: Kristin Harris Design

となっています。

スティール・ドラムとパーカッションで名前の
あるPatrick Augustusは、スティ-ル・パン奏者
として知られるPanafricanistのようです。
彼はこのMad Professorの元で「Pan In Dub」と
いうソロ・アルバムを出しています。

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Panafricanist - Pan In Dub (2002)

「Voices」のところを見てもらえばわかりますが、
The Wild BunchにSandra Cross、Kofiと、さながら
Ariwaのヴォーカリストのオールスター・メンバー
といった感があります。
アルバムの中に入っていた木村年秀さんという
方の解説文を読むと、80年代半ば頃からの
Ariwaのヒット曲の音源が使われているとの事です。

今回のアルバムですが、実は中古で309円という
破格の安値で手に入れたアルバムでした(笑)。
ただ実はかなり欲しかったアルバムだったんですね。
先にこのアルバムのMad Professorのダブを聴いて
いて、その時にブログに書くために調べた時に
このアルバムがある事も知っていたんですが、その
ダブの内容がかなり良かったので、このアルバムも
ぜひ聴いてみたいと思っていました。
そして内容も良い事を確信していたので、おそらく
もっと高くても間違いなく買っていたと思います。
それが309円で買えちゃうんだから、思わず
ニンマリでした(笑)。

実際に聴いてみた印象ですが、これが実にイイん
ですね。
この時期ぐらいからか、U Royは明らかに
トースティングのスタイルを変えて行くんですね。
それまでは多くの追随者に模倣された、あまり
歌を入れずに自身のトースティングのみを聴かせる
スタイルだったんですが、今回のアルバムでは
かなり歌がフィーチャーされていて、まるで歌と
デュエットするように絡みながらトースティング
するスタイルなんですね。

そのスタイルの方が彼のホットな人間味が出て、
すごくイイ感じなんですね。
ある程度人の力を借りたトースティングなんだ
けれど、作り上げた空間は明らかに彼のオリジナル
の空間なんですね。
このウィキッド・スタイルこそ彼の真骨頂だと
思います。
おそらくこうしたスタイルを確立して行く上で、
このMad Professorの果たした役割は、かなり
大きかったのではないでしょうか。
まるで柳に風の流れるようなトースティングは、
U Royという人の魅力をすごく感じさせてくれます。

1曲目表題曲の「True Born African」は、
U RoyとSister Audreyのデュエット・トースティング。
元の曲はSister Audreyのヒット曲「English Girl」
なんだそうです。

2曲目「Ghetto Youth」は、耳を凝らして聴か
ないと解りづらいですが、なんとThe Wailersの
名曲「Get Up, Stand Up」です。
すごくカッコいいトースティングで、さすが!
U Roy!というトースティングです。

ラスト12曲目「Bye Bye City Living」は、Sandra
Crossのヒット曲「Country Living」。
ラヴァーズの代表曲のひとつですが、彼U Royの
トースティングが入るとまた違う味わいの曲になって
います。
Mad Professorの曲とトースティングの抜き差しが
絶妙です。

このアルバム全体に言える事ですが、歌を多く
入れるとトースティングとのバランスをとるのが
すごく難しくなるんですね。
その抜き差しをMad Professorのは、全く違和感なく
絶妙に行っているんですね。
そのあたりにこのMad Professorのセンスの高さが
垣間見えます。

しかしなぜこのアルバムが309円で売られて
いたのか?
このアルバム自体あまり出回っていないようだし、
逆に高く売られていても不思議ではないのに…
…謎です…。

全体にアルバム自体にすごく楽しい空気感があり、
そこに乗るU Royの絶妙なトースティングはすごく
魅力的です。
「DJダディ」の魅力さく裂の1枚といって良い
でしょう。

機会があればぜひ聴いてみてください。

U Roy - True Born African


U Roy - Ghetto Youth



○アーティスト: U Roy
○アルバム: True Born African
○レーベル: Century Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1991

○U Roy「True Born African」曲目
1. True Born African
2. Ghetto Youth
3. Everlasting Rap
4. Rob The Natty
5. Mi Brethren
6. Your Wish Is My Command *
7. Black - The Natural Fact *
8. False Prophecy
9. Money Honey
10. Birds Of A Feather
11. Jump Up Soca
12. Bye Bye City Living
* CD Bonus Tracks