今回はGladstone Anderson & The Modie All Starsのアルバム

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「Glady Unlimited」です。

Gladstone Andersonはレゲエの前身である
ロックステディの時代から活躍するピアニスト
です。
彼は数々のセッションに参加したほか、ソロ
としてもレゲエの異色レーベルMoodiscの看板
アーティストとして素晴らしいアルバムを
残しています。
また80年代のダンスホール・レゲエの
全盛期には、ダンスホール・レゲエを支えた
バック・バンドRoots Radicsのひとりとして
活躍した時期もありました。
ロックステディからレゲエの全盛期に名前を
残したプレイヤーのひとりがこのGladstone
Andersonだったんですね。

Moodisc (ムーディスク)

今回のアルバムは彼が1977年にMoodisc
から発表したセカンド・アルバムです。
彼は73年にファースト・アルバム
「It May Sound Silly」を、やはり
Moodiscから出しているんですね。

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Gladstone Anderson & The Modie All Stars - It May Sound Silly

全10曲で収録時間は35分34秒。

ミュージシャンについては以下の記載が
あります。

Piano: Gladstone Anderson
Organ: Winston Wrirht
Bass: Jackie Jackson, Val Douglas
Drums: Michael Richards, Winston Grennan
Guitar: Hucks Brown, Jeffery Chung, Mikey Chung
Tenor Sax: Tommy McCook, Glen Da Costa, Cedric Im Brooks
Trombone: Vin Gordon
Trumpet: Bobby Ellis
Flugelhorn: David Madden, Jo Jo Bennett
Percussion: Denzel Lang, Count Sticky
Flute, French Horn, Strings: The Englishmen

Produced & Arranged By: Harry A. Mudie
Flute-French Horn Strings Arrangement by: Tony king

となっています。

フルート、フレンチ・ホルン、ストリングス
をやっている人が「The Englishmen(イギリス人)」
となってますが、おそらくこれは契約上の問題など
で名前を出せない誰かという事だと思います。

このMoodiscは当時ルーツ・レゲエが全盛だった
時代に、ひときわ異彩を放っていたレーベルです。
この70年代のルーツ・レゲエ全盛の時代という
のはラスタファリズムの全盛の時代でもあって、
レゲエといえばプロテスト・ソングという時代
だったのですが、Moodiscの主催者Harry A. Mudie
はそんな時代の潮流には全く目を向けずに、
ひたすら音楽性のみを追求した人なんですね。
その為歌の内容もラヴ・ソングが中心で、
ストリングスなども取り入れた独特のムード・
ミュージックに近いようなレゲエをやっていた
レーベルなんですね。

私が5,6年前から再びレゲエを聴き始めた時に、
このMoodiscは初めはすごく抵抗のあるレーベル
でした。
ルーツ・レゲエの硬派なイメージからすると、
このMoodiscのムード・ミュージックのような
サウンドは、「なんか軟弱だなぁ~」という感じが
したんですね(笑)。
この「Glady Unlimited」もけっこう早い時期に
買っているんですが、初めは良さが全然解らない
ところがありました。

ところが徐々にこのレーベルの良さが解って
来るんですね。
このレーベル時代に媚びずひたすら音楽性のみを
追求したレーベルで、軟弱どころか頑固一徹の
硬派レーベルだという事が解ってきます。
時代に合わせてみんなラスタファリズムになびく
ところを、このレーベルだけはなびいていない
んですね。
それはそれであり、いさぎよいレーベルなんですね。
ひたすら人の心を癒す、そういう音楽を作り続けて
きたのが、このMoodiscです。

そのMoodiscの中でも看板アーティストとして
頑張って来たのがこのGladstone Andersonだった
んですね。
彼の奏でる優しいピアノの音色は、Moodiscに
欠かせない要素のひとつになっています。

不思議なもので一度Moodiscの魅力が解って来ると、
このGladstone Andersonのピアノの音色も全く
違ったものに聴こえて来るんですね(笑)。
彼の弾くピアノは優しい音色ではあるけれど、
同時に何者にも負けない力強さも兼ね備えた
ようなしっかりした音色なんですね。
そういう実力があるからこそ、彼がピアノ
ひとつで長いこと活躍し続けられたのだと思います。

今回のアルバムでもGladstone Andersonの
優しく力強いピアノが堪能できます。
5曲目「Rocking The Drifter」は、このMoodisc
の代表曲でもあり、天才Harry A. Mudieの代表曲で
もある、Dennis Walksのヒット曲「Drifter」です。
この曲をはじめ聴きごたえのある素晴らしい
メロディがたくさん詰まったアルバムだと思います。

このGladstone Andersonはその後もいろいろな
レーベルからアルバムを出していますが、やっぱり
このMoodiscから出した2枚のアルバムが彼の
キャリアの中でも特に素敵なアルバムなんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Gladstone Anderson & The Mudies All Stars - Rocking The Drifter


GLADSTONE ANDERSON & THE MUDIES ALL STARS - Sad Sweet Dreamer



○アーティスト: Gladstone Anderson & The Modie All Stars
○アルバム: Glady Unlimited
○レーベル: Moodisc
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977

○Gladstone Anderson & The Modie All Stars「Glady Unlimited」曲目
1. Sound In Symphony
2. It's Not That Easy
3. You're Welcome
4. Don't Walk Alone
5. Rocking The Drifter
6. Yours To Remember
7. Everybody Knows
8. Sad Sweet Dreame
9. This Is The Day
10. Gone Is Love

●今までアップしたGladstone Anderson関連の記事
〇Gladstone Anderson & Mudies All Stars「It May Sound Silly」
〇Gladstone Anderson / The Roots Radics「Sings Songs For Today And Tomorrow / Radical Dub Session」
〇Gladstone Anderson「Caribbean Breeze」
〇Various「Different Fashion: The High Note Dancehall Collection」