今回はThe Revolutionariesのアルバム

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「Vital Dub: Well Charged」です。

The RevolutionariesはChannel Oneのハウス・
バンドとして有名なバンドです。
ドラマーのSly Dunbarをリーダーとして、彼が
開発した攻撃的なミリタント・ビートを武器に、
The Mighty Diamondsをはじめとする数々の
アーティストのバックを務めた他、多くの
ダブで人気を博したバンドです。

70年代の後半はこのThe Revolutionariesの
強力なビートを武器に、中国系ジャマイカ人
のHoo Kim兄弟が運営するChannel Oneレーベル
がジャマイカで人気を博した時代だったん
ですね。

Channel One (チャンネル・ワン)

今回のアルバムは1976年の作品です。
実はこのアルバムにはバンド名が記載
されていません。
その為2002年シンコー・ミュージック
刊行の本「Roots Rock Reggae」ではこの
アルバムは「Various Artist」と表記
されていたり、「Well Charged」を
バンド名と思って「The Revolutionaries
の別名ユニット」と書かれていたり
しました。
多くのサイトの表記に従って、今回は
The Revolutionariesとしました。

ちなみに「Well Charged」は、バンド名
ではなくてChannel One傘下のレーベル名
だったようです。
レゲエレコード・コムのChannel Oneの
紹介ページを読むと、もともとはHoo Kim兄弟
の次男ポーリー(Paulie)が所有するサウンド
システムの名前だったらしいのですが、それが
転じてレーベル名になったようです。

ちなみに他にヒット・バウンド(Hit Bound)
というレーベルも、このChannel One傘下
にはあります。

ちなみにジャケットが全く別の、手裏剣の
ような絵柄のアルバム「Vital Dub Well Charge:
Strictly Rockers」というアルバムが検索
すると出て来ましたが、曲の内容はこの
アルバムと全く同じのようです。

全9曲で収録時間は30分28秒。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Drums: Sly, Benbow
Bass: Ranchie
Rhythm Guitar: Dougie
Keyboards: Ansel Collins, Ossie
Hornes:
Alto Sax: Marques
Tenor Sax: Tommy McCook
Percussion: Sticky

Recorded and Mixed at: Channel One Recording Studio
Engineers: Ernest Hoo Kim, Ossie
Produced by Joseph Hoo Kim

となっています。

さて今回のアルバムですが、内容的には
インストのダブなんですが、とても良い
です。
書いたようにこのアルバムはレゲエの定番
ディスク500枚を選んだ本「Roots Rock
Reggae」にも選ばれているアルバムなん
ですが、この時代の彼らThe Revolutionaries
のサウンドにはやっぱり勢いがあるん
ですね。

前にネットでMad Professorのインタビュー
を読んだ事がありましたが、ダブのマニア
でもあるこの人の発言の中に、「76年頃
に一番良いダブが作られている」という
ような言葉がありました。
初めてのダブ・アルバムが発表されたのが
73年頃ですから、多くの人にダブという
音楽が認知されるようになってから3年
経って、一番このダブという音楽が熟成
していた時代がこの76年頃だったのかも
しれません。

ちなみにこの76年にはThe Revolutionaries
のアルバムの中でももっとも有名なアルバム
「(Revolutionaries Sounds)」=通称
白ゲヴァラが作られています。

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The Revolutionaries - (Revolutionaries Sounds)(1986)

彼らThe Revolutionariesにとってもこの時代
が一番勢いのあった時代だったのでしょう。
そうした勢いのある演奏の時代に、あの
The Mighty Diamondsの「Right Time」など
素晴らしいアルバムがたくさん生まれたんですね。

ちなみに今回のアルバムは多くの販売サイトに、
The Mighty Diamondsの「Right Time」のダブ
というような事が書いてありましたが、けっこう
多くの曲が使われていますが、すべての曲が
アルバム「Right Time」からという訳では
無さそうです。

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The Mighty Diamonds - Right Time (1986)

1曲「Roof Top Dub」はThe Mighty Diamondsの
名曲「I Need A Roof」のリディムです。

2曲目「Ital Step」はThe Mighty Diamondsの
「Why Me Black Brother Why」のリディムです。

3曲目「Fence Dub」は、Studio Oneバック・バンド
のSound Dimensionのロックステディ「In Cold Blood」
のリディムらしいです。

5曲目「Total Dub」は、あのThe Mighty Diamonds
の超有名曲「Right Time」のリディムです。

6曲目「Merciful Dub」は、Studio OneのThe Cables
のロックステディ時代の名曲「Baby Why」のリディム
です。
この曲はThe Mighty Diamondsの「Have Maercy」の
リディムとしても使われている曲です。

8曲目「Killer Dub」は、Sound Dimensionの
「Please Be True」のリディムです。

9曲目「Blacka Black Dub」は、「College Rock」
のリディムです。
このリディムのオリジナルはJackie Mittooの
「Freak Out」という曲なんだそうです。

Ballistic Affair/College Rock (バリスティック・アフェア/カレッジ・ロック)

やっぱりこの時代のThe Revolutionariesの演奏は
素晴らしく、格別なものがあります。
ストイックさの中に力強さがあるんですよね。
このバックがあったからこそ素晴らしいレゲエの
アルバムがたくさん生まれた、そう実感させて
くれるアルバムです。

あまりエフェクトを多用せず、ほぼインストに
近い内容のアルバムなんですが、それでも
聴かせてしまうのがこの時代のThe Revolutionaries
の素晴らしさなんですね。

そうそう、ジャケットにも触れておかなければ
なりませんね。
しかし…スゴイジャケットですね(笑)!
マリファナでトロンとしたような…このセンスが
やっぱりスゴイ!
このジャケットもおススメ・ポイントのひとつ
ですね(笑)。

このアルバムはThe Revolutionariesというバンド
の、あの「白ゲヴァラ」と較べても全く遜色のない
アルバムだと思います。
この時代のダブの好きな人なら、絶対に押さえて
おいた方が良いアルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

DUB LP- VITAL DUB - Killer Dub


The Revolutionaries - Roof top dub


The Revolutionaries - Ishens Dub



○アーティスト: The Revolutionaries
○アルバム: Vital Dub: Well Charged
○レーベル: Virgin
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1976

○Revolutionaries「Vital Dub: Well Charged」曲目
1. Roof Top Dub
2. Ital Step
3. Fence Dub
4. Ishens Dub
5. Total Dub
6. Merciful Dub
7. Cell Block 11
8. Killer Dub
9. Blacka Black Dub

●今までアップしたRevolutionaries関連の記事
〇Revolutionaries (G.G.'s All Stars)「Macca Rootsman Dub」
〇Revolutionaires「Jonkanoo Dub」
〇Revolutionaries「Channel One Maxfield Avenue Breakdown: Dubs And Instrumentals 1974-79」
〇Revolutionaries「Drum Sound The Revolutionaries: More Gems From The Channel One Dub Room - 1974 to 1980」
〇Revolutionaries「Dub Out Her Blouse & Skirt Volume 1」
〇Revolutionaries「Earthquake Dub」
〇Revolutionaries「Goldmine Dub」
〇Revolutionaries「I Came, I Saw, I Conquered」
〇Revolutionaries「Musical Dub Attack」
〇Revolutionaries「Revolutionary Sounds」
〇Revolutionaries「Top Ranking Dub Volume 1」
〇Aggrovators, Revolutionaries「Guerilla Dub」
〇Various「Can't Stop The Dread」
〇Roy Francis (The Revolutionaries)「Phase One Dub-Wise Volume 1/2」
〇Various「Different Fashion: The High Note Dancehall Collection」