今回はMad Professorのアルバム

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「Experiments Of The Aural Kind: Dub Me Crazy
Volume 8」です。

Mad Professorは80年代から自身のレーベルAriwa
を率いて活躍する音楽プロデューサーです。
「Dub Me Crazyシリーズ」などデジタル感の強い
自身のダブを多く制作しているほかに、Sandra Cross
など多くのラヴァーズ・ロックのアーティストの
プロデュースや、Massive AttackやJamiroquaiなど
他ジャンルのアーティストのプロデュースまで、
多彩な才能を発揮した人です。

マッド・プロフェッサー - Wikipedia

Ariwa (アリワ)

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Mad Professor - Dub Me Crazy

今回の作品は1988年の作品で、副題に「Dub Me
Crazy Volume 8」とあるように、「Dub Me Crazy
シリーズ」の8作目の作品です。
一見「デジタル・ダブ」を制作している感の強い
Mad Professorですが、ネット上にあるインタビュー
記事など読むと、実はアナログ機材を使ってダブの
音作りをしているんだとか。
彼の使いたい機材をそろえたスタジオが、Ariwa
Soundsという事になるらしいです。

全12曲で収録時間は46分03秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。
今回のAriwaのCDにはタイトルと曲名以外には、
ほとんど記述が無いんですね。
ただネット上の販売サイトのいくつかには、
参加アーティストの名前が載っているところが
ありました。
もしかしたらLPか何かに記述があったのかも
しれません。

ベースに「Black Steel, Preacher, Spy」、
ドラムに「Robotiks」、ギターに「Black Steel」、
キーボードに「Noel Salmon, Victor Cross」
という名前がありました。

これが合っているかはCDに何も書かれていない
ので、確かめようがありません。

ジャケットもなかなかナイスなんですが、やっぱり
Tony McDermottなんですかね?
ハッキリわからないのがちょっと残念です。

さて今回のアルバムですが、「Dub Me Crazy
シリーズ」も8作目ともなれば、そろそろダレて
来てもおかしくないんですが、これがけっこう
良いアルバムなんですね。
この人は若い頃趣味としてレコードを集めて
いて、King Tubbyのダブに衝撃を受けてこの世界
に入ったという人らしいんですが、本当に音楽が
好きで本当にダブが好きというすごく情熱を持った
人なんですね。
今回のアルバムからもその思いが伝わって来る
ようです。

80年代以降のイギリスのレゲエを、ダブと
いう音楽で支えたのがこのMad Professorと
Jah shakaの二人だったんですね。
Jah shakaがあくまでラスタファリズムの
ルーツ・ミュージックにこだわりを持っている
のに対して、Mad Professorの興味は、あくまで
ダブという音楽そのものに向かっているように
見えます。

ただこのMad Professorという人は、ダブの
「本筋」をけっしてハズしていないんですね。
彼が影響を受けたKing Tubbyの音作りをきちんと
踏襲しているようなところがあって、その基本が
乱れていないせいか、いくら遊び心満点という
音作りをしても、ダブやレゲエという原点から
けっしてハズレていない音楽になっているん
ですね。
そこがこのMad Professorのスゴイとこなん
ですね。

彼の音楽を聴いていると、一見同じような
音作りをしているように見えてしまうのですが、
たぶん毎回毎回違うアプローチや新しい発見を
しながら音作りをしているのでしょう。
そういう音作りが出来る事を、「才能」と
呼ぶのだと思います。
その「才能」は彼の心の師であるKing Tubby
から引き継いだものです。
それがこのMad Professorという人の最大の
強みなんですね。

6曲目「Night In Cairo」は、そういう
Mad Professorという人の才能がよく解る
1曲です。
この曲はEarl ZeroやJohnny Clarkeなどでよく
知られている「None Shall Escape The Judgement」
のリディムです。
この曲をMad Professorは様々なエフェクトを
かけて、遊び心たっぷりにダブに作り替えて
いるんですね。
あくまで他の人には出来ないMad Professor
自身のアプローチとして。

このアルバムはいかにもMad Professorらしい、
美メロあり遊び心ありのすごく楽しいアルバム
に仕上がっています。
レゲエの歴史を振り返って見た時に、この
Mad Professorが80年以降のUKのレゲエ、
UKのダブを支え続けてきた人の一人であった
事は間違いのない事実だと思います。
ジャマイカでKing Jammyの「デジタル革命」が
大ブームを巻き起こしていた頃のUKでは、
こういう音楽が作られていたんですね。
それを知っておくのも悪くない気がします。

機会があれば聴いてみてください。

Mad Professor - Night in Cairo



○アーティスト: Mad Professor
○アルバム: Experiments Of The Aural Kind: Dub Me Crazy Volume 8
○レーベル: Ariwa
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1988

○Mad Professor「Experiments Of The Aural Kind:
Dub Me Crazy Volume 8」曲目
1. Don't Dope The Elements
2. The Indium Pellet
3. Pamphonic Dub
4. Phaseshift
5. After Dark
6. Night In Cairo
7. The Resonator
8. The Ionization Of Dub
9. Where Is The Elysses Montmare ?
10. St. Quentin
11. Coconut Jelly
12. Dub Pressure