今回はWinston Rileyのアルバム

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「Quintessential Techniques」です。

Winston Rileyはロックステディの時代に
Techniquesというグループで活躍したのちに、
グループ名と同名の「Techniques」レーベルで、
ダンスホールの時代まで数々の名曲を残した
プロデューサーとして有名な人です。

ウィンストン・ライリー

Techniques (テクニクス)

今回のアルバムはVPから出ている「Reggae
Anthology」シリーズの1枚で、そのWinston
RileyがTechniquesレーベルでプロデュース
した曲を集めた2枚組のアンソロジーです。
Disc 1には「Quintessential Foundation
(1967-82)」という副題が付けられていて、1
967年から82年までの代表曲が収められて
いて、Disc 2には「Quintessential Dancehall
(1985-92)」という副題が付けられていて、
1985年から92年までの代表曲が収められて
います。
単純に考えても26年分の曲が収められている
ことになります。
言わばこれを聴けば、Winston Riley及び
Techniquesレーベルの全貌が解るというアルバム
なんですね。

Disc 1は全18曲で収録時間は71分06秒。
Disc 2は全18曲で収録時間は64分17秒。

詳細なバックのミュージシャンの表記は
ありません。

今回もオムニバスなので、多彩な人が名前を連ねて
います。
ざっと列挙すると、The Techniques、The Sensations、
The Shades、Johnny Osbourne、Dave & Ansel Collins、
Alton Ellis、Carl Dawkins、The Interns、Jackie Paris
& Ranking Trevor、Pat Kelly、Dennis Brown、
Carlton Livingstone & Lone Ranger、Madoo & General Echo、
Sister Nancy、Super Beagle、Tenor Saw、Little Kirk、
Courtoney Melody、Admiral Tibet、Yami Bolo、Red Dragon、
Buju Banton、Professor Nuts、Gregory Isaacs & Tiger、
Sanches、Conroy Smithという名前があります。
さすがにレゲエの前身ロックステディの頃からルーツ・
レゲエ、ダンスホール・レゲエと26年にわたる長期の
音源が集められているので、メンバーの多彩さが
際立ちます。

さてロックステディの時代から始まる今回のアルバム
ですが、この「Techniques」というレーベル、
Winston Rileyという人を貫いているのは、音楽への
変わる事のない愛情です。
さすがに代表曲を集めたアルバムだけあって、1曲
1曲に思いが込められていて聴いている人を魅了する、
そういう曲が揃っているんですね。
この人の場合は、レゲエというよりは上質なポップが
作りたい、そういう思いが強い気がします。
そういう思いがあるから80年代のダンスホール・
レゲエの時代になって、Volcanoレーベルと並ぶ一大
勢力となり得たのでしょう。
初めの頃の曲からダンス・ミュージックとしてのノリが
何となくあるんですよね。

Disc 1は「Quintessential Foundation (1967-82)」
としてレゲエの前身のロックステディ期の曲から初期
レゲエ、ルーツ期を経て、ダンスホール・レゲエの
初期までの16年間の音源が収められています。

Disc 1の1曲目The Techniquesの「You Don't Care」
は、The Techniquesを代表する曲でもあり、Treasure
Isleレーベルのロックステディの名リディムとしても
有名な曲なんだとか。
ロックステディ特有の甘いメロディにヤラレちゃう1曲
です。

The Techniques - You don't care


2曲目The Sensationsの「Born To Love You」は、
これまた彼らの代表曲で名リディムとして有名な曲
らしいです。

The Sensation - born to love you


4曲目Johnny Osbourneの「Come Back Darling」は、
初期レゲエのヒット曲として親しまれている名リディム
です。

Johnny Osbourne and the Sensations "Come Back Darling" - Techniques (1969)


5曲目Dave & Ansel Collinsの「Double Barrel」は、
UKのシングルチャートで1位、アメリカのポップチャート
の22位まで登りつめ、Techniquesの最大のヒット曲に
なった曲なんですね。

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Dave & Ansel Collins - Double Barrel

7曲目Carl Dawkinsの「Satisfaction」は、あのGarnet Silk
がカヴァーした事でも有名な曲なんだとか。
けっこう沁みるロックステディの名リディムです。

11曲目The Techniquesの「Love Is Not A Gamble」も、
ロックステディ時代の名リディムとして有名な曲らしい
です。
調べてみるとダンスホールの時代になっても、けっこう
多くのミュージシャンにカヴァーされていました。

16曲目Sister Nancyの「One Two」は、人気リディム「Taxi」を
使った1曲です。
この「Taxi」リディムは多くのアーティストに使われている
人気リディムのひとつなんですね。

17曲目General Echoの「Arleen」は「Stalag(スタラグ)」
リディムの1曲です。
この「Stalag」はTechniquesレーベルを代表するリディムで、
ダンスホール・レゲエの時代にも大ヒットしたリディムとして
とても有名です。
General Echoは「元祖スラックネス・ディージェイ」として
知られている人です。

General Echo - Arleen


18曲目Sister Nancyの「Bam Bam」も、同じく「Stalag」
リディムを使用した曲です。
ネットでこの曲を調べて見たところ、なんと!シュ-ズ・
メーカーのReebokのMiranda Kerrを起用したCMに使われて
いるそうです。

Miranda Kerr Reebok Sexy CM


Disc 2は「Quintessential Dancehall (1985-92)」として、
ダンスホール・レゲエが全盛の80年代半ばから、レゲエに
コンピューター・ライズドのブームが起こりデジタル化していく
90年代初めまでの約8年間の音源が集められています。
この「デジタル革命」以降の時代というのは、それまで生演奏を
録音していた時代より制作が効率化し、多くの曲が作られた
時代になんですね。
その効率化した事の功罪はいろいろあると思いますが、
20年近くの年月が経ってもレゲエがパワーを失わず、
多くの曲を作り続けたという事はやはり賞賛すべき事だと
思います。

1曲目Super Beagleの「Dust A Sound Boy」も、「Stalag」
リディム。

2曲目Tenor Sawの「Ring The Alarm」は、わずか3年間の
活動歴で命を落としてしまった彼の代表曲のひとつです。
この曲も「Stalag」リディムが使われています。

Tenor Saw - Ring the alarm


4曲目Courtoney Melodyの「Bad Boy」は、彼の代表曲の
ひとつで人気リディムのひとつでもある曲です。

Courtney Melody Bad Boy


6曲目Admiral Tibetの「Leave People Business」は、
「Things & Time」というリディムです。
このリディムもダンスホール・レゲエを聴いていると、
よく聴くリディムです。

7曲目Yami Boloの「Jah Made Them All」も「Things & Time」
リディム。

14曲目Buju Bantonの「Stamina Daddy」は、デビュー
当時のBuju Bantonの大ヒット曲という事です。
当時はダンスホール・レゲエのバッド・ボーイだった
Buju Bantonですが、その後ラスタファリズムに目覚め
音楽性を大きく変える事になります。
ただこの時代の元気の良いBuju Bantonもそれはそれで
魅力的ですよね。

Buju Banton - Stamina Daddy


15曲目Professor Nutsの「Crazy Glue」も「Stalag」リ
ディムが使われています。
このアルバムに5曲もこの「Stalag」リディムが入っている
ことからも解るように、このTechniquesレーベルといえば
このリディムが本当に有名なんですね。

16曲目はGregory Isaacs & Tigerの「Hic Up」です。
このダンスホール・レゲエの時代になっても、Gregory
Isaacsは輝きを失わずに歌い続けています。
むしろ輝きが増しているようにさえ見えます。
やはり並の人ではありませんよね~。

ざっと曲を紹介してきましたが、どの曲もなかなか
素晴らしい曲が揃っています。
こうして曲を細かく見ていくと、このTechniquesレーベル
において「Stalag」リディムは、このレーベルを代表する
リディムである事がよく解りますね。
そしてこのリディムを筆頭に、人に喜んでもらえる音楽を
提供しようと、常に努力し続けたレーベルである事が
よく解ります。
このレーベルがレゲエという音楽を支え続けたレーベルの
ひとつである事は間違いはないでしょう。

レゲエという音楽の歴史を知りたい人は、ぜひこの
アルバムを聴いてみてください。


○アーティスト: Winston Riley
○アルバム: Quintessential Techniques
○レーベル: VP
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2009

○Winston Riley「Quintessential Techniques」曲目
Disc 1 - Quintessential Foundation (1967-82)
1. You Don't Care - The Techniques
2. Born To Love You - The Sensations
3. Who You Gonna Run To ? - The Shades
4. Come Back Darling - Johnny Osbourne
5. Double Barrel - Dave & Ansel Collins
6. I'll Be Waiting - Alton Ellis
7. Satisfaction - Carl Dawkins
8. Ready Or Not - Johnny Osbourne
9. Nothing Is Impossible - The Interns
10. Run For Your Life - Jackie Paris & Ranking Trevor
11. Love Is Not A Gamble - The Techniques
12. Love O Love - Pat Kelly
13. Let Me Remind You - Dennis Brown
14. You Make Your Mistake - Carlton Livingstone & Lone Ranger
15. Sister Sue - Madoo & General Echo
16. One Two - Sister Nancy
17. Arleen - General Echo
18. Bam Bam - Sister Nancy

Disc 2 - Quintessential Dancehall (1985-92)
1. Dust A Sound Boy - Super Beagle
2. Ring The Alarm - Tenor Saw
3. Kill A Sound - Little Kirk
4. Bad Boy - Courtoney Melody
5. Terrorist - Admiral Tibet
6. Leave People Business - Admiral Tibet
7. Jah Made Them All - Yami Bolo
8. Hol' A Fresh - Red Dragon
9. Yu Body Good - Red Dragon
10. Bring Yu Body Come - Frankie Paul & Buju Banton
11. Come Back To Me - Anthny Malvo & Tiger
12. Legal Rights - Papa San & Lady G
13. Agony - Red Dragon
14. Stamina Daddy - Buju Banton
15. Crazy Glue - Professor Nuts
16. Hic Up - Gregory Isaacs & Tiger
17. Loneliness - Sanchez
18. Uptown Girl - Conroy Smith


Winston RileyとTechniquesレーベルのアルバムと
しては、他にも次のようなアルバムがあります。

まずは80年代後半のダンスホール・レゲエの曲を
集めたアルバム

winston_riley_02a

「Winston Riley Production Dancehall Techniques
1986-1991」です。
デジタル化したダンスホール・レゲエが好きな人はこれ。

次にWinston Rileyがプロデュースしたダブを集めた
アルバム

winston_riley_03a

「Concrete Jungle + Meditation Dub」です。
これはCorn-Fedというレーベルから出たCD-Rです。
「Concrete Jungle Dub」と「Meditation Dub」の二つ
のダブが入った2イン1のアルバムです。
ルーツの頃のダブが好きな人にはこちらがおススメです。