今回はNitty Grittyのアルバム

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「Tribute To Nitty Gritty: Trial And Crosses」
です。

Nitty Grittyは80年代のダンスホール・レゲエ
全盛期にTenor SawやKing Kongなどと並んで
「アウト・オブ・キーの使い手」として活躍した
ダンスホール・シンガーです。
デジタル・ダンスホールの重要な歌手として活躍した
のですが、1991年に銃弾に倒れて34歳という
若さで亡くなっています。

Nitty Gritty (ニッティ・グリッティ)

今回のアルバムはタイトルからも解るように、そんな
彼の1994年に出された追悼盤です。
彼の生涯で残したヒット曲が収められています。

全14曲で収録時間は48分02秒。
オリジナルは12曲で残りの2曲はCDボーナス・
トラック。

ミュージシャンについては以下の記載があります。

Produced & Recorded at King Jammy's
Musicians: Steelie & Cleavie, Sly & Robbie
Engineers: King Jammys, Soldjie, Squeengine Francis, Bobby Degital

となっています。

このNitty Grittyが活躍した80年代後半という
のは完全にプロデューサー主体で音楽制作が行われた
時代で、彼の曲もKing Jammyという大プロデューサー
の力が大きかったのは間違いがないところです。

とりあえず今回のアルバムの曲のリディムを、
ネットで調べてみました。

1曲目「Hog Inna Minty」は彼Nitty Grittyの
ファースト・ヒットとして知られている曲なんだ
そうです。
この曲には師匠King Tubbyの弟子King Jammyへ
のアンサー・リディムとして知られている
「Tempo」のリディムが使われています。

2曲目「False Alarm」は、Techniques
レーベルを代表する名リディム「Stalag」が
使われています。

3曲目「Gimme Some Of Your Sum'thing」は、
「Things & Time」というリディムが使われて
います。

4曲目「Run Down The World」は彼自身の
ヒット・リディムのようです。

6曲目「Good Morning Teacher」はこれまた
「Stalag」リディムの曲です。

8曲目「So Them Come, So Them Go」はルーツ期
のコーラス・グループWailing Soulsのヒット曲
「Fire Coal Man」のリディムが使われています。

10曲目副題にもなっている「Trial And Crosses」
は、Gregory Isaacsのヒット曲「Storm」のリディム
が使われています。

12曲目「Sweet Reggae Music」はSlim Smithの
ヒット曲「Happy Times」のリディムが使われて
いるらしいです。

CDボーナス・トラックの14曲目「Down In
The Ghetto」は、あのThe Abyssiniansで有名な
曲「Satta Massagana」のリディムが使われています。
ルーツのクラシック・トラックをNitty Grittyは
見事に歌いこなしています。

ざっと調べただけでもこれだけのリディムが
出てきました。

一応リディムについても説明しておきます。
著作権という考え方がユルかった当時の
ジャマイカでは、ひとつヒット曲が出ると
そのリズムを使い回す事がけっこう自由に
行われていたんですね。
いわばカヴァー曲を勝手に作っちゃうような
事なんですが、そこからさらに新しいリズムが
生まれたりしていたんですね。
そういうよく使われるリズムの事をジャマイカ
では「リディム」という言い方をするんですね。
リディムの種類はいろいろで、レゲエの前の
ロックステディやスカのリディムから、
ダンスホール・レゲエの時代のものまで
使えるものは使えるだけ使っているんですね。

ちなみにこのアルバムに収められている
80年代の後半ぐらいの曲には、そろそろ著作権
みたいなものは、確立して来ていたんじゃないか
と思います。
そのせいかもしれませんが、まだ著作権に
甘かった60年代のロックステディの頃の曲や
70年代のルーツ・レゲエの時代の曲が、よく
使い回しされているんですね。

今回のアルバムでもWailing Soulsの「Fire Coal
Man」やSlim Smithの「Happy Times」、Abyssinians
の「Satta Massagana」などはかなりのクラシック・
リディムです。
そういうリディムでもレゲエはうまく使い回して、
アルバムにアクセントを付けているんですね。
あたこの時代は打ち込みの制作が主流になって、
アルバムが大量に作られた時代だったので、作曲が
間に合わないような事情があったのかもしれません。

さて今回のアルバムですが、惜しくも亡くなった
Nitty Grittyという歌手の魅力がよく解る
アルバムだと思います。
実は個人的にこの人、けっこう好きです。
ダンスホールの時代になるとレゲエの歌い方は
「アウト・オブ・キー」などだんだん歌い方が
テクニカルになり過ぎているような気もするの
ですが、何故かこの人は好きなんですね。
ちょっとエロい歌い方が好きです(笑)。

このアルバムはデジタルのダンスホールの時代
に活躍したNitty Grittyというシンガーがよく解る
アルバムだと思います。
デジタルのダンスホール・レゲエの好きな人には、
けっこうツボのアルバムだと思います。

機会があれば聴いてみてください。

Hog In A Me Minty - Nitty Gritty


Nitty Gritty-False Alarm


Nitty Gritty - Sweet Reggae Music (Happy Times Riddim)



○アーティスト: Nitty Gritty
○アルバム: Tribute To Nitty Gritty: Trial And Crosses
○レーベル: VP
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1994

○Nitty Gritty「Tribute To Nitty Gritty: Trial And Crosses」曲目
1. Hog Inna Minty
2. False Alarm
3. Gimme Some Of Your Sum'thing
4. Run Down The World
5. See It There, See It There
6. Good Morning Teacher
7. Draw Mi Mark
8. So Them Come, So Them Go
9. Don't Want To Lose You
10. Trials And Crosses
11. Bangarang
12. Sweet Reggae Music
13. Brown Girl In The Ring
14. Down In The Ghetto


Nitty Grittyのおススメアルバムをもう1枚紹介
しておきます。

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1986年のアルバム「General Penitentiary」です。
彼の代表作ともいえるアルバムです。