今回はHalf Pintのアルバム

half_pint_02a

「One In A Million 」です。

Half Pintは80年代のダンスホール・レゲエの
時代に活躍したシンガーです。
「Greetings」をはじめとする素晴らしい曲と
アルバムを、レゲエの世界に残しています。

half_pint_01a
Half Pint - Greetings (1985)

Half Pint (ハーフ・パイント)

今回のアルバムは1984年にGreensleevesから
出された作品です。
プロデュースはPrince Jammy、バックはHi-Times Band、
デザインはTonny Dermottが担当しています。

ネットで調べていて気付いたのですが、このアルバム
のジャケットの写真ですが、同じ写真で右を向いて
いるものと左を向いているものがあります。
間違えたて裏焼きしてしまったか、デザイン的にわざと
裏焼きしたものを修正したのか?その辺の事情はよく
解りません。
今回手に入れたアルバムは左を向いていますが、
よく見ると右手に腕時計をしているので、こちらが
裏焼きになっている方のデザインなのかも…。

全10曲で収録時間は31分46秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced by Prince Jammy
Backed by Hi-Times Band
Recorded & Mixed at Channel One
Engineers: Prince Jammy & Soldgie
All Tracks Written by Lyndon Roberts
Design: Tonny Dermott

となっています。

Hi-Times BandはギタリストのEarl 'Chinna' Smithの
レーベルHi-Timesのバンドという事です。
メンバーの詳細は解りませんが、おそらくメンバーの中に
Earl 'Chinna' Smithは居たと思われます。

エンジニアとしてこのダンスホール・レゲエの時代に
活躍したSoldgieの名前もあります。

デザインのTonny Dermottは、この80年代ぐらいから
レゲエのアルバムを多く手掛けているデザイナーです。
Scientistの「漫画ジャケ・シリーズ」をはじめ、
Mad Professorの「Dub Me Crazyシリーズ」のほか
Yellowmanのジャケットなど、数多くの素晴らしい
ジャケットを作っています。

Prince Jammyは70年代後半からダブ・マスターKing
Tubbyの元でミックスの勉強をした後に独立し、85年に
Wayne Smithの「Under Me Sleng Teng」の大ヒットで
ジャマイカにデジタル革命を起こした大プロデューサー
です。
その「Sleng Teng」の大ヒット以降はPrince Jammyから
King Jammyに改名するのですが、まだこの時期はその
ちょっと前なんですね。

エンジニアとしてPrince Jammyとともに名前のある
Soldgieは、このダンスホール・レゲエ期に活躍した
人です。
Sammy Dreadのアルバムのプロデュースなど、この時代に
良い仕事を多く残しています。

さて今回のアルバムですが、やっぱり注目はコンピューター・
ライズドでブレイクする前のPrince Jammyがどういう
プロデュースをしていたか?という事になると思います。
結論から言うと、Half Pintの歌を生かしたけっこう素直な
プロデュースなんですね。
この人自分のダブを作る時には、師匠King Tubbyとの違い
を出そうとけっこうひねくり回して苦労して作っている
感じがあるのですが、こういう歌手のアルバムの場合は
裏方に徹して作っているようです。

その意図はある程度成功していて、今回のアルバムは
Half Pintのヴォーカルが際立った印象を残すアルバムに
なっています。
ただHalf Pintのヴォーカルはちょっと一本調子のところ
があるので、ちょっと一捻りあっても良かったのかなと
いう気が、しないでもありません。

ただのちのコンピューター・ライズドの時代のJammyも
そうなんですが、意外とこの人一本調子でグイグイ行く
というのが好きなところがあるんですよね。
まあ、それもこの人の個性なのか。

やはり印象的なのは、のちのコンピューター・ライズド
で見られるようなリズムの基本形が、すでにこの生演奏
だった時代に出来上がっている事です。
これがそのままデジタルになっても、全く不思議でないほど
もうデジタルになる「下準備」が出来ているんですね。
ある程度このPrince Jammyにはその青写真が見えていた
のかもしれません。
書いたようにこの翌年の85年には、「Sleng Teng」の
ヒットをきっかけにPrince Jammy改めKing Jammyの
コンピューター・ライズドの快進撃が始まるんですね。

「Riddimguide」で調べてみたところ、1曲目「One In A
Million」は「Get A Lick」のリディム、2曲目「One Big
Ghetto」は「~Letter From Zion」のリディム、6曲目
「Mr. Landlord」は「Hypocrites」のリディム、9曲目
「Puchie Lou」は「Dub Organizer」のリディムとなって
いました。
ネットの情報などを見ると、ヒット曲も多く入った
アルバムのようです。

ダンスホール・レゲエの好きな人にはおススメ出来る
アルバムだと思います。

機会があれば聴いてみてください。

Half Pint - One In A Million - 12inch / Greensleeves



○アーティスト: Half Pint
○アルバム: One In A Million
○レーベル: Greensleeves
○フォーマット: CD LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1984

○Half Pint「One In A Million 」曲目
1. One In A Million
2. One Big Ghetto
3. You Lick Me First
4. What More Can I Really Do
5. Milky Highway
6. Mr. Landlord
7. Roots Man
8. Pick Your Choice
9. Puchie Lou
10. Tell Me Little Girl