今回はBlack Uhuruのアルバム

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「Chill Out」です。

Black Uhuruは70年代から活躍するレゲエ・ヴォーカル・
グループです。

Black Uhuru (ブラック・ユフル)

今回のアルバムは1982年の作品です。
このグループは再三メンバー・チェンジを繰り返して
いるのですが、リード・ヴォーカルにMichael Rose、
ハーモニーにDucky Simpson、Puma Jonesが揃っていて、
バックにSly & Robbieで80年に「Sinsemilla」で
メジャー・デビューしてからこのアルバムの頃ぐらいまでが、
このグループに一番勢いがあった頃なんですね。

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Black Uhuru - Sinsemilla (1980)

全9曲で収録時間は37分52秒。

ミュージシャンについては以下の記載があります。

Lead Vocals: Michael Rose
Harmonies: Duckie Simpson, Puma Jones
Drums & Syndrums: Sly Drumbar
Bass: Robbie Shakespeare

Percussion: Sky Juice, Sticky Thompson
Rhythm Guitar: Ranchie McLean
Lead Guitar: Radcliff 'Dougie' Bryan, Mikey Chung, Barry Reynolds
Piano: Ansell Collins, Robbie Lyn
Synths & Vocoder: Wally Badarou

Recorded at: Channel One Studio and Compas Point Studios
Engineers: Brutal 'Solgie' Hamilton, Steven Stanley
Assistant Engineer: Frankie Gibson
Mixed at: Compas Point Studios
Mixed by Steven Stanley, Robert Shakespeare and Sly Dunbar

Produced and Arranged by: Sly Dunbar and Robbie Shakespeare

となっています。

ドラムとシンセ・ドラムで「Sly Dunbar」が「Sly Drumbar」
となっているのは、遊びか?

この当時はバックのSly & Robbieまでが「Black Uhuru」と
考えられていたようで、Sly & Robbie完全プロデュースのもと
彼らは海外公演に飛び回るようになります。
そのSly & Robbieが海外公演でジャマイカを空ける事が多く
なった時に、ジャマイカでバック・バンドとして活躍した
のがRoots Radicsだったんですね。

このBlack Uhuruはやっぱりメジャー・デビュー・アルバムの
「Sinsemilla」があまりにも衝撃的だったグループです。
ピュンピュンしたシンセ・ドラムが印象的なこのアルバムは、
レゲエに新しい才能が誕生した事を世界に知らしめたアルバム
でした。
このBlack Uhuruのデビューから間もなくして、81年に
Bob Marleyが亡くなっています。
そのBob Marleyの穴埋めを最も期待されたのがこのグループ
Black Uhuruだったんですね。

しかしながらその穴埋めを完全にする事は出来ませんでした。
それも当然で今までのレゲエの歴史を振り返ってみても、
Bob Marleyの変わりが出来る人物やグループは一人も現れて
いないんですね。
おそらくすべての音楽史の中でもBob Marleyに匹敵する人物
というのは、John Lennonぐらいのものでしょう。
Bob Marleyという人はそれほどのカリスマ中のカリスマの人
なんですね。
そして本当のカリスマは人が簡単に作れるようなものでも
ないんですね。

話をBlack Uhuruに戻すと、順調にデビューした彼らだった
のですが、それ以降のアルバムは内容は悪くないものの
ちょっと華やかさに欠ける感はあります。
そのうちにリード・ヴォーカルのMichael Roseが抜け、
Puma Jonesが脱退後病死するなど不幸が続き、徐々に
失速していくんですね。
つまりBob Marleyの穴埋めが出来なかったグループという
不名誉な名前が残ってしまったグループなんですよね。

ただこのBlack Uhuruがそんなにダメだったかというと、
まったくそんな事はないんですね。
確かにデビュー・アルバムの「Sinsemilla」のような
鮮烈さはないけれど、他のアルバムもそれなりに
上質なルーツ・レゲエを続けていることには変わりは
ありません。
ただ80年代に入るとジャマイカのレゲエはルーツから
ダンスホール・レゲエに急激に舵を切るんですね。
海外で活躍していた彼らはそうした時代の流れに
あまり対応できなかった側面があると思います。
時代が彼らの追い風にはならずに、逆風に
なっちゃったんですね。

それでもこの時代のMichael Rose、Ducky Simpson、
Puma Jonesの3人のBlack Uhuruが一番魅力的だった
事は否定が出来ません。
おそらくSly & Robbieが行った数々のプロジェクトの
中でももっとも世界的に成功したプロジェクトの
ひとつだったんじゃないでしょうか。
私自身もSly & Robbieの名前をこのBlack Uhuruで
覚えたほどでしたから。

面白いのは今聴いてみるとけっこう正当なルーツ・
レゲエをやっているんですよね。
意外とジャマイカ国内から世界に出ていくバンドは、
サウンドが受け入れられやすいようにロック色を強く
したり、元のルーツから音をソフトにしていく傾向が
あるんですが、彼らは頑固にルーツを守っている感が
あります。
今聴くとその頑なまでのルーツへのこだわりに好感が
持てます。

今回のアルバム「Chill Out」もそのBlack Uhuruの
ルーツ・レゲエに対するこだわりが痛いほど伝わって
くるアルバムです。
「Sinsemilla」ほど派手に見得を切っている感じが
無いので、ちょっと地味な仕上がりになっているの
ですが、そこがある意味本来の彼ららしいのかも
しれません。
気張らずただただルーツ、それが彼らの選んだ選択肢
だったのでしょう。
期待された分だけ過小評価されている感のある彼ら
ですが、それでもレゲエの歴史に確かな足跡を残した
グループである事は、もっと高く評価されるべきだと
思いました。

このアルバムは80年代の初めからインターナショナル
に活躍したBlack Uhuruというグループを知るには、
良いアルバムだと思います。

機会があれば聴いてみてください。

Black Uhuru - Chill Out


Black Uhuru - Sinsemilla (Live in London)



○アーティスト: Black Uhuru
○アルバム: Chill Out
○レーベル: Mango
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1982

○Black Uhuru「Chill Out」曲目
1. Chill Out
2. Darkness
3. Eye Market
4. Right Stuff
5. Mondays
6. Fleety Foot
7. Wicked Act
8. Moya (Queen Of I Jungle)
9. Emotional Slaughter

●今までアップしたBlack Uhuru関連の記事
〇Black Uhuru「Black Sounds Of Freedom (Deluxe Edition)」
〇Black Uhuru「Red」
〇Black Uhuru「Sinsemilla」
〇Black Uhuru「Tear It Up - Live」
〇Black Uhuru「The Dub Factor」
〇Ranking Joe With Black Uhuru, Dennis Brown「Zion High」