今回はCultureのアルバム

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「Good Things」です。

Cultureはリード・ヴォーカルのJoseph Hillを中心に、
Albert WalkerとKenneth Paleyの3人組のレゲエ・
ヴォーカル・グループです。
76年にJoe Gibbsの元で「Two Sevens Clash」で衝撃的
なデビューを飾った彼らでしたが、その後も女性
プロデューサーのSonia Pottingerの元で順調にキャリア
を重ね、「International Herb」や「Cumbolo」など
素晴らしいアルバムを作り続けて来ました。
82年にバック・ヴォーカルの二人が脱退し、以後は
Joseph Hill一人がCulture名義でアルバムを作り続けて
来ました。
そのJoseph Hillも2006年にツアー中に亡くなって
います。

Culture (カルチャー)

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Culture - Cumbolo (1979)

今回のアルバム「Good Things」はそのCultureの
1989年のアルバムです。
その時代になるとすでにバック・コーラスの二人は
すでに離れていたと思われますが、別のコーラスが
付いているようです。

オリジナル・アルバムは全8曲ですが、今回手に入れた
アルバムは本クラウンから出ているCDで、その元に
なっているCDはRas Recordsで作られたもので、その
8曲にさらにそのダブ4曲が追加されて全12曲に
なっています。

全12曲で収録時間は52分23秒。
9曲目以降はCDボーナス・トラックで、今回の
アルバムのダブが収められています。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced by Joseph Hill
Recorded at Mixing Lab, Kingston, Jamaica
Engineer: Linford Marshall
Mixed atLion & Fox,Washington, DC.
Mixed by Jim Fox, Joe Hill

Drums: Michael "Freckles" McKenzie
Keyboards: Norman "Mild" Douglas
Bass: Ian "Onawi" Watson
Guitar: Frederick "Fat Strings" Thomas
Percussion: Fransico "Fuzzy" Thompson, Sky Juice
Backing Vocals: Albert Walker, Keneth Dayes, Fransico Thompson
Alto Sax: Headley Bennet
Trombone: Everald Gayle
Trumpet: David Madden

となっています。

この89年頃になるとデジタル化が進み打ち込みが
主流になるのですが、今回のアルバムはアナログ録音
だったらしく多くのミュージシャンが参加しています。
この時代になると70年代と較べてミュージシャンも
様変わりしてくるのですが、パーカッションにSky Juice、
アルト・サックスにDeadley Headley Bennet、
トランペットにDavid Maddenの名前が見えます。

さて今回のアルバムですが、実は渋谷のdisk union
レア・グルーヴ館で309円で売られていたアルバム
です(笑)。
Cultureの一番良かった時期は70年代後半のJoe Gibbs
やSonia Pottingerと組んでアルバムを作っていた時期
という事は解っていたんですが、これだけ廉価で売られ
ているのは、やっぱりそれ以降なんだろうなというのが
解った上で、廉価なので購入してみました。
やっぱりそれ以降はどんな音を作っていたのか?その辺も
興味がありますからね。

実際に聴いてみた印象ですが、思ったよりは悪くないです。
今回なるバムは日本盤だったので、表ジャケの内側が小冊子
になっており、そこに鈴木智彦さんという方の解説文が
付いていました。
それによるとこのアルバムは、Cultureがデジタル・
サウンドに挑戦したアルバム「Culture In Culture」が
大コケした後に作られたアルバムなんだそうです。
そのためデジタルなサウンドではなく、生演奏を採用して
いるようです。
おそらくJoseph Hillがヴォーカリストとして器用な人では
ないので、デジタルの空気感が合わなかったのでしょう。
というかもうダンスホールの空気感もうまく合わせるのが
苦手のタイプかもしれません。
彼はルーツの時代に育ち、ルーツの空気感で成長した人
なんですよね。

今回のアルバムではその失敗を糧にしたのか、Joseph Hill
が気持ち良さそうにルーツ・サウンドの中で歌っています。
そういう意味では意外と内容は悪くないです。
この鈴木さんという方の解説でも、当時はそうしたルーツ・
レゲエのリヴァイバルの風潮があったんだとか。
そうした流れに乗りたいJoseph Hillの思いもあったの
でしょう。
Joseph Hillは気持ちの良いヴォーカルを聴かせてくれて
います。
ルーツ・レゲエの時期よりJoseph Hillのヴォーカルも
荒々しさが消え、スムーズになった気がします。

ただあえて言うとやっぱりこのアルバムは、ルーツの時代
に作られたアルバムではないんですよね。
ルーツの頃の荒々しかったけれど確かにその時代に生きて
いたJoseph Hillと、今回の時代にあがらいながらルーツを
護ろうとしているJoseph Hillでは、微妙に価値が違うん
ですね、残念ながら…。
今回のアルバムがすごく廉価で売られていた理由もそこに
あると思います。

やっぱり人は時代に生きている人の音を求めるんですね。
それは残酷な現実ですが、ただそうして時代にあがらって
生きる事自体が悪い訳ではありません。
なんでも時代の通りに生きれば良い訳ではなく、たとえ
人から認められようが認められなかろうが自分の生き方を
貫くのもまた人生です。
この不器用さもまたJoseph Hillという人らしい生き方なの
かもしれません。

おそらく初めの選択肢としては、やっぱりCultureの全盛期
ルーツの時代の音源という事になってしまうと思いますが、
時代が変わっても変わらずにルーツを護り続けたJoseph Hill
というシンガーが居た事は、忘れたくない記憶です。
そういう意味では必ずしも悪いアルバムではないんですね。

あとダブ好きにとっては意外とCDボーナス・トラックの
ダブは、このほとんどジャマイカでダブが作られなくなった
時代のダブとして貴重なダブなんですね。

機会があれば聴いてみてください。

Culture - Good Things + Good Good Dub



○アーティスト: Culture
○アルバム: Good Things
○レーベル: 日本クラウン
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1989

○Culture「Good Things」曲目
1. Hand 'A' Bowl
2. Good Things
3. Love Music (Extended Version)
4. Psalm Of Bob Marley
5. Cousin Rude Boy
6. Youthman Move (Extended Version)
7. Righteous Loving
8. Chanting On
+ Bonus Dub Tracks
9. Rude Boy Dub
10. Chant A Dub
11. A Dub Of Bob Marley
12. Good Good Dub

●今までアップしたCulture関連の記事
〇Culture & The Deejay's「At Joe Gibbs 1977-79」
〇Culture「Africa Stand Alone」
〇Culture「Baldhead Bridge」
〇Culture「Cumbolo」
〇Culture「Harder Than The Rest」
〇Culture「International Herb」
〇Culture「Two Sevens Clash」
〇Various「Different Fashion: The High Note Dancehall Collection」
〇Culture & Don Carlos「Roots & Culture」