今回はのアルバム

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「The Dub Factor」です。

Black Uhuruは70年代後半から活躍するレゲエ・
ヴォーカル・グループです。
彼らを有名にしたのは1980年に発表された
メジャー・デビュー・アルバム「Sinsemilla」で、
当時Bob Marleyが亡くなった事もあり、レゲエの
未来を支えるグループとして最も期待されたのが
彼らBlack Uhuruだったんですね。
ただリード・ヴォーカルのMichael Roseの脱退や、
ハーモニーの女性シンガーPuma Jonesの病死など
不幸が重なって、期待に応えられなかったイメージ
のあるグループなんですね。
ただ今に至るまでBob Marleyに代わるような
アーティストは一人も現れていないんですね。
それを考えれば期待があまりに大きすぎたのかも
しれません。

Black Uhuru (ブラック・ユフル)

今回のアルバムは彼らがメジャー・デビュー後、
バックのSly & Robbieなどと世界を飛び回っていた
83年に発表された彼らのダブ・アルバムです。

全10曲で収録時間は38分47秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Vocals: Michael Rose, Duckie Simpson, Puma Jones
Drums & Syndrums: Sly Dunbar
Bass: Robbie Shakespeare
Percussion: Sky Juice, 'Sticky' Thompson
Guitars: Ranchie McLean, Radcliff 'Dougie' Bryan, Mikey Chung, Barry Reynold
Piano: Ansel Collins, Robbie Lyn, Keith Sterling
Synth & Vocoder: Wally Badarou

Recorded at Channel One Studio (kingston), Compas Point Studios (Nassau)
Engineers: Solgie, Steve Stanley, Maxie, Kendall Stubbs, Frankie Gibson
Produced by Sly Dunbar & Robbie Shakespeare
Dub Mix by Paul 'Groucho' Smykle at The Fallout Shelter
Assistant Engineer: Steve Street
Cover Painting: Ian Wright

となっています。

さて今回のアルバムですが、販売サイトなどの
アルバム評を見ると、「名盤」と「聴く価値なし」
という評価が真っ二つに分かれているアルバムです。
まあ、販売サイトなのでやたらと「名盤」と書く
サイトはけっこうあるのですが、「聴く価値なし」
という評価という評価をするのは極めて異例かも
しれませんね(笑)。
どうもそういう記事を読むと、批判の対象になって
いるのはミックスを担当したPaul 'Groucho' Smykle
のミックスがダブっぽくないという事のようで、
逆に評価しているのも現代に通じるミックスという
事なんですね。

評価の分かれるビミョ~なアルバムなんですが、
2002年シンコー・ミュージック刊行の本
「Roots Rock Reggae」にはこのアルバム評として
石川さんという方の文章で、
「非ダブ・ミュージック・ファンにも理解し易い
人気盤として有名。グルーチョ・スマイクルの
メリハリの効いた派手なミックスが特徴。」
という事が書かれています。

このアルバムについては、私も何度も聴き返して
みましたが、正直何ともビミョ~なアルバムなん
ですね(笑)。
正直酷評されるほどの内容でもないし、だからと
いって絶賛するほどでもないし、という感じで
本当にビミョ~なアルバムなんですね~(笑)。

ただひとつ言えるのは、ダブって作り手で全く
変わる音楽なので、もっと思い切って実験的な
音にチャレンジしてみた方が良かったのかなぁと
思いました。
批判されているのは「ダブっぽくない」という
事なんでしょうが、もっと思い切ってダブっぽく
なくても構わないし、ヤリ過ぎぐらいでも良かった
んじゃないですかね。
たぶん「ヤリ過ぎてない」というところが、この
アルバムのマイナス点なのかもしれません。
けっこう整ったキレイな音のアルバムなんですよね。
聴き易いし、書かれているようにレゲエの好きな
人より、クラブ・ミュージックの好きな人あたりに
ウケそうなサウンドなんですよね。

ただこの80年代に彼らBlack UhuruやSly & Robbie
が、レゲエをメジャーにするためにいかに努力したか、
それを考えると否定するのはどうかなと思う部分も
あります。
内容的には多少流れちゃうところもあるけれど、
すごく聴き易いダブ・アルバムではあります。

このアルバムは80年の前半にレゲエをメジャーな
音楽にしようと、世界で頑張ったBlack Uhuruの
ダブ・アルバムです。
アルバムとしての評価は、書いたように真っ二つに
分かれているアルバムですが、彼らがこの時代に
レゲエのために努力した事だけは評価してあげて
ください。

機会があれば聴いてみてください。

Black Uhuru - General Penitentiary (Live in London)


DUB LP- DUB FACTOR - BLACK UHURU - Slaughter



○アーティスト: Black Uhuru
○アルバム: The Dub Factor
○レーベル: Mango
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1983

○Black Uhuru「The Dub Factor」曲目
1. Ion Storm
2. Youth
3. Big Spliff
4. Boof'n'baff'n'biff
5. Puffed Out
6. Android Rebellion
7. Apocalypse
8. Back Breaker
9. Sodom
10. Slaughter

●今までアップしたBlack Uhuru関連の記事
〇Black Uhuru「Black Sounds Of Freedom (Deluxe Edition)」
〇Black Uhuru「Chill Out」
〇Black Uhuru「Red」
〇Black Uhuru「Sinsemilla」
〇Black Uhuru「Tear It Up - Live」
〇Ranking Joe With Black Uhuru, Dennis Brown「Zion High」
〇Various「King Jammy Presents New Sounds Of Freedom」