今回はJohnny Clarkeのアルバム

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「Authorised Rockers」です。

Johnny Clarkeは70年代のルーツ・レゲエの時期に
活躍したシンガーです。

Johnny Clarke (ジョニー・クラーク)

今回のアルバムは1991年にVirgin Front Lineから
発売されたアルバムで、76年のアルバム「Rockers
Time Now」と、同じく76年に発売されたアルバム
「Authorised Version」の2枚のアルバムを1枚に
まとめたアルバムです。
その為タイトルも「Rockers Time Now」と「Authorised
Version」を合わせて、「Authorised Rockers」となって
いるようです。

全23曲で収録時間は77分秒。
1~12曲目までが「Rockers Time Now」の曲で、
13~23曲目までが「Authorised Version」の曲です。

ミュージシャンについては以下の表記があります。。

○Rockers Time Now (Virgin, 1976) - tracks 1-12
Musicians:
Bass: Robbie Shakes peare
Drums: Carlton Davis, Carlton Barrett, Brother Benbow
Lead Guitar: Earl Smith
Organ: Ossie Hibbert, Ian Winter, Augustus Pablo
Piano: Bernard Harvey, Augustus Pablo
Rhythm Guitar: Tony Chin, Aston 'Family Man' Barrett, Brother Bagga, Brother Morris
Recorded at Channel One inApril '76
Engineered by Pat Kelly, Ernest Hoo Kim and Osbourne Ruddock
Mixed at King Tubby's by Osbourne 'King Tubby' Ruddock
Produced by Bunny Lee

○Authorised Version (Virgin, 1976) - tracks 13-23
Musicians: The Revolutionaries and Skin, Flesh & Bones
Recorded at Channel One
Produced by Bunny Lee

となっています。

「Rockers Time Now」の方は細かい参加ミュージシャンの
名前がありますが、「Authorised Version」の方はバンド名
としてThe RevolutionariesとSkin Flesh & Bonesの名前が
あるだけです。
当時はバック・バンドはプラスティック・バンドで、集まれる
人が集まって音を録っていた訳なんですが、「Rockers Time
Now」も同年のアルバムなので、同じミュージシャンが参加
していた可能性があります。
さらには一度に録音した音源からこの2枚のアルバムを作った
という事も考えられなくはありません。
当時はスタジオはレンタル、ミュージシャンは日雇いという
形で、費用はすべてプロデューサーの負担だったので、いかに
効率的に録音するかが非常に重要で、ヤリ手のBunny Leeなら
そのくらいの事はしかねないんですね(笑)。

さて今回のアルバムですが、2002年シンコー・ミュージック
刊行の本「Roots Rock Reggae」には「Authorised Version」が
アルバムとして紹介されているし、「Rockers Time Now」の方は
アルバムは紹介されていませんが、Johnny Clarkeの紹介文の中に
アルバム名が出てきます。
つまりどちらのアルバムもこのJohnny Clarkeというシンガーの
全盛期の彼を代表するアルバムなんですね。
その2枚のアルバムが1度に聴けるのだから、これは悪い訳が
ありません(笑)。

実はこのJohnny Clarkeは私が5,6年前から再びレゲエを
聴き始めて一番初めに好きになったシンガーです。
彼の歌う「None Shall Escape The Judgement」が気に入って
CDを探し回ったのだけれど、当時はベスト盤ぐらいしか出て
いなくてアルバムを手に入れるのに非常に苦労した事を覚えて
います。
今の方が中古などでたまに見かける事がありますが、それでも
「Roots Rock Reggae」に載っているようなアルバムはあまり
見かけない人なんですよね。
それがちょっと残念な人です。

では何故初めに好きになったのがJohnny Clarkeだった
のか?というと、彼のヴォーカルには独特の中毒性がある
んですね。
それが彼の最大の魅力です。
「Roots Rock Reggae」には彼の紹介文の中にカヴァーの
多さも指摘されていますが、それでも彼が歌うとその歌は
彼の歌にしてしまう特別な能力のある人なんですね。

この彼の歌唱の中毒性を理解していたのか、King Tubbyも、
多くのダブに彼の歌を使っているんですよね。
もしかしたら版権の関係などの関係もあったかもしれない
けれど、King TubbyにとってJohnny Clarkeの歌声がダブの
大事な要素のひとつだったんじゃないかと思うところが
あります。
King Tubby+Johnny Clarkeで一つのダブの世界が成り
立っていた気がします。

レゲエを愛する多くの人にとって、このJohnny Clarkeが
ルーツ・レゲエを代表するヴォーカリストのひとりである
事は間違いのないところです。
今回のアルバムには、その魅力的なルーツ・レゲエが
たくさん詰まっています。

アルバムでは、両アルバムともオリジナルの順番通りに
全曲が収められているようです。

1~12曲目までの「Rockers Time Now」では、ルーツ色
の強い1曲目表題曲の「Rockers Time Now」、3曲目
「African Roots」などで完全に彼の歌声に引き込まれて
しまいます。

5曲目「Satta-Massa-Gana (Sette Messgana)」と7曲目
「Declaration Of Rights」は、The Abyssiniansでも
おなじみの超有名曲です。

12曲目「Marcus Garvey」は、これまたBurning Spearの
超名曲としてよく知られている曲です。
このアルバムではBurning SpearやThe Abyssiniansと
いったディープなルーツ・アーティストをカヴァーして
います。

13~23曲目までの「Authorised Version」では、
いきなり13曲目「Roots, Natty Roots, Natty Congo」で
ロッカーズのビートに引き込まれてしまいます。

14曲目「Wrath Of Jah」は、あの「None Shall Escape
The Judgement」の別ヴァージョンと思える曲です。

15曲目「Legalise It」はPeter Toshの代表曲です。

16曲目「I Am Still Waiting」は、スカからロック
ステディの時代1965年に、ジャマイカ国内で頑張って
いたThe Wailersの名曲です。

20曲目「Crazy Baldhead」は、Bob Marleyの有名な曲です。

21曲目「Simmer Down」は、これまたスカの時代の
The Wailersのヒット曲です。

見てきたようにこの「Authorised Version」では、
The Wailers関連の曲を多くカヴァーしています。

どちらも全盛期のJohnny Clarkeのアルバムなので、
充分な聴きごたえがあります。
Johnny Clarkeというアーティストを知るには、とても良い
アルバムではないかと思います。
特にルーツ・レゲエの好きな人にはおススメです。

機会があれば聴いてみてください。

Crazy Baldhead - Johnny Clarke



○アーティスト: Johnny Clarke
○アルバム: Authorised Rockers
○レーベル: Virgin Front Line
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1976

○Johnny Clarke「Authorised Rockers」曲目
●Rockers Time Now
1. Rockers Time Now
2. Ites Green And Gold
3. African Roots
4. Be Holy My Brothers And Sisters
5. Satta-Massa-Gana (Sette Messgana)
6. Stop The Tribal War
7. Declaration Of Rights
8. Let's Give Jah Jah Praises
9. I Wish It Would Go On For Ever
10. Natty Dreadlocks Stand Up Right
11. Prophesy A Fulfilled
12. Marcus Garvey
●Authorised Version
13. Roots, Natty Roots, Natty Congo
14. Wrath Of Jah
15. Legalise It
16. I Am Still Waiting
17. Let Go Violence
18. Academy Award Version
19. Cry Tough
20. Crazy Baldhead
21. Simmer Down
22. Jah Jah See Them Come
23. Freedom Blues


Johnny Clarkeのベスト盤をもう1枚紹介しておきます。

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「Johnny Clarke Very Best 25 Massive Hits」です。
彼の代表曲「None Shall Escape The Judgement」など彼の
ヒット曲がたくさん聞けます。

●今までアップしたJohnny Clarke関連の記事
〇Johnny Clarke「A Ruffer Version: Johnny Clarke At King Tubby's 1974-78」
〇Johnny Clarke「Don't Trouble Trouble」
〇Johnny Clarke「Jah Jah We Pray」
〇Johnny Clarke「Originally Mr. Clarke」
〇Johnny Clarke「Satisfaction」
〇Johnny Clarke「Sings In Fine Style」
〇Various「Rubadub Revolution: Early Dancehall Productions From Bunny Lee」
〇Various「When Jah Shall Come」