今回はThe Heptonesのアルバム

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「Meet The Now Generation」です。

The Heptonesはレゲエの前身であるロックステディ
の時代から活躍したコーラス・グループです。
彼らのロックステディ時代のアルバム「On Top」は、
ジャマイカで一番売れたアルバムとしてよく
知られています。

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The Heptones - On Top

そのようにロックステディ期に人気を博した
The Heptonesですが、その後のレゲエの時代に
なっても活躍を続けました。
ただその後1976年にリード・ヴォーカルの
Leroy Sibblesが抜け、代わりにNaggo Morrisが
リード・ヴォーカルを務めた時期もありましたが、
95年に再びLeroy Sibblesに戻っています。
ただ彼らの全盛期はロックステディ期から
Leroy Sibblesが抜けるまでだったようです。

Heptones (ヘプトーンズ)

今回のアルバムはロックステディからレゲエの
時代になった1972年に、プロデューサーの
Joe Gibbsのもとで制作されたアルバムです。

全12曲で収録時間は37分43秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced By Joe Gibbs

Backed By The New Generation Band

Drums: Mikey 'Boo' Richards, Martin Sinclair
Bass: Val Douglas
Guitar: Michael Chung, Geoffrey Chung
Keyboards: Robbie Lyn, Earl 'Wire' Lindo

Recorded & Mixed At Joe Gibbs (Kingston, Ja),
Dynamic Sounds (Kingston, Ja)

となっています。

Joe GibbsというとバックはThe Proffessionals
というイメージがありますが、今回はThe New Generation
Band。
The Proffessionalsはもっと時代が進んでからの
バンドなのか?

4曲目「Freedom To The People」、さらにはU-Royが
入ったディージェイ・ヴァージョンの5曲目
「Freedom Train」などはけっこうガッツリとホーンが
入っているんですが、残念ながら記載がありません。
あくまで想像ですが、この時代に活躍していたホーン系の
ミュージシャンというとTommy McCook、Bobby Ellis、
Vin Gordonといったところなんじゃないかと思います。

やっぱりThe Heptonesというとロックステディの時代の
甘いコーラスがとても印象的ですが、ロックステディの
時代と較べると音楽がビターなルーツ・レゲエの時代に
なっても美しいコーラスは健在で、やっぱりイイんですよね。
ただレゲエ期に登場してきたコーラス・グループと
較べると、コーラスがけっこう前に出てくる印象で
ソウルやR&Bなどに近い、ちょっとオールド・
スタイルな印象があります。
レゲエ期に出て来たグループの方が、もっとさりげない
コーラスの付け方なんですよね。
その辺も彼らが徐々に勢いを失っていった理由の一つ
かもしれません。
ただ今聴くとそのオールド・スタイルも、むしろ懐かしさ
を想起させるような魅力があります。

ネットの販売サイトの情報によると今回のアルバムは、
1曲目「Hypocrite」、4曲目「Freedom To The People」、
8曲目「Be The One」などは、ロックステディ期の
Studio Oneのヒット曲の再演という事らしいです。
さらに2曲目「Save The Last Dance」は、ポピュラー・
ソングとして有名な「ラストダンスは私に」です。
さらにはU-RoyやDennis Alcaponeといったディージェイの
入った曲もあります。
例えればこのアルバムは、「全部のっけ丼」みたいな
アルバムなんですね(笑)。
そのあたりはいかにもサービス精神旺盛なJoe Gibbs
らしいアルバムの作り方だと思います。

その狙いはけっこう成功していて、例えば5曲目
「Freedom Train」はロックステディの時代になかった
U-RoyのディージェイとThe Heptonesの素晴らしいコーラス
がルーツ・レゲエならでは世界観を構築しています。
おそらくこのアルバムの中でも白眉の1曲になっています。

他に9曲目「The Road Is Rough」ではJoe Gibbs &
Now Generationのインスト・ナンバーありと、The Heptones
のアルバムでありながらそれを超えた自由度満点のアルバム
になっています。
ある意味「音のディズニー・ランド」のようなアルバム
なんですが、その分The Heptonesのアルバムという意味
では、少し焦点がボケている印象もちょっとあります。
ただかなり楽しい仕上がりのアルバムである事は間違い
ありません。

良いにつけ悪につけ何でもありの楽しいアルバム、
それがこのアルバムです。
このアルバムにはThe Heptonesが過去の栄光を超え、新しい
道を切り開こうとした努力が刻まれています。

機会があれば聴いてみてください。

The Heptones - Freedom To The People



○アーティスト: The Heptones
○アルバム: Meet The Now Generation
○レーベル: VP
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1972

○The Heptones「Meet The Now Generation」曲目
1. Hypocrite
2. Save The Last Dance
3. Our Day Will Come
4. Freedom To The People
5. Freedom Train - Featuring U-Roy
6. Every Day And Every Night
7. Love Has Many Faces
8. Be The One
9. The Road Is Rough - Featuring Joe Gibbs & Now Generation
10. The Magnificent Heptones (3 In 1)
11. George Headley Medley - Featuring Dennis Alcapone
12. I've Got A Feeling

●今までアップしたHeptones関連の記事
〇Heptones「Night Food」
〇Heptones「On Top」
〇Heptones「Sea Of Love」
〇Niney The Observer「Deep Roots Observer Style」