今回はVarious(オムニバス)もののアルバム

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「Studio One Ska」です。

まずはスカについて少し説明したいと思います。
ジャマイカにはもともと「メント」という民族音楽が
あったのですが、1950年代頃からアメリカのブルース
やリズム・アンド・ブルース(R&B)に影響を受けた
「スカ」が誕生します。
これが60年代ぐらいになるとそのスカのレコードが、
海を渡ってイギリスに輸出されるようになります。
そのイギリスの輸入元のレーベルがBlue Beatで、この
スカがイギリスの不良少年の間で人気になり、イギリスでは
レーベルの名前から「Blue Beat」と呼ばれて愛される
ようになって行くんですね。

そのスカ「Blue Beat」のイギリスでのヒットで
ジャマイカでは多くのミュージシャンがスカを演奏
するようになって行くんですね。
その中にはジャズの素養を持ったTommy McCookや
Roland Alphonso、そしてDon Drummondという人達も
居たんですね。
そしてスカは徐々にジャズのビッグ・バンドのように
管楽器を多く使ったスタイルへと変化していきます。

スカ - Wikipedia

スカはこの60年代の半ばごろまでが全盛期だった
ようです。
その後66年頃から68年頃までは、ジャマイカでは
甘いメロディ・ラインを持った「ロックステディ」という
音楽が流行るんですね。
しかしそのロックステディも、中心人物だったJackie Mittoo
のカナダ移住などがあって、66年から68年というわずか
3年ぐらいで終わってしまいます。
そして60年代の終わりごろに誕生した音楽がご存じ
「レゲエ」という音楽なんですね。

ざっとジャマイカの音楽史を追って行くと、50年代~
60年代半ばまでがスカ、66年~68年がロックステディ、
60年代後半からがレゲエという事になります。

さて今回のアルバムですが、Soul Jazz Recordsから
出ている「Studio Oneシリーズ」の、今回はスカの時代
の音源を集めたコンピュレーション・アルバムです。
スカが大流行していた1962年から66年までの音源が
集められています。

このStudio Oneについても説明しておくと、ジャマイカの
老舗レーベルで主催者のC.S. Doddを中心に、スカの時代
からルーツ・レゲエの時代まで常に質の高い楽曲を発表し
続けたレーベルです。
「レゲエのモータウン」との評されるほど、高い評価を
受けていたレーベルなんですね。
残念ながら初期のダンスホール・レゲエ以降はC.S. Doddの
死もあって衰退しますが、ジャマイカの音楽史で一番貢献
があったのがこのレーベルなんですね。

Studio One (スタジオ・ワン)

全17曲で収録時間は48分36秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

アルバムに収められているアーティストは、Jackie Mittoo、
Ken Boothe & Stranger Cole、The Wailers、The Skatalites、
Roland Alphonso、Joe Higgs、Delroy Wilson、Tommy McCook's Orchestra、
The Ethiopians、Tommy McCook、The Maytals、Don Drummond、
Andy & Joeyといった人達です。

レゲエやスカに詳しい人なら知っていると思いますが、
The SkatalitesはStudio Oneのバック・バンドで、
Jackie Mittoo、Roland Alphonso、Tommy McCook、
Don DrummondはThe Skatalitesのメンバーです。
つまり今回のアルバムはそのほとんどの演奏を、
The Skatalitesが担当しているものと思われます。

3曲目「Put It On」にThe Wailersとありますが、のちに
「レゲエの神様」と呼ばれたあのBob Marleyが在籍した
The Wailersです。
スカを歌っていた当時はメンバーは、Bob Marleyと
Peter Tosh、それにBunny Livingston(Wailer)の3人組
ヴォーカル・トリオで、演奏はThe Skatalitesが担当して
いて、この時代の彼らは演奏していません。

さて今回のアルバムですが、レゲエへと繋がって
行くスカの熱い息吹が感じられるアルバムに
なっています。
このスカの時代ぐらいからのちのレゲエの
大ブレイクに繋がるような熱い熱いエネルギーが、
このジャマイカの音楽界には溜まり始めるんですね。
やはりこの時代のスカ最高のバンドThe Skatalite
sの演奏は、聴いておくべきものがあります。

また今回のアルバムではインストものだけでなく、
歌ものもとても魅力的です。
Ken Boothe & Stranger Cole、The Wailers、
Joe Higgs、Delroy Wilson、The Ethiopians、
The Maytals、Andy & Joeyとこの当時活躍した
人たちが揃っています。
特に3曲目The Wailersの「Put It On」とラスト
17曲目Andy & Joeyの「You're Wondering Now」は
聴いておくべき曲です。

The Wailersはその後の活躍を予見させるような1曲。
Andy & Joeyの曲はその後「2 Toneブーム(ネオ・スカ・
ブーム)」を起こしたThe Specialsがカヴァーした事で
知られている曲です。
イギリスに「Blue Beat」として入っていたスカは、
その後も常に愛好者が居て、「2 Toneブーム」など
何回も小さなブームを引き起こすんですね。

このスカを牽引したThe Skatalitesはジャズの
John Coltraneに憧れて音楽を始めたTommy McCookや、
アルファ・ボーイズ・スクール出身のDon Drummond、
その後ロックステディを牽引するJackie Mittoo、
さらにはRoland Alphonsoと当時の才能が結集した
スーパー・グループでした。
特にその中でもトロンボーンのDon Drummondは、
一番のスーパー・スターだったようです。
ところがこのDon Drummonは、精神に異常をきたし
恋人を殺してしまって収監されてしまうんですね。
それを機にThe Skatalitesは解散してしまう
んですね。
そして時代はロックステディの時代へと変わって
しまいます。
ちなみに収監されたDon Drummondは、レゲエが
始まった頃の69年に獄中死しています。

まだこのスカの時代は、その後のレゲエのような
大きなブームを作るだけのパワーは備わって
いなかったのかもしれませんが、それでもレゲエに
至るまでの10年から20年という時間が、
ジャマイカの音楽をじっくりと育て、その後の
大ブレイクに繋がった事は間違いありません。

このアルバムはスカの時代から常に高品質な音楽
を作り続けてきたStudio Oneというレーベルの、
実力を証明するようなアルバムです。
常にリスナーに最高の音楽を提供する、その
姿勢を貫いて来たからこそ、彼らは「レゲエ界の
モータウン」と呼ばれたのでしょう。
今聴いてもこのStudio Oneのサウンドは色褪せて
いません。
その魅力がこのアルバムには刻まれています。

機会があればぜひ聴いてみてください。

The Skatalites - Addis Ababa



○アーティスト: Various
○アルバム: Studio One Ska
○レーベル: Soul Jazz Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2004

○Various「Studio One Ska」曲目
1. El Bang Bang - Jackie Mittoo
2. Arte Bella - Ken Boothe & Stranger Cole
3. (I'm Gonna) Put It On - The Wailers
4. Addis Ababa - The Skatalites
5. President Kennedy - Roland Alphonso
6. (I'm The) Song My Enemies Sing - Joe Higgs
7. Beardsman Ska - The Skatalites
8. I Want Justice - Delroy Wilson
9. Sampson - Tommy McCook's Orchestra
10. I'm Gonna Take Over Now - The Ethiopians
11. Freedom Sounds - Tommy McCook
12. Marching On - The Maytals
13. Exodus - The Skatalites
14. Look Away Ska - Roland Alphonso
15. Don Cosmic - Don Drummond
16. Scambalena - Roland Alphonso
17. You're Wondering Now - Andy & Joey