今回はCedric 'Im' Brooks & The Divine Lightのアルバム

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「From Mento To Reggae To Tird World Music」です。

Cedric 'Im' Brooksはルーツ期から活躍したサックス・
プレイヤーです。
Count Ossie & Mystic Revelation Of Rastafariの
「Grounation」や「Tales Of Mozanbique」などのアルバム
に参加した他、自身のバンドThe Light Of Sabaを率いて
活躍した事でもよく知られています。
他にも数々のセッションや自身のソロ・アルバムに名演を
残しています。

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Count Ossie & Mystic Revelation Of Rastafari - Tales Of Mozanbique

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Light Of Saba - In Reggae

Cedric 'Im' Brooks (セドリック・イム・ブルックス)

このCount Ossie & Mystic Revelation Of Rastafariや
The Light Of Sabaは「ナイヤビンギ」という、レゲエの
中でもコアなジャンルで紹介される事が多いです。
「ナイヤビンギ」はラスタファリアンが集会の時に行う
音楽で、打楽器を中心に瞑想空間に誘うような音楽です。
その第一人者ともいえるのがこの人なんですね。

実は今回調べてみて初めて知ったのですが、このCedric
'Im' Brooksはかなりジャズの勉強をしている人なんですね。
一時期アメリカの音楽学校に通い、ジャズの名奏者
Sonny Rollinsなどから教えを受けた事があるそうです。
上にあるレゲエレコード・コムの彼の紹介ページに書かれて
いました。
彼のソロ・アルバムなどを聴くと、かなりJazzyなモダンな
プレイをしている感じがあると思っていたんですが、
そうしたジャズの素養があるからだったんですね。

今回のアルバムはVPから出ている名盤シリーズの1枚です。
元のアルバムがは1973年のアルバムで、Cedric 'Im'
BrooksとThe Light Of Sabaの前身となったプロジェクト
The Divine Lightのアルバムです。
タイトルに「From Mento To Reggae To Tird World Music」
とあるように、ジャマイカにもともと当たった音楽メントから、
スカ→ロックステディ→レゲエと進んだジャマイカの音楽史を
順番に追って行き、さらには第3世界の音楽までを1枚の
アルバムにまとめた内容となっています。

このアルバムについては、ネットで調べたところ、
disk unionのサイトにすごく詳しい解説文が載っていた
ので、参考までにURLを載せておきます。

CEDRIC IM BROOKS & THE DIVINE LIGHT (disk union)

全13曲で収録時間は38分58秒。
オリジナルは9曲で、10曲目以降はCDボーナス・トラック。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Producers:
Tracks 1-9,12 Produced by: The Caribbean Institude Of Jamaica
Tracks 10,11,13 Produced by: Clive & Vincent Chin
Recorded & Mixed at: Randy's Studio 17
Recording & Mixing Engineers: Errol 'ET' Thompson & Clive Chin

Musicians:
Tenor Sax, Clarinet, Percussion, Arranger: Cedric 'Im' Brooks
Trombone: Clive 'Bubbles' Cameron
Trombone, Percussion, Lead Voice: Ronald 'Nambo' Robinson
Trumpet: Mikey Hanson
Fulute: Barbara Boland
Guitar, Bass, Percussion: Phillip Whyte
Bass: Michael 'Ras' Star, Mikey Ashby
Guitars: Brother Maurice Gregory, David 'Little Dee Trall'
Keyboards: Siddy, Trevor 'Ochie'Hule
Rasta Drums, Repeater & Funde: Lynford 'Son' Myles, Roy Lyn Vassel, Raiston Kelly
Bass Drum: Brothe 'Bingi Brown
Congos, Percussion: Liz Campbell, Sister Eleanor Wint, Sharon Myles
Congos: Mikey Bumett,Pat Lewis
Soprano Sax, Penny Whistle: Barrington Saddler
Tracks 1-9,12 The Divine Light
Tracks !0-11,13 The Light Of Saba

Vocals:
Track 1: Liz Campbell, Sharon Myles
Track 5: Lloyd Brown
Track 7: Lynford 'Son' Myles, Liz Campbell, Sharon Myles
Track 8: Ronald 'Nambo' Robinson
Track 9: Lynford 'Son' Myles

となっています。

さて今回のアルバムですが、こうしてアルバムを調べて
みるまでは、このアルバムがこれほど意欲的なアルバム
だとは思いませんでした。
ただ聴いているだけだと解らない事もあります。
こうししてレゲエについて調べてブログを書いていると、
少しずつは知識が増えて、その時代背景やいろいろな
事が解って来ると、よりレゲエという音楽が楽しめる
んですね。

実は音楽というのは学習するものなんですね。
聴けば感覚で解ると錯覚していますが、実はラジオや
テレビなどで繰り返し繰り返し学習して、その音楽の
楽しみ方を覚えているんですね。

今回のアルバムでもメントからレゲエに至る音楽の進化
の過程が、メント→スカ→ロックステディ→レゲエと
並べられているので、なかなか面白いです。
注目すべきはそういうコンセプトを持ったアルバムを、
まだルーツ・レゲエがブレイクし始めた73年当時に
作っているという事です。
そのあたりにこのCedric 'Im' Brooksという人の、
高度な音楽センスがうかがえます。

まずは1曲目メントの楽し気な曲「Nobody's Business」
で幕を開けます。

メントは50年代にジャマイカで流行ったフォーク・
ソングなんだそうです。
よくトリニダード・トバゴの音楽「カリプソ」と混同
されますが、ジャマイカの音楽は「メント」なんだそうです。
ハリー・ベラフォンテで有名な「バナナ・ボート」も、
実はカリプソではなくメントの労働歌なんだそうです。

メント - Wikipedia

5曲目「Carry Go Bring Come」はJustin Hinds & Dominoes
で知られる、スカの時代の有名曲のひとつらしいです。

50年代から60年代にかけて、メントに代わって大流行
したのがスカという音楽なんですね。
初めはアメリカのリズム・アンド・ブルースの影響を強く
受けていた音楽なんですが、徐々にジャズのビッグ・バンド
のようなブラスを強調した音楽になって行ったのがスカ
なんですね。
このスカの時代からジャマイカの音楽はイギリスに「輸出」
されるようになって、スカは輸入元のレーベルの名前から
「ブルー・ビート」として、イギリスの不良少年の間で
人気を博すようになります。

スカ - Wikipedia

7曲目はThe Wailersのロックステディ時代の名曲
「Put It On」です。
さらに8曲目もAlton Ellisで知られる「Let's Do Rock Steady」
へと続きます。

1966年から68年までのわずか3年間だけ流行
した音楽がロックステディです。
甘いメロディ・ラインが特徴的なロックステディですが、
中心人物だったJackie Mittooなどのカナダ移住などで、
たった3年間でブームが終わってしまうんですね。

ロックステディ - Wikipedia

オリジナル・アルバムの最後の9曲目を飾っているのが、
ルーツ・レゲエの名曲「Satta Massa Gana」です。

そしてついにレゲエという音楽が誕生します。
今ではダンスホールやラヴァーズといった他のレゲエと
区別する為に「ルーツ・レゲエ」と呼ばれるレゲエが
誕生したのが、この60年代後半だったんですね。
スカの時代から根付き始めたラスタファリズムと、
その回帰思想からのアフリカへの憧れを体現した音楽が、
このレゲエという音楽だったんですね。

その最も象徴的な曲が、この「Satta Massa Gana」
という曲です。
この曲はそののちもこのCedric 'Im' Brooksによって、
何度もプレイされる事になります。

レゲエ - Wikipedia

そしてこの後は「オマケ」という事になるのですが、
アフロ・ビートの12曲目「Third World」など
意欲的な曲が並びます。

このアルバム1枚を通してこのジャマイカの音楽史を
見ていくと、徐々にその音楽と精神の進化が感じられる
構成になっているんですね。
特にロックステディ以降の曲は、聴き逃せない曲が
並びます。

意外と通して聴いても、音楽スタイルの違いによる
違和感があまり無いんですね。
それはこのCedric 'Im' Brooksという人の中に、ジャズという
音楽ベースがしっかりあるからなんですね。
このルーツ・レゲエの時代ぐらいまでは、このジャマイカの
音楽界にはこのCedric 'Im' BrooksやTommy McCookのような
ジャズの素養を持ったミュージシャンが居て、レゲエを
ベースで支える事が出来ていたんですね。
それがレゲエという音楽がこれだけ発展する事が出来た、
ひとつの要因だと思います。

このアルバムはルーツ・レゲエが好きな人をはじめ、
レゲエを愛する多くの人におススメできるアルバムだと
思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Cedric Brooks with Akoya Afrobeat Ensemble



○アーティスト:
○アルバム:
○レーベル:
○フォーマット: CD LP
○オリジナル・アルバム制作年:

○Cedric 'Im' Brooks & The Divine Light「From Mento To Reggae To Tird World Music」曲目
1. Nobody's Business
2. Sly Mongoose
3. Hop Merry Hop
4. Steaming
5. Carry Go Bring Come
6. Schooling The Duke
7. Put It On
8. Let's Do Rock Steady
9. Satta Massa Gana
10. Salt Lane Gal (Bonus Track)
11. Emavungweni (Bonus Track)
12. Third World (Afro Beat)
13. Djambala (Previously Unreleased Bonus Track)


Cedric 'Im' Brooksのアルバムをもう1枚紹介しておきます。

1978年の作品

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「United Africa」です。

こちらでは7分10秒にも及ぶ「Satta Massa Gana」を聴く
事が出来ます。
なお今回調べてみて解ったのですが、タイトルの
「United Africa」はThe Light Of Sabaなどと並ぶ
Cedric 'Im' Brooksの音楽プロジェクトの名前のようです。
そう考えるとこのアルバムは、彼のソロアルバムという
よりは「United Africa」というバンドのアルバムという
見方も出来るようです。