今回はBarrington Levyのアルバム

barrington_levy_03a

「Here I Come」です。

Barrington Levyは80年代のダンスホール・レゲエ
の時代に「カナリア・ヴォイス」で一世を風靡した
ダンスホール・シンガーです。

Barrington Levy (バーリントン・リーヴィ)

今回のアルバムをネットで調べてみたところ、この
「Here I Come」というタイトルのアルバムは2種類
あるようです。
元々は1985年にGreensleevesから出された
アルバムがこのタイトルのアルバムなんですが、曲目
を見てみるとこのアルバムとは明らかに違います。
このアルバムに関してはネットにあまり情報が
無かったのですが、調べてみると今回のアルバムは
2004年にSpectrum Musicというところから出た、
1985年から95年までの彼の代表曲を集めた彼の
コンピュレーション・アルバム、つまりはベスト盤
のようです。
表題曲の「Here I Come」と「Under Mi Sensi」は
85年の曲で、それ以外は90年代に入ってからの
曲が入っています。

余談ですがネット上には英文のWikipediaに、85年
の「Here I Come」のアルバム紹介のページがあるの
ですが、間違ってこのアルバムのジャケットの写真が
使われています(笑)。

全14曲で収録時間は59分54秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

この80年代に誕生したダンスホール・レゲエという
のは、それまで10年間続いていたルーツ・レゲエに
代わって登場してきた音楽です。
この80年代はBob Marleyの死などあって新し音楽、
新しいスターが必要とされていた時代だったんですね。
そうして登場した新しいレゲエ、ダンスホール・レゲエ
の中でもひときわ輝いていたシンガーのひとりがこの
Barrington Levyでした。
VolcanoレーベルのHenry 'Junjo' Lawesの元でデビュー
した彼は、Roots Radicsの演奏で、Scientistのミックス
という組み合わせで数々の素晴らしいアルバムを
Greensleeves(ジャマイカではVolcano)に残しています。
その後80年代の半ばにKing Jammyの「デジタル革命」
が起こり、時代はコンピューターによる「打ち込み」
での音楽制作に変わって行くんですが、Barrington Levy
は順調にキャリアを積み重ねていったんですね。
その「コンピューター・ライズド」以降の彼のヒット曲
を集めたアルバムが、今回のアルバムです。

1曲目「Vice Versa Love」は93年のヒット・ナンバー。
この時代になるとサウンドは完全に打ち込みで、かなり
今の音に近いサウンドになっています。

2曲目「Murderer」は「Hot Milk」というリディムの
大ヒット曲。
今ではこのリディムが「Murderer」と呼ばれるほどの
人気曲なんだとか。

Murderer - Hot Milk Rhythm - リリック

7曲目「Dance Hall Rock」はあのBob Marleyの
「TrenchTown Rock」のリディムを使用した曲です。
Cutty Ranksのトースティングとの掛け合いも楽しい
1曲です。

10曲目がタイトル曲の「Here I Come」です。
この曲はコンピューター・ライズド真っ盛りの85年に
作られています。
子供が欲しいっていうからここに来たのに、もう子供は
要らないっていうんだという、ちょっと恨みがましい
ラヴ・ソング(?)です(笑)。

Here I Come - Revolution Rhythm - 1983 - リリック

12曲目「Under Mi Sensi」は、タイトルから「Under Mi
Sleng Teng」のリディムかと思いきや、Studio Oneの
「African Beat」というリディムが使われた曲です。

13曲目は90年の曲「Too Experienced」です。
連れ回されるほど僕は甘くないよ、騙されないよと歌う、
これもちょっと苦いラヴ・ソングです。

Too Experienced - 1990 - リリック

シメの14曲は「Don't Throw It All Away」です。
全てを投げ出してしまわないでと恋人に訴えるバラード
です。

Don't Throw It All Away - リリック

こうして聴いていくと、この85年以降のレゲエになると
けっこう今のレゲエに近づいている事が解ります。
70年以降目覚ましいスピードで進化し続けてきたレゲエ
ですが、今はヴォイス・チェンジしていたりの多少の違いは
あるものの、あんまり大きな進化が85年以降は起こって
いないんですね。
考えてみれば70年代80年代と20年間も常に進化を続けていた
こと自体がスゴイ事なんですが、やっぱりその進化する時代の
レゲエの好きな人間からするとちょっと物足りない気持ちがある
んですね。
ある意味「大人の音楽」になったけれど、ギラギラした輝きが
無いというか…。

今回のアルバムを聴いてみてもBarrington Levyは変わらずに
精一杯歌い続けていて内容は悪くはないのですが、やっぱり
個人的にはあのデビューした頃の、Roots Radicsをバックに
華やかなサウンドを聴かせていた時代の方が面白く感じちゃう
んですね。
おそらくは歌い手の問題というよりは、生演奏と打ち込みの差
という事が大きいのでしょうが…。

ただBarrington Levyの80年代から90年代のヒット曲を聴く
アルバムとしては、悪くないと思います。

機会があれば聴いてみてください。

Barrington Levy Here I Come



○アーティスト: Barrington Levy
○アルバム: Here I Come
○レーベル: Spectrum Music
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2004

○Barrington Levy「Here I Come」曲目
1. Vice Versa Love
2. Murderer
3. Survival
4. Teacher
5. Go There
6. Sweet Reggae Music
7. Dance Hall Rock - Feat. Cutty Ranks
8. Be Strong
9. Work
10. Here I Come
11. Strange
12. Under Mi Sensi
13. Too Experienced
14. Don't Throw It All Away