今回はCount Owen & His Calypsoniansのアルバム

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「Calypsos Down Jamaica Way」です。

Count Owen & His Calypsoniansについては、ネットや
本などで調べてみたのですが、あんまりよく解りません
でした。
ただ河出書房新社から出ている本Steve Barrow & Peter
Baltonの共著「The Rough Guide To Reggae」には、
「メントの音源」という項目の
所にこのアルバムの写真が載っていて、Count Owenが
このアルバムの他1968年に「Mento Rock Steady」
というアルバムを制作したという事が書かれています。

とりあえずネットや本などを調べてみて解った事を
まとめてみると、今回のアルバムはジャマイカの音楽が
スカ→ロックステディ→レゲエと発展する以前の、
スカの前の音楽メントなのですが、そのメントと
トリニダード・トバコの音楽カリプソを融合したような
音楽のアルバムらしいです。

カリプソ (音楽) - Wikipedia

メント - Wikipedia

アルバムの制作は1960年で、ジャマイカで一番
初めに作られたレコード会社Federal Records傘下の
Kalypsoからリリースされたアルバムとの事です。
今回手に入れたのは2005年に日本のDub Store
Recordsからリイシューされたアルバムです。

アルバムにはそのFederal Recordsの創始者
Ken Khouriについて息子であるPaul Khouriに尋ねた
インタビューなどの載った小冊子が付いていました。

全12曲で収録時間は36分28秒。

詳細なミュージシャンの表記はありません。

Dub Store Recordsの運営するレゲエレコード・
コムのこのアルバムについての紹介文などを読むと、
手作りの竹のサックスであるバンブー・サックス
の演奏者として知られるシュガー・ベリー(Sugar Belly)
やハーモニカでチャーリー・オーガネアーという人が
参加していたようです。

また裏面を見ると音楽の種類の表記がカッコ付きで
書いてあり、2曲目の「Go Fife Go」が(Mento)、
7曲目の「Careless Hands」が(Calypso Cha Cha)、
残りの10曲が(Calypso)となっているようです。

さて今回のアルバムですが、正直なところどう評価
して良いものかちょっと困ってしまうアルバムです。
スカ→ロックステディ→レゲエとそのあたりまでは
聴いているのですが、メントやカリプソの時代になると、
どうも音を聴き慣れていないので、その良し悪しや
メントとカリプソの違いなどが私にはよく解らない
んですね(苦笑)。
ただアルバムの帯に「音楽的に価値ある名盤!」と
銘打たれているように、今ではなかなか聴く事の
出来ない貴重な音源である事は、間違いがないようです。
おそらくこういう音源を出すという事は、それほど
多くのリスナーを期待できないので、なかなか大変
だと思います。
そこをあえてこういうアルバムを出すDub Store
Recordsさんの英断は大したものだと思います。

実際に聴いてみた印象としては、バンジョーなども
使われていて、ユルく明るいリズムのノリといった
感じです。
ただメントやカリプソの歌詞は、その明るいリズムと
裏腹に政治批判などがあったりして意外とシビアな
内容だったりするんだそうです。
まあ今回のCount Owen & His Calypsoniansという
バンド名から受ける印象からすると、観光客向けの
バンドなのかな?という気がしないでもないですが、
どういう事が歌われているんですかね?

あまりメントやカリプソについては解らない事が多い
のですが、ひとつ手がかりになるのはこのアルバムに
参加しているバンブー・サックスのSugar Bellyという
人です。
この人はメントの時代から活躍する人なんですが、
自作の手作りの竹で作ったサックス、バンブー・サックス
の奏者として知られている人です。
当時まだ貧しかったジャマイカでミュージシャンに
なる為に、自分で楽器を作っちゃうという発想が面白い
ですよね。
ネットのyoutubeにはこの人が自作のバンブー・サックス
について説明している映像があります。

sugar belly playing his bamboo saxophone


それなりに奏者としての実力もあったようで、Studio One
などからアルバムも出しています。

Sugar Belly - Sugar Merengue (1973)

今回のアルバムでも1曲目のインスト・ナンバー
「Goodbye To Rome」のほか、何曲かで彼のバンブー・
サックスが聴けます。
管楽器のような金属が反響した音ではなく、もう少し
やわらかいがかん高い独特の音色を奏でています。
彼のバンブー・サックスが、このアルバムをさらに
魅力的にしているのは間違いありません。

小冊子のPaul Khouriのインタビューなどを読むと、
ジャマイカ初のレコーディング設備を持つFederal Records
は、まだトラック数も少なく録音もかなり苦労していたよう
なのですが、その割には今回の曲などを聴くとうまく曲に
ボリュームを付けている感があります。
こういうバンブー・サックスなどを入れる事で、うまくの曲に
ニュアンスを付けていたんですね。
とても60年に作られたとは思えないほどの、クウォリティ
がある音源です。

ちなみこのFederal Recordsはジャマイカ初のレコーディング
設備のあるスタジオだったので、Studio OneのC.S. Doddや
Tressure IsleのDuke ReidさらにはPrince Busterなどが
スタジオをレンタルしていたそうです。
特に創始者のKen KhouriはC.S. Doddと仲が良く、彼には
格安で貸していたんだとか。
さらには海外からジョニー・ナッシュ、マーヴィン・ゲイ、
ポール・アンカなどもレコーディングに来た事があった
そうです。
すごくジャマイカの音楽史の発展に貢献したスタジオ
だったんですね。
このFederal RecordsはのちにBob Marleyに買い取られ、
Tuff Gong Studioとなったそうです。

音源自体は気になるパリパリ音も無く、当時の空気感が
再現されていて悪くない内容だと思いました。
ちょっとポピュラリティーに欠ける面もありますが、よく
この時代の音源をリイシューしたものだと思います。

機会があれば聴いてみてください。

Count Owen & His Calypsonians - Kingston Town (Federal / Dub Store Rcds. - DSR-LP-502)



○アーティスト: Count Owen & His Calypsonians
○アルバム: Calypsos Down Jamaica Way
○レーベル: Dub Store Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1960

○Count Owen & His Calypsonians 「Calypsos Down Jamaica Way」曲目
1. Goodbye To Rome (Calypso)
2. Go Fife Go (Mento)
3. Yours (Calypso)
4. Island In The Sun (Calypso)
5. Aye Aye Aye (Calypso)
6. Lawd Some Man Could A Smart (Calypso)
7. Careless Hands (Calypso Cha Cha)
8. The Weed (Calypso)
9. Melody D'Amour (Calypso)
10. Kingston Town (Calypso)
11. Out The Fire (Calypso)
12. The Last Watch (Calypso)