今回はRoland Alphonsoのアルバム

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「Something Special: Ska Hot Shots」です。

Roland Alphonsoはレゲエの前身のスカの時代から
The Skatalitesで活躍したサックス奏者です。

Roland Alphonso(ローランド・アルフォンソ)

ジャマイカの音楽はもともとはメントという民族音楽
が聴かれていたのですが、60年代ごろからはメント
に代わってアメリカのR&Bやブルースやジャズに
影響を受けたスカが主流になるんですね。
さらに66年から68年のわずか3年間はロック
ステディがブームになり、60年代の後半についに
初期のレゲエが誕生します。

その60年代に流行したスカの中でも特にジャズの素養
を持ったDon DrummondやTommy McCook、そしてRoland
Alphonsoなどが集まったスーパー・バンドがこの
The Skatalitesだったんですね。
ただこのThe Skatalites、調べてみると63年から65年
というわずか3年ぐらいの活動期間なんですね。
Don Drummondが恋人を殺すという殺人事件を起こし、
投獄された事が解散のきっかけだったと言われています。

Skatalites (スカタライツ)

その後のThe Skatalitesのメンバーは、Don Drummondは
69年に獄死してしまうものの、ほかの主要メンバーは
その後のロックステディやレゲエに大きな影響を与え
続けることになるんですね。
Roland AlphonsoやキーボードのJackie MittooはStudio One
のC.S. DoddのもとでSoul Vendorsを結成し、ロックステディ
のブームをけん引し、Tommy McCookはTressure Isleの
Duke ReidのもとでThe Supersonicsを結成して同じく
ロックステディのブームに貢献して行きます。
さらにはTommy McCookは、ロックステディの後に誕生した
レゲエ(ルーツ・レゲエ)の時代になっても、ソロや
セッション・ミュージシャンとして活動を続け、ジャマイカ
の音楽史に大きな足跡を残す事になるんですね。
少なくとも70年代のルーツ・レゲエの時代ぐらいまでは、
このRoland AlphonsoをはじめとするThe Skatalitesの
メンバーの影響力は残り続けるんですね。

今回のアルバムはそのThe Skatalitesで活躍したRoland
Alphonsoのスカからロックステディの音源を集めた
アンソロジーです。
音源としては1958年から68年という、約11年間
ぐらいの音源が集められています。
この期間というのはスカという音楽がイギリスでも
認められ、ジャマイカの音楽が世界進出の足掛かりを
築いていった、ジャマイカの音楽界にとってもっとも
重要な時期だったと思います。
その時代にこのRoland Alphonsoも着々と実績を築いて
いたんですね。

ちなみに手に入れたのは2000年にHeart Beatから
発売されたCDでした。

全20曲で収録時間は61分00秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Tenor & Alto Saxophone: Roland Alphonso
Tenor Saxophone: Tommy McCook, Dennis 'Ska' Campbell, Karl McLacklin
Alto Saxophone: LesterSterling, 'Deadly' Headley Bennett, Karl Bryan
Baritone Saxophone: Dennis 'Ska' Campbell, Sam Wells
Trumpet: Johnny 'Dizzy' Moore, Bobby Ellis
Trombone: Emmanuel 'Rico' Rodriquez
Drums: Lloyd Knibb, Ken Williams, Joe Isaacs, Lowell Morris,
Aston 'Wackie' Henry, Lloyd Robinson
Bass: Lloyd Brevett, Cluett Johnson, Bryan Atkinson, Fred Crossley
Guitar: 'Jah' Jerry Haynes, Dennis Sindrey, Ken Richards, Ernest Ranglin,
Nearlin 'Lyn' Taitt, Errol Walters, Dwight A. Pinkney, Wallin Cameron
Organ: Aubrey Adams, Cecil Lloyd, Donat Roy 'Jackie' Mittoo
Piano: Aubrey Adams, Cecil Lloyd, Herman Sang, Donat Roy 'Jackie' Mittoo
Percussion: Clement Dodd, Lee Perry, Noel G. 'King Sporty' Williams
Vocals: Clement Dodd, Rita Marley, Lee Perry, Noel G. 'King Sporty' Williams
Handclaps: Clement Dodd

Produced by C.S. Dodd
Recording at Jamaica Recording and Publishing Studio
Engineers: C. S. Dodd, Sylvan Morris
Tracks 6, 12, 15 and 16 at Federal Record Manufactureing Company Studio
Engineers: Graeme Goodall

となっています。

実は今回のアルバムは表ジャケがかなり分厚い
小冊子になっていて「Song Notes」があり、そこに
曲ごとの詳しい記録が載っています。
例えば1曲目の「Four Corners (AKA Four Corners
Of The World) 」については次のような記載が
あります。

1. "Four Corners (AKA Four Corners Of The World)" 1960
Originally released as a 45 on the D. Darling label, credited to
Roland Alphonso & The Alley Cats.

1st solo Cecil Lloyd, 2nd solo Roland. Ken Williams-drums,
Cluett Johnson-acoustic bass, Cecil Lloyd-organ, Ken Richards-guitar.

となっています。

これを見ればこの1曲目「Four Corners」は、1960年
に作られた曲で、オリジナルのリリースは45回転EP盤
で、D. DarlingレーベルからのRoland Alphonso & The
Alley Cats名義でのリリース。
さらにファースト・ソロがCecil Lloyd、セカンド・ソロ
がRoland Alphonso、ドラムはKen Williams、ア
コースティック・ベースはCluett Johnson、オルガンが
Cecil Lloyd、ギターがKen Richardsだったという事が
解ります。
こういう丁寧な仕事ぶりは、アルバムを聴く上でとても
参考になります。

一応今回のアルバムに収められているグループ名は、この
「Song Notes」を参考にして、最後に記載した曲目の横に
全て載せておきました。
なお曲の作られた年号も載せておきましたが、だいたい
66年以降の曲はロックステディ、それ以前の曲はスカ
と思ってください。

ミュージシャンの数がやたらと多いのは、彼Roland
Alphonsoが11年間の間にプレイしたグループを幅広く
集めている為なんですね。
中には(previously unreleased)、つまりリリースされ
なかった曲も集められたいて、かなり丁寧な編集だと
思います。

さて今回のアルバムですが、このアルバムを聴けば
Roland Alphonsoのスカからロックステディの時代の
活躍が解るというアルバムになっています。
選曲もなかなか良くて、2曲目「From Russia With
Love」や13曲目「James Bond」など映画007シリーズ
で有名なポピュラー・ソングから、当時はリリースされ
なかった7曲目「Do It Good」と19曲目「Groovy Sax」
が収められていたり、スカ初心者からマニアまで充分に
楽しめる内容になっています。

やはり印象的なのは彼らのプレイから感じるジャズ
の影響です。
もともとスカという音楽は、アメリカのリズム・
アンド・ブルース(R&B)やブルースなどの影響を
強く受けた音楽として発展し、それがイギリスに
渡って輸入元のレーベルBlue Beatの名前から
「ブルー・ビート」と呼ばれ、イギリスの労働階級の
若者の間で人気の音楽になるんですね。
そうして人気の音楽になっていったスカは多くの曲が
作られるようになり、それに伴ってジャズの素養を持った
ミュージシャンもスカを演奏するようになり、徐々に
ジャズのビッグ・バンドのような管楽器を主体とした
今の私たちが想像するスカのスタイルになって行った
んですね。
そうしたジャマイカにおけるジャズの影響は、元
The SkatalitesのメンバーだったTommy McCookなどの
プレイヤーが活躍を続けたルーツ・レゲエの時代
ぐらいまでは残り続けます。

実はこうしたプレイヤー達は、かなり本格的に
ジャズを勉強しているんですね。
Tommy McCookがコルトレーンに憧れてジャズを勉強した
事は知られていますし、Cedric 'Im' Brooksも一時期
ジャズの学校に通ってソニー・ロリンズに師事している
んですね。
そうしたしっかりしたジャズの基礎を持ったプレイヤー
が居た事も、レゲエという音楽が世界で注目される音楽
で長い間居続けた、ひとつの要因のように思います。

今回のアルバムなどを聴いても、やはり驚くべきは
演奏の完成度の高さです。
この60年代というのは今と較べれば録音機材は
雲泥の差だと思うのですが、実際にこのアルバムを
聴いてみても若干の音質の悪さはあるものの演奏の
レベルはもうすでにどこにも引けを取らないほど、
安心して聴けるレベルを維持しているんですね。
こうしたレベルの高い演奏が、60年代のジャマイカ
という小国ですでに行われていたというのは、かなり
驚異的な事だと思います。
その後ジャマイカの音楽は、ロックステディの時代を
経てレゲエという形で70年代に結実することになる
のですが、この60年代にブレイクの下準備はすでに
完了していたと言えるでしょう。

このアルバムは、スカが好きな人、The Skatalitesが
好きな人、レゲエという音楽を深く知りたいと思う人
には、おススメできるアルバムだと思います。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Roland Alphonso & The Soul Brothers "Something special" Coxsone (1966)



○アーティスト: Roland Alphonso
○アルバム: Something Special: Ska Hot Shots
○レーベル: Heart Beat
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2000

○Roland Alphonso「Something Special: Ska Hot Shots」曲目
1. Four Corners (AKA Four Corners Of The World) - Roland Alphonso & The Alley Cats (1960)
2. From Russia With Love - Roland Alphonso & The Studio One Orchestra (1965)
3. Dr. Ring Ding - Roland Alphonso & The Soul Brothers (1965)
4. Jack Ruby - Roland Alphonso & Group (1964)
5. El Pussy Cat Ska (Take 2) - Roland Alphonso & The Studio One Orchestra (1965)
6. Federal Special - Roland & His Group (1961)
7. Do It Good (previously unreleased) (1966)
8. Jah Shakey (AKA Jack Steady) (1968)
9. Pepe To - Roland Alphonso & The Soul Brothers(1966)
10. You Trouble Me - The Soul Vendors (1967)
11. Rollie Pollie - Roland & His Soul Brothers (1965)
12. Proof Rum - Roland with Clue J & His Blues Blasters (1958)
13. James Bond - Soul Brothers (1965)
14. Provocation - Roland Alphonso & The Soul Brothers (1966)
15. Grand National - Clue J & His Blues Blasters (1961)
16. Hully Gully Rock - Roland Alphonso & The Alley Cats (1959)
17. Something Special - Roland Alphonso & The Soul Brothers (1966)
18. Roland Special - Soul Vendors (1967)
19. Groovy Sax (previously unreleased) - Roland & The Sharks (1968)
20. Maria Elena - Roland Alphonso & The Studio One Orchestra (1966)