今回はInturns (Viceroys)のアルバム

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「Consider Yourself」です。

Inturnsというグループは簡単に言うとThe Viceroys
の別名です。
コーラス・グループThe Viceroysとして知られている
このグループは、実は何度もメンバー・チェンジや
改名をしているグループなんですね。

今回Pressure Soundsから出ているアルバムの
Patrick Stokesという人の日本語の対訳を読むと、この
グループでずっとメンバーだったのはWesley Tinglin
という人だけらしいです。
このWesley TinglinとDaniel BernardとBunny Gayleの
3人でオリジナルのViceroysが作られ、名門レーベル
Studio Oneから「Lose and Gain」や「Last Night」、
「Ya Ho」等の名曲をリリースしたものの2人が脱退して
しまったそうです。

その後Lee PerryのBlack Arkでグループ名を
Truth Fact And Correctという名前で曲をレコーディング
したのちに、Neville Ingramとの2人組グループとして
このThe Inturnsが誕生します。
そしてChannel One Studiosで天才プロデューサーPhil Pratt
の元で作ったアルバムが今回の「Consider Yourself」
という事なんだとか。
レコーディングが1976年頃の事らしいですが、多くの
サイトでリリース年は1978年となっていました。

今回のアルバム・ジャケットには3人の人物が写って
いますが、真ん中がNeville Ingramで、右に居るのが
Wesley Tinglin、左に居るのはPhil Prattなんだそうです。

ちなみのこのアルバムののちにNorris Reidが加入して、
グループ名を再びThe Viceroysの戻して活動したそうです。
つまりInturnsとして残っているアルバムはこのアルバム
のみのようです。

さらにNorris ReidがAugustus Pabloのもとでソロ活動を
する為に去り、代わりにChris Wayneが加入して3人組で
活動したとのこと。
何とも入れ替わりの多いグループなんですね(笑)。

全11曲で収録時間は44分18秒。
オリジナルは9曲目までで、残りの2曲は12インチ・
シングルのExtendedヴァージョンです。

ミュージシャンについては以下の表記があります。

Drums: Lowell 'Sly' Dunbar, Noel Donlan
Bass: Robbie Shakespeare
Keyboards: Ansell Collins
Guitars: Eric 'Bingy Bunny' Lamont, Radcliffe 'Dougie' Bryan
Percussion: Noel 'Skully' Simms
Vocals: Wesley Tinglin, Neville Ingram

Recorded at Channel One Studios

Producedby and Under License from Phil Pratt
Engineers: Bunny Tom Tom

となっています。

さて今回のアルバムですが、Phil Prattのプロデュース、
Sly & Robbie による強靭なリディム、Joe Higgs直伝の
ハーモニーというのが今回のアルバムのウリのようで、
多くの販売サイトにその事が書かれていました。
特に歯切れの良いリディムは特筆ものの素晴らしさです。
日本盤の解説文を読むと、これにはエンジニアの
Crucial BunnyことBunny Tom Tomの貢献度が非常に大きい
ようです。
当時としては珍しいほどドラムのチューニングに時間を
かけて録音したそうです。
その為すごくクリアで気持ちの良い、これぞChannel One!
といったサウンドに仕上がっています。

もうひとつ強調されている「Joe Higgs直伝のハーモニー」
という事ですが、これはWesley TinglinがJoe Higgsの
教え子のひとりという事だそうです。
Joe Higgsという人、あのBob Marleyを育てた人としても
知られていますが、解説文によると他にもKen Boothe、
Jimmy Cliff、Alton Ellisなどもハーモニーを教えた人
らしいです。
Bob Marleyの伝記映画など見ると、なかなか師匠
Joe HiggsのOKが出なくてデビューまでにいろいろ
学ばされたという事ですが、隠れたレゲエの功労者が
このJoe Higgsなんですね。
そのJoe Higgs直伝のWesley Tinglinのコーラス・ワークが、
リード・ヴォーカルのNeville Ingramのヴォーカルを
うまく支えています。

このアルバムに関しては、ルーツ・レゲエが好きな人なら
ケチをつける人は居ないと思います。
Channel Oneのスコンと抜けたリズムに絶妙なハーモニー、
ルーツ・レゲエの素晴らしさが十分に味わえるアルバム
だと思います。

8曲目「Jah Ho」は、ViceroysがStudio Oneに残した
名曲「Ya Ho」の再演です。
Viceroysといえばこの曲!ともいえる1曲ですが、
このアルバムでも良いアクセントになっています。

意外と侮れないのが、オマケの2曲です。
10曲目「Nothing Is Impossible 12" Mix」、11曲目
「Detour 12" Mix」とも12インチ・シングルのExtended
ヴァージョンですが、2曲とも6分越えの長さで、後半の
ダブにPhil Prattの才気がチラリと見える仕上がりです。

今回のアルバムはルーツ・レゲエを愛する人なら、
ぜひ押さえておきたい1枚じゃないかと思います。
この時代のルーツ・レゲエとしての完成された
スタイルが、このアルバムには充分に詰まっています。
機会があれば聴いてみてください。

The Viceroys - Ya Ho (acoustic)



○アーティスト: Inturns (Viceroys)
○アルバム: Consider Yourself
○レーベル: Pressure Sounds
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1978

○Inturns (Viceroys)「Consider Yourself」曲目
1. Send Us
2. Consider Yourself
3. Detour
4. Jah Ho Jah
5. Nothing is Impossible
6. Get To Know
7. Do We Have To Fight
8. Jah Ho
9. Sing A Good Song
10. Nothing Is Impossible 12" Mix (CD Bonus Track)
11. Detour 12" Mix (CD Bonus Track)


The Viceroysのアルバムも1枚紹介しておきます。

Studio One時代のThe Viceroysの曲を集めたアルバム

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「The Viceroys At Studio One: Ya Ho」です。
「Lose and Gain」や「Last Night」、「Ya Ho」など
The ViceroysがStudio Oneに残した名曲が収められて
います。