今回はBob Marley & The Wailersの有名曲
「I Shot The Sheriff」について書いてみようと
思います。

この曲は当時まだBob Marley & The Wailersでなく、
単にThe Wailersと名乗っていた頃の1977年に、
メジャー・レーベルIslandから出したセカンド・
アルバム「Burnin'」に収録されていた曲です。

bob_marley_02a
The Wailers - Burnin'

この当時はBob Marley、Peter Tosh、Bunny Wailerの
3人のヴォーカルに、CarltonとAstonのBarrett兄弟
のリズム隊2人をThe Wailersと呼んでいた頃なんですね。
(ちなみにメジャー・デビュー前はヴォーカル3人で
The Wailersでした。)
このアルバムを最後にPeter ToshとBunny Wailerが
グループから離脱し、それ以降はBob Marley & The Wailers
と名乗るようになります。
つまりこの次のアルバムからはThe Wailersというのは、
Bob Marleyのバック・バンドの名前になるんですね。

そして次のアルバムからはバック・コーラスに
Bob Marleyの奥さんのRita Marley、Judy Mowatt、
Marcia Griffithからなる女性コーラスI Threeが付く
スタイルで活動するようになるんですね。
ちなみにアフリカのレゲエ・アーティストの多くが
女性コーラスを付けるのは、このBob Marley & The
WailersとI Threeのスタイルをまねたものだと
言われています。
多くのアフリカン・レゲエ・アーティストが、彼
Bob Marleyに憧れを抱いたんですね。

ではこの「I Shot The Sheriff」というのはどういう
歌だったのか?
すでに多くのサイトに対訳が出ていますが、ここでは
75年に東芝EMIレーベルから出たLPBob Marley &
The Wailers「Live」に付いていた山本安見さんという方の
対訳を紹介してみたいと思います。


●アイ・ショット・ザ・シェリフ

*シェリフを撃った だけど デュピュティは撃たなかった
シェリフを撃った だけど デュピュティは撃たなかった

故郷のヤツらはみんな 血まなこになってオレを探してた
ヤツらはオレを罪に陥れるつもりだ
デュピュティの命を奪った罪に デュピュティの命を奪った罪に

オレのいい分も聴いてくれ
シェリフを撃ったが アレは自己防衛だった
シェリフを撃った それは確かだ
なのに ヤツらはいう オレは死罪だと

シェリフ・ジョン・ブラウンはオレを憎んでた
理由は 知らない オレが種を植えると ヤツはいつもいった
芽が出る前に 全部焼き払ってしまえと

だから だから Repeat *

ある日 オレにも自由が訪れた そこで この町を出ようとした
その時 シェリフ・ジョン・ブラウンの姿を見た
ヤツはオレに銃を向けていた だから オレはヤツを撃った

バイ・バイ・バイ オレはシェリフを撃った
神にかけて誓う デュピュティは撃たなかった
シェリフを撃った それは確かだ だけど デュピュティは撃たなかった

そのうち いつか 世の中も なるべくようになっていく
井戸に毎日バケツをくみ降ろしても いつか底がつきてしまうのさ
そうさ 何でもいつかは底がつく

だから だから オレはいう Repeat *

(東芝EMIのLP、Bob Marley & The Wailers「Live」
山本安見さんの対訳より)


ネット上にある対訳などを読むと、「デュピュティ」と
いうのは「副保安官」という意味らしいです。
保安官は撃ったけれど副保安官は撃たなかったという
事で、自分の命を狙うジョン・ブラウンという保安官は
撃ったけれど、自衛の為で法律を破ろうとした訳ではない
と訴えているようです。
要するに自分を目の敵にして、町を出て行こうとした
自分を撃とうとしていた保安官ジョン・ブラウンを
やむなく撃ったというのが、この歌の歌詞なんですね。

この歌は元々は「I Shot The Sheriff」ではなく、
「I Shot The Police」だったそうです。
ただそれだと歌詞が当時のジャマイカの現状を反映して
生々しすぎるので、「I Shot The Sheriff」になった
らしいんですね。
例えれば「悪い警官を斬った」では生々しぎるので、
「悪代官を斬った」にしたようなものです(笑)。

多くの私ぐらいの60代に近い世代なら知っている事実
ですが、実はこの歌を初めに有名にしたのはBob Marley
ではないんです。
この歌を有名にしたのはロックのギタリストであり
シンガーでもあるEric Claptonだったんですね。

Eric Clapton (Live 1977) I Shot The Sheriff.mpg


もともとはUKの伝説的なバンドThe Creamの超絶的な
ギタリストとして有名なEric Claptonだったのですが、
この「I Shot The Sheriff」のヒットをきっかけにソロの
ヴォーカリストとしてもアーティストとしても認められて
いくんですね。
そしてこの「I Shot The Sheriff」のヒットをきっかけに
Bob Marleyというアーティストの知名度とレゲエという音楽
の知名度が一気に上がって行ったんですね。

レゲエという音楽というと、とかくPoliceだとかThe Clash
とかあるいはThe Eaglesのヒット曲「Hotel Calfifornia」
のメロディとか言われますが、実はこの「I Shot The Sheriff」
の一発のヒットが一番知名度を上げた大きな要因だったん
ですね。
おそらくこの「I Shot The Sheriff」が、私と同世代が
よく知っているレゲエのヒット曲じゃないかと思います。

そしてそのヒットをきっかけに、私のようにBob Marleyって
どういうミュージシャン何だろう?レゲエってどういう音楽
なんだろう?と興味を持った人達が、徐々にレゲエという
音楽にハマって行くんですね。
日本でのレゲエの歴史は、この曲から始まっているのかも
しれません。

そしてレゲエという音楽は世界的にブレイクして行くん
ですね。
このカリブ海に浮かぶ小国ジャマイカで誕生したレゲエは、
第三世界で初めて世界的に成功した音楽になるんですね。
そういう意味ではこの「I Shot The Sheriff」という曲は、
音楽の歴史を塗り替えたエポック・メイキングな曲だった
と言えると思います。

この歌が歌われた70年から80年にかけては、日本は
高度成長期の真っただ中で、当時まだ若かった私には
何故このBob Marleyがここまで「怒りの歌」を歌うのか?
よく解らない部分がありました。
ところがそれから40年ぐらい経った今聴くと、けっこう
その怒りがリアルに解るんですね。
それは自分が成長したという事もあるとは思いますが、
やはりある意味この日本が悪い方に後退したという事も
あるのかもしれません。

彼Bob Marleyは常に私たちに問いかけています。

お前は長いものに巻かれていないか?
お前は人として正しく生きているのか?
お前を排除するものと、闘う覚悟は出来ているのか?

それに対して私たち、今を生きる人間は正しく応えられて
いるのでしょうか?
今この歌が以前よりよりリアルに聴こえるとしたら、それは
あまり良い事ではないのかもしれません。
ただ希望は失いたくないものですね。

Bob Marley (HD Live) - I Shot The Sheriff


Alpha Blondy - J'ai tué le commissaire [OFFICIAL]