今回はCulture & The Deejay'sのアルバム

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「At Joe Gibbs 1977-79」です。

Cultureは70年代のルーツ・レゲエの時代から活躍
するコーラス・グループです。
リード・ヴォーカルのJoseph Hill、コーラスの
Albert Walker、Kenneth Paleyの3人組で、76年に
Joe Gibbsの元から出した「Two Sevens Clash」で
ブレイクしスターダムに駆け上がった彼らでしたが、
82年以降は分裂し、以後はJoseph HillがCultureを
名乗っていたそうです。

Culture (カルチャー)

今回のアルバムは2008年にVPから発売された彼らの
アンソロジーです。
タイトルにあるように1977年から79年にかけて、
Joe Gibbsのレーベルに残した彼らCultureとディージェイ
を組み合わせた、いわゆるDisco Mixの曲を集めた
アルバムです。
このJoe GibbsとエンジニアのErrol Thompsonのコンビ
The Mighty Twoは、このDisco Mixの曲を作る天才なん
ですね。
この時代のレゲエの中でも飛び抜けたミックス曲を
多数作っています。
そのコンビThe Mighty Twoによる、Cultureのミックス
曲が堪能できるのがこのアルバムです。

全11曲で収録時間は75分40秒。
全11曲ですが実際には2曲分が1曲になっているのが
ミックス曲という事なので、実質22曲分あり、1曲1曲
がとても長いです。
短い曲で5分48秒、長い曲で8分55秒もあります(笑)。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Produced By Joe Gibbs & Errol Thompson (The Mighty Two)
Recorded & Mixed At Joe Gibbs Studio
Recording & Mixing Eng.: Errol Thompson

Musicians: The Professionals
Drums: Sly Dunbar
Bass: Lloyd Parks
Guitar: Robbie Shakespeare, Lennox Gordon, Eric Lamont
Keyboards: Franklyn Bubbler Waul, Errol Nelson, Harold Butler
Trumpet: Bobby Ellis
Alto Saxophone: Herman Marquis
Trombone: Vin Gordon
Tenor Saxophone: Tommy McCook
Percussion: Sticky

となっています。

バックはThe Professionalsが務めています。
実は当時のジャマイカではバック・バンドはプラスティック・
バンドが基本で、その時に集まれるメンバーで録音すると
いった感じだったんですね。
バックのミュージシャンもシンガーも日雇いが基本で、
プロデューサーが曲を作る時に日雇いで人を集めて録音して
終わりという感じだったらしいです。
その為ミュージシャンを続けるというのはなかなか大変だった
らしく、バンド名は違っても同じ人がやっている事がけっこう
多いんですね。
例えばJoe Gibbsの元でやる時にはThe Professionals、
Bunny Leeの元でやる時にはThe Aggrovators、Channel Oneの
Hookim兄弟の元でやる時にはThe Revolutionariesとバンドの
名前は違ってもけっこう同じ人が演奏しているんですね。
しかも雇い主の好みに合わせて音を変えていた節もあります。

さて今回のアルバムですが、前半はCultureの歌で後半は
ディージェイのトースティングといういわゆる「Disco Mix
Style(Rub-A-Dub Styleとも言います)」のアルバムです。
このDisco Mix Style(ディスコ・ミックス・スタイル)
というのも、レゲエの発明のひとつともいえる革新的な
音楽スタイルなんですね。
しかもこのジャンルはやはりThe Mighty Twoが、独占的とも
いえるくらい強いジャンルです。

ではディスコ・ミックス・スタイルというのは、どういう
音楽なんでしょうか?
簡単に言えば歌とディージェイやダブなどを繋ぐことで、
曲をロング・ヴァージョンにしている音楽です。
ディスコなどで曲をかける時には、こうした12インチの
45回転EP盤の方が、曲が長い分かけ替える手間が
少なくて済むんですね。
しかも同じ曲でもダブやディージェイなどがついているので、
その変化も楽しめるという1曲で2曲分の楽しさがある
スタイルなんですね。
歌ものからディージェイ(あるいはダブ)へとに変化して
いく面白さが、このディスコ・ミックス・スタイルの
醍醐味とも言えます。
例えれば恋愛映画からSFものへと、一気の飛躍がある
感じなんですね。

これももともとは曲の「使い回し」の発想なんですね。
しかもそこにリスナーへの「サービス精神」があるのが
素晴らしいところです。
特にこのJoe GibbsとErrol ThompsonのThe Mighty Twoは、
本当にこうした人を楽しませる音楽を作るのが天才的に
ウマいんですね。

今回Cultureの歌に組み合わされているディ-ジェイは、
Bo Jangles、I-Roy、Shorty The President、Ranking Joe、
Prince Mohammed、Nicodemus、Clint Eastwood、Prince Far I、
U Brownといった面々です。
そういう人達がCultureとどういう「化学反応」を起こして
いるのか?
そこが今回の聴きどころという事になります。

1曲目「Two Sevens Clash / Prophesy Reveal」は、
言わずと知れたCultureの最大のヒット曲とディージェイ
Bo Janglesという組み合わせ。
名前だけ聞くと後半が弱くなってしまいそうですが、そうは
ならないのがレゲエの面白いところなんですね。
前半のCultureの暴れん坊ぶりからダブワイズしながら
ディージェイに移行して行く展開が、なかなか凝っていて
面白いです。
ドラッギーなダブワイズが強力な1曲です。

2曲目「I'm Not Ashamed」は、Jimmy Cliffなども歌って
いるCat Stevensの「Wild World」か?と思ってしまう
メロディ・ラインを持った曲です。
一度終りかけたかと思わせて、そこからI-Royのトースティング
が入って来る展開がとてもイイんですね。
エフェクトの乗せ方にもErrol Thompsonのワザを感じます。

1曲1曲取り上げて行くとキリがないのでこのくらいにして
おきますが、このThe Mighty Twoの作る曲はそういう風に
細かく見ていきたくなるような、ウマく凹凸を付けた曲が
多いんですね。
しかもこのディスコ・ミックスになると凹凸の幅がさらに
増幅されて、1曲1曲に大きなうねりがあってとても
面白いんですね。
まさにThe Mighty Twoの本領発揮といったところです。

今回のアルバムではディージェイに様々な個性があるのも
聴きどころです。長いことナンバー・ワン・ディージェイ
だったI-Royはもちろんのこと、ちょっと抜けた持ち味が
たまらないPrince Mohammed、「ヴォイス・オブ・サンダー
(雷声)」と呼ばれたダミ声が特徴のPrince Far Iなど、この
ディージェイの個性がこのアルバムを魅力的にしています。
Cultureだけでなくこのディージェイの魅力も充分に味わって
ください。

このアルバムはレゲエの全盛期だった70年代の、音の
豊かさを満喫できるアルバムだと思います。
様々な音楽がまるで玉手箱の中から、次々に飛び出して
来るような70年代のレゲエ。
この素晴らしさはぜひ心にとどめておきたいものです。

機会があればぜひ聴いてみてください。

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○アーティスト: Culture & The Deejay's
○アルバム: At Joe Gibbs 1977-79
○レーベル: VP
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2008

○Culture & The Deejay's「At Joe Gibbs 1977-79」曲目
1. Two Sevens Clash / Prophesy Reveal – Culture With Bo Jangles
2. I'm Not Ashamed - Culture With I-Roy
3. See Them A Come / Natty Pass Him G.C.E. - Culture With Shorty The President
4. Natty Dread Taking Over - Culture With I-Roy
5. Baldhead Bridge - Culture With Ranking Joe
6. Jah Love / Selassie I Cup - Culture With Bo Jangles
7. Zion Gate / Forty Leg Dread - Culture With Prince Mohammed
8. Disco Train - Culture With Nicodemus
9. Send Some Rain - Culture With Clint Eastwood
10. Burning All Illusion / The Same Knife - Culture With Prince Far I
11. Innocent Blood / Rock It Up - Culture With U Brown

●今までアップしたCulture関連の記事
〇Culture「Africa Stand Alone」
〇Culture「Baldhead Bridge」
〇Culture「Cumbolo」
〇Culture「Good Things」
〇Culture「Harder Than The Rest」
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〇Culture「Two Sevens Clash」
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