今回はBurning Spearのアルバム

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「Dry & Heavy」です。

Burning SpearことWinston Rodneyは、70年代のルーツ・
レゲエの時代から活躍するラスタ・シンガーです。

このBurning Spearという名前はずっと彼のあだ名なのですが、
一時期だけコーラス・グループの名前だった時期があります。
1975年にJack Rubyプロデュースで、バック・コーラスに
Rupert WellingtonとDelroy Hinesを従えて作られたアルバム
「Marcus Garvey」は、ルーツ・レゲエを代表するアルバム
として讃えられ、その攻撃的なミリタント・ビートは
ジャマイカだけではなく、世界中の人に衝撃を与えました。

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Burning Spear - Marcus Garvey / Garvey's Ghost

その後はまたソロに戻りアルバムを作り続けたBurning
Spearですが、その功績が評価されてグラミー賞のレゲエ
部門で12度もの受賞歴があります。

Burning Spear (バーニング・スピア)

今回のアルバムですがその「Marcus Garvey」を発表して
から2年後の1977年に発表されたアルバムです。
この77年頃というのはルーツ・レゲエが成熟して来た
時期で、後にルーツの名盤といわれるアルバムが多く制作
された時期なんですね。
Burning Spear自身も一番充実していた時期だと思います。
ちなみにBurning Spearは「Marcus Garvey」とこの
アルバムの間に、「Marcus Garvey」のダブ・アルバム
「Garvey's Ghost」(76年)と「Man in the Hills」
という2枚のアルバムを発表しています。

ちなみに手に入れたCDは、Mangoレーベルから出て
いるものでした。

全9曲で収録時間は32分10秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Lead Vocal, Percussion: Winston Rodney
Bass: Robbie Shakespeare
Lead Guitar: Family Man Barrett
Drums: Horsemouth Wallace
Keyboards: Wire Lindo, Touter Harvey
Lead & Rhythm Guitar: Chinna Smith
Lead Guitar: Roots Kinsley
Rhythm Guitar: Ranchie
Percussion: Skully, Sticky
Trumpet: Bobby Ellis
Tenor Sax: Dirty Harry
Alto Sax: Marquis
Trombone: Trommie

Recorded at: Harry J Studios
Engineer: Sylvan Morris
Mixed at Harry J Studios
Arranged & Produced by Winston Rodney
Executive Producer: Don Taylor

となっています。

やはり注目はドラマーのLeroy 'Horsemouth' Wallace
ですね。
彼は78年制作のジャマイカ映画「Rockers」で本人役で
主演した事でもよく知られるドラマーです。
映画の中で女の子から「Horsemouth?あのBurning Spear
の?」と聞かれるシーンがあります。
たぶん当時はBurning Spearのアルバムでドラムを叩いて
いる事で、知られていたのでしょう。
ちなみに「Man in the Hills」でもこのHorsemouthが
ドラムを叩いています。

そして「Rockers」でHorsemouthの相方を務めていたのが、
テナー・サックスのDirty Harryです。
「Rockers」でのディスコ・ジャックして、レコードを
スクラッチする元祖ラッパーともいえるシーンは有名ですが、
Horsemouthとは日頃から仲が良かったのかもしれませんね。

さて今回のアルバムですが、日本のレゲエ・グループ
Dry & Heavyがこのアルバムからバンド名を付けた事でも
よく知れらているアルバムです。
「Marcus Garvey」はルーツ・レゲエを代表するような
アルバムですが、この「Dry & Heavy」というアルバムは
まさにこのBurning Spearという人を代表するような
アルバムです。
このアルバムを聴くと彼Burning Spearの本当にしたい
音楽が解る、そんなアルバムです。

攻撃的なミリタント・ビートやコーラス・ワークなど
解り易いキーワードに満ちた「Marcus Garvey」に較べると、
このアルバムはひたすらBurning Spearのヴォーカル力のみで
引っ張って行こうとする強引さがあります。
ただそこが無骨ながら芯が通った、Burning Spearらしい
魅力でもあります。
ゆったりとしたリズムに、タイトル通り乾いた熱風のような
ヘヴィーなヴォーカル、それがこのアルバムです。
初めはピンと来ない人も居るかもしれませんが、聴けば
聴くほど心の中に言葉が深く深く入り込んで来る
アルバムです。

やっぱりこのBurning Spearに関して言えば、後の
「バビロンの賞」であるグラミー賞をもらうようになる
前の70年代ぐらいの音の方が、面白い気がします。
この人はいつの時代でも変わらない頑固なくらいの音楽性が
魅力的な人ではありますが、やっぱりこのルーツの時代の方が
時代の空気も合っていたし、勢いもあったように思います。

機会があれば聴いてみてください。

Man In The Hills ~ Burning Spear ~ Live 1981



○アーティスト: Burning Spear
○アルバム: Dry & Heavy
○レーベル: Mango
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1977

○Burning Spear「Dry & Heavy」曲目
1. Any River
2. The Sun
3. It's A Long Way Around
4. I W.I.N.
5. Throw Down Your Arms
6. Dry & Heavy
7. Wailing
8. Black Disciples
9. Shot It Out

●今までアップしたBurning Spear関連の記事
〇Burning Spear「Calling Rastafari」
〇Burning Spear「Farover」
〇Burning Spear「Garvey's Ghost」
〇Burning Spear「Hail H.I.M.」
〇Burning Spear「Live」
〇Burning Spear「Marcus Garvey」
〇Burning Spear「Original Living Dub Vol.1」
〇Burning Spear「Presenting Burning Spear」
〇Burning Spear「Rocking Time」
〇Burning Spear「Social Living」
〇Burning Spear「Sounds From The Burning Spear」
〇Burning Spear「Spear Burning: Burning Spear Productions 1975-1979」
〇Burning Spear「Travelling」