今回はSteel Pulseのアルバム

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「Victims」です。

Steel Pulseは75年にイギリスのバーミンガムで結成された
レゲエ・グループです。
ロック・アゲインスト・レイシズムの運動でも知られるイギリスを
代表する硬派の社会派グループです。

今回のアルバムは1991年にMcaというレーベルから発売された
アルバムです。
1曲目の「Taxi Driver」は、ニューヨークのタクシーにおける
黒人やラスタに対する差別的な扱いに対して歌った曲で、この
曲のヒットで英国出身のレゲエ・バンドとして初めてグラミー賞に
ノミネートされたといういわく付きの曲です。

全16曲で収録時間は63分21秒。
オリジナルは12曲で、13曲目以降の曲はCDボーナス・トラック。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Lead Vocals, Rhythm Guitar: David Hinds
Vocals, Keyboards: Selwin 'Bumbo' Brown
Vocals, Percussion: Phonso Marrin
Drums: Steve 'Grizzly' Nesbett
Bass: Alvin Ewen
Keyboards: Sidney Mills

Keyboards: Paul Horton
Hornes:
Trumpet: Paul Simon
Saxophone: John 'Boysey' Battrum
Trombone: Frank 'Uncle Bastard' Mysan

Black Voices: Carol Periberton, Joan Hamilton, Joan Josephs,
Janice Williamson, Rosie Lee Sinclair, Bob Ramdhanie

Produded by Steel Pulse, Paul Horton
Produded and Arranged by Peter Lord, V. Jeffrey
Produced by Stephan Brey, Michael Verdick

となっています。

さて今回のアルバムですが、70年代に結成されたSteel Pulse
ですが、1曲目「Taxi Driver」に見られるように、その硬派な
姿勢は90年代に入っても衰えなかったようです。

もともとなぜレゲエが70年代にブレイクしたか?というと、
もちろんメロディやリズムの素晴らしさもあるけれど、この
70年代頃からそれまで社会的差別を受けていた黒人層が
社会で力を付けて来た事が背景にあるんですね。
そういう差別に対するプロテスト・ソングであるレゲエが、
多くの人の心を捉えた事は間違いありません。
そのレゲエの精神をあくまで守り続けたグループのひとつが
このSteel Pulseだったんですね。
英国出身のレゲエ・バンドとして初めてグラミー賞にノミネート
されたというのも、やっと彼らの活動が実を結び始めた証し
という事なのかもしれません。

こういうグループって基本的には好きです。
ハッキリ言ってバティマン(ホモセクシュアル)批判みたいな
弱い者イジメするよりも、権力や差別と闘うっていう方が
カッコイイじゃないですか(笑)。
80年以降本場ジャマイカのレゲエは「スラックネス」の
世界になって行ってしまうんですが、もともとはルーツの影響を
受けて広まった海外のレゲエの方が、むしろ「コンシャス」な
精神を強く受け継いでいるのかもしれません。

ただこのSteel Pulse、硬派で思想的なところは嫌いじゃない
んですが、どうもサウンド的には「レゲエ」という感じが
あんまりしないんですよね。
その辺は自分の「幅の狭さ」だという事は解っているんですが、
70年代のルーツ・レゲエから80年代初めのダンスホール・
レゲエぐらいが好きな私からすると、今回のSteel Pulseや
Dennis Bovellなどサウンドやラヴァーズロックなどになると、
途端に脳の中の「レゲエ」というイメージからはみ出して
しまって、理解できなくなる部分がどうしてもあるんですね。
音楽として良い悪いではなくて、「レゲエ」のサウンドとして
うまく捉えられなくなるんですね。
実はジャパニーズ・レゲエなどあまり聴かないのもそういう
ところがあるからだし、ダンスホール・レゲエなども90年代
ぐらいになるとだいぶ解らないレゲエが増えてきます。
そこは自分でも悩ましく思っているところです(苦笑)。

ただ今回のアルバムを私の中の「レゲエ」という枠を外して
見た場合には、曲もヴァラエティに富んでいてコーラス・ワーク
なども美しく、なかなか良く出来たアルバムなんじゃないかと
思いました。
ポップな感覚でサラッとそういう社会批判を出来ちゃうのって、
やっぱりスゴイですよね。
そういう意味では彼らSteel Pulseの音楽センスと、その音楽に
賭ける気持ちが強く出たアルバムなんじゃないかと思います。

機会があれば聴いてみてください。

Steel Pulse - Handsworth Revolution - Live 1979



○アーティスト: Steel Pulse
○アルバム: Victims
○レーベル: MCA Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1991

○Steel Pulse「Victims」曲目
1. Taxi Driver
2. Can't Get You (Out Of My System)
3. Soul Of My Soul
4. Grab A Girlfriend
5. Feel The Passion
6. Money
7. Victims
8. Gang Warfare
9. To Tutu
10. Free The Land
11. We Can Do It
12. Stay With The Rhythm
CD Bonus Tracks
13. Evermore
14. Dudes
15. Taxi (Dub)
16. We Can Do It (A Capella)