今回はThe Revolutionairesのアルバム

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「Jonkanoo Dub」です。

The RevolutionairesはHookim兄弟が主催するレーベルChannnel One
のセッション・バンドです。
ドラマーのSly Dunbarをリーダーとして70年代後半のルーツ・
レゲエの時代に、攻撃的なミリタント・ビート(ロッカーズ)を
武器に、Mighty Diamondsをはじめ多くのミュージシャンのバックを
務めたほかに、数々の素晴らしいダブ・アルバムをレゲエの歴史に
残しています。

ちなみにこの70年代当時は、バック・バンドはその時に集まれる
ミュージシャンで録音する「プラスティック・バンド」の形式が
ジャマイカでは当たり前でした。
その為バンド名が違っても、同じようなメンバー構成だったりする
んですね。
Channnel OneのHookim兄弟の下で演奏する時はThe Revolutionaires、
プロデューサーのBunny Leeの下ではThe Aggrovators、Joe Gibbsの
下で演奏する時にはThe Professionalsといった感じだったようです。

今回のアルバムですが、手に入れたのはHitboundというところから
出ているCDでしたが、オリジナルは1978年に発売されたダブ・
アルバムです。

全10曲で収録時間は32分29秒。

ミュージシャンについては以下の記述があります。

Drums: Sly Dunbar
Percussion: Scully Simms
Bass: Ranchie, Robbie Shakespeare
Rhythm Guitar: Rhythm Guitar:
Lead Guitar: Rad Bryan
Keyboards: Ansell Collins
Synthesizer: Robbie Lyn
Piano: Erroll 'Tarzan' Nelson
Trumpet: Bobby Ellis
Alto Saxophone: Herman Marquis
Tenor Saxophone: Tommy McCook

* Sticky Thompson
* Richard 'Dirty Harry' Hall
* Lloyd Parks

Recorded at Channel One Recording Studio
Remixed at Channel One Recording Studio
Engineers: Ernest Hoo Kim, Les McKenzie, Barnabas

となっています。

さて今回のアルバムですが、いかにもThe Revolutionariesらしい
歯切れの良いリズムを刻んでいますが、どちらかというとダブの
処理は少なめで、インストに近いダブといった印象です。
Channel OneのHookim兄弟の作るダブはこうしたエフェクトを
多用しないのが特徴的で、良い意味で軽く聴き流せちゃうダブ
なんですね。
曲のリディムは特定できなかったのですが、元の曲はStudio Oneの
ロックステディ期の曲が多く使われているそうです。

このダブという音楽はルーツ・レゲエが全盛だった1973年頃に
始まった音楽形式で、それまでの音楽のカラオケにエコーやリバーブ
などのエフェクトをかけて、あえて音楽に違和感を演出する形式です。
それまでの音楽が生演奏に近いものを再現しようとしていたのに対して、
あえて加工を前提とした音楽を作るという手法でした。
このルーツの時代のディージェイと並ぶ大発明だったんですね。
こうした現代に通じる新しい音楽性を模索したことが、レゲエが
ただの「民族音楽」にとどまらず世界的にブレイクした理由の一つ
だと思います。

またこのダブという形式は、それまで「裏方」だったプロデューサー
やミキサーという職業に光を当てた音楽だったんですね。
それまで主役は歌や演奏をしているミュージシャンだったんですが、
このダブになるとそのプロデューサーがどういう音楽の趣向を持って
いるか、そのミキサーがどういうミキシングをしているかに焦点が
当たるようになったんですね。
実際に今回のChannnel Oneの作るダブと、例えばLee Perryの作る
ダブでは、仮に同じ音源を使ったとしてもダブの処理の違いで
全く違うダブが出来てしまうものなんですね。
そういう作り手の違いで大きく音楽性が変わる点も、このダブという
音楽の面白さなんですね。

このHookim兄弟の作るダブは、書いたようになるべくエフェクトを
抑えたダブなのでLee Perryのように自己主張の強いダブでは
ありませんが、その抑え目なおかげでこのThe Revolutionariesの
名声が上がった部分は否定出来ません。
このバンドの叩き出すミリタント・ビートはやはり魅力的です。
アフリカを意識したジャケットもいかにもレゲエという香りが
します。

ルーツ・レゲエが好きな人、ダブが好きな人、レゲエのインスト
が好きな人にはおススメ出来るアルバムだと思います。

機会があれば聴いてみてください。


○アーティスト: The Revolutionaries
○アルバム: Jonkanoo Dub
○レーベル: Hitbound
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 1978

○The Revolutionaries「Jonkanoo Dub」曲目
1. Juba
2. African Spirit
3. Jonkanoo
4. Shango
5. Chantaway
6. Jumbee
7. Shetani
8. Spirit Of Biko
9. Tribesman
10. Spirit Of Shaka

●今までアップしたRevolutionaries関連の記事
〇Revolutionaries (G.G.'s All Stars)「Macca Rootsman Dub」
〇Revolutionaries「Channel One Maxfield Avenue Breakdown: Dubs And Instrumentals 1974-79」
〇Revolutionaries「Drum Sound The Revolutionaries: More Gems From The Channel One Dub Room - 1974 to 1980」
〇Revolutionaries「Dub Out Her Blouse & Skirt Volume 1」
〇Revolutionaries「Earthquake Dub」
〇Revolutionaries「Goldmine Dub」
〇Revolutionaries「I Came, I Saw, I Conquered」
〇Revolutionaries「Musical Dub Attack」
〇Revolutionaries「Revolutionary Sounds」
〇Revolutionaries「Top Ranking Dub Volume 1」
〇Revolutionaries「Vital Dub: Well Charged」
〇Aggrovators, Revolutionaries「Guerilla Dub」
〇Various「Can't Stop The Dread」
〇Roy Francis (The Revolutionaries)「Phase One Dub-Wise Volume 1/2」
〇Various「Different Fashion: The High Note Dancehall Collection」