The Wailers - Get Up, Stand Up


今回はThe Wailersの代表曲「Get Up, Stand Up」について書いて
みたいと思います。

この曲はThe WailersがIslandレーベルからメジャー・デビューした
のちの、1973年に発表されたセカンド・アルバム「Burnin'」に
収められています。

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The Wailers - Burnin' (1973)

この「Burnin'」には他にもThe Wailersの代表曲と呼べる「I Shot
The Sheriff」や「Burnin' And Lootin'」、「Put It On」、
「Small Axe」、「Duppy Conqueror」、「Rasta Man Chant」など、
多くの人が一度は聴いた事がある名曲が数多く収められています。

またこのアルバムの後にスカの時代からBob Marleyと一緒に
活動してきたPeter ToshとBunny Livingston(Wailer)が脱退して
しまうんですね。
このアルバム以降はThe Wailersはバック・バンドの名前となり、
Bob Marley & The Wailersと名乗るようになるんですね。
バック・コーラスの2人が抜けた事で、次のアルバムからはBobの
奥さんのRita Marleyと人気女性シンガーだったMacia Griffith、
それにJudy Mowattの3人組女性コーラスのI Threeがバック・
コーラスを担当するようになるんですね。

またこの男性ヴォーカルに女性コーラスをつけるというスタイルは、
のちの多くのアフリカン・レゲエ・アーティストが踏襲しています。
おそらくそれだけ多くのアフリカン・アーティストに影響を
与えているのが、このBob Marley & The Wailersなんですね。
もともとは祖国だっだアフリカ回帰を目指して歌を歌った
Bob Marleyだったのですが、彼のプロテスト・ソングが多くの
アフリカンに勇気を与えたという事は素晴らしいことだと思います。

Bob Marley (ボブ・マーリー)

さて話を「Get Up, Stand Up」に戻します。
この曲は「オリジナル・ウェイラーズ」3人が揃った最後のアルバムに
収められた曲ですが、もっともThe Wailersを代表する曲と言っても
過言ではないでしょう。
(「オリジナル・ウェイラーズ」とはBob、Peter、Bunnyの3人を
指します。)
また当時のレゲエ、今ではルーツ・レゲエと呼ばれるレゲエの
メッセージ性が、一番よく表れた曲でもあります。
Bob Marley & The Wailersになってからも含めてThe Wailersの名曲
というのはたくさんありますが、その中で1曲The Wailersの曲を選ぶと
なれば、やっぱり私はこの「Get Up, Stand Up」を選びます。
なぜならこの曲にはBob、Peter、Bunnyという「オリジナル・ウェイラーズ」
3人の気持ちがすべて詰め込まれた曲だからなんですね。

この曲の歌詞の和訳はすでにネットの多くのサイトに記載されています。
そちらの歌詞を見てもらえば良いのですが、今回は私が昔聴いていた
当時お世話になった、東芝EMIから発売された「ボブ・マーリー・
アンド・ウェイラーズ/ライヴ!」に付いていた山本安見さんという
方の対訳を紹介してみたいと思います。

● ゲット・アップ、スタンド・アップ

*起きあがれ 立ちあがれ
権利のために立ちあがれ
起きあがれ 立ちあがれ
戦いを途中で投げだすな
起きあがれ 立ちあがれ
権利のために立ちあがれ
起きあがれ 立ちあがれ
戦いを途中で投げだすな

牧師さんよ デタラメいうのはやめてくれ
天国はこの大地の下にあるなんて
おまえさん 人生の本当の意味を
ちっとも分かっていないんだな
”輝くもの必ずしも黄金にあらず”さ
ものごとには全部 両面ってのがあるんだぜ
この貴い光が見えたんだから
さあ 立ちあがろう 権利のために

Repeat *

**大部分の人たちはこう思ってる
偉大なる神が いつか空から降りてきて
あらゆる障害を取りのぞき
みんなをハイにしてくれると
だけど この人生の真の意味を知ったなら
みんな この地上で神を見つけようとするだろう
この貴い光が見えたんだから
さあ 立ちあがろう 権利のために

Repeat *

”死んだら イエスのもとに召される”
こんな安易なたわごとはもう沢山
オレたち みんな知ってる
全能の神だって とどのつまりは人間さ
時には何人かの民衆を騙すことはできても
いつまでも民衆全員を騙すことはできやしない
この貴い光が見えたんだから
さあ 立ちあがろう 権利のために

Repeat *
戦いを途中で投げだすな……

声をそろえて ooh ooh……

オレたち 最後まで戦うぞ……
声をそろえて ooh ooh……
 
Repeat **

立ちあがるんだ 人間の権利のために……

(東芝EMI「ボブ・マーリー・アンド・ウェイラーズ/ライヴ!」
山本安見さんの対訳より)

正直なところこのアルバムを購入した70年代の20代前半ぐらいの
私には、このBob Marleyの歌詞の意味が本当には解っていなかったと
思います。
当時は高度成長期の頃で、私以前の世代は学生運動などもしていた
のですが、私の頃になると政治とは無縁で成長していたんですね。
だから当時の私はなぜBob Marleyが社会の不正や差別をこれほど
までに訴えるのか、本当の意味では解っていなかったんですね。

ただ今この曲を聴くとその歌詞の意味が、すごくリアルに聴こえて
来るんですね。
なぜリアルに聴こえるのか?
それは今の日本の社会が、私たちが望むような平和で平等な社会で
無くなりつつあると感じるからなんですね。
特にここのところの政治の動きを見ていると、この日本はもはや
「平和国家」とは言えないのではないか?そんな危惧を抱くほど
です。

それ以上のことはここではあえて書きません。
ただこの歌は天国は「大地の下」にある訳ではなく、権利は
自らの力で勝ち取るものだと訴えています。
私たちも権利を勝ち取る為に立ちあがらなければならない時が
来るかもしれない、その事だけは心にとどめておいた方が良い
でしょう。
権力者は必ずしもあなたの味方ではないのです。

この「Get Up, Stand Up」はのちにPeter ToshもBunny Wailerも
自分のソロ・アルバムに収録しています。
ある意味この曲は歩む道が違ってしまった彼ら3人の「オリジナル・
ウェイラーズ」を繋ぐ曲だったのかもしれません。
この曲はある意味彼らの原点であり、この曲を歌う時だけは
彼らの魂は終生繋がっていたのかもしれません。


最後にYouTubeにあった「Get Up, Stand Up」の映像をいくつか
載せておきます。

Get Up Stand Up | Playing For Change | Song Around The World


↑「Playing For Change」は国境を越え、人種を越え、文化や宗教も越えて、
世界中のミュージシャンがひとつの楽曲を歌い、奏で、つないでゆく音楽
プロジェクトなんだそうです。
あの大和証券新CMで使われているやつです(笑)。
なんとあのThe Rolling Stonesの!Kieth Richardsが!

Reggae All Stars - Get Up Stand Up - The Tube 1985


↑「Reggae All Stars」となっていますが、メンバーがなかなか良いです。
Sly & RobbieにDennis Brown、Aswad 、Ini Kamoze、さらにSteel Palseの
David Hinesです。
やっぱりDavid Hinesのヘアー・スタイルはスゴイ!ですね~(笑)。

The Rolling Stones - Get Up Stand Up - Toronto Live 2005 OFFICIAL


Bruce Springsteen, Peter Gabriel & Tracy Chapman - Get Up! Stand Up! (Get up! Stand up! Concert)